第14話 溢れた想い

羽咲はなさきみずき side


 2年生に進級してからも、日々変化なく、人混みを避けながら学校の図書室でまた1年間過ごすと思っていた。

 でも、ある日。同じクラスの男の子が声をかけてきた。

 男の子だったから最初は怖かったけど、話してみると大丈夫だった。

 そして、誰かと話す喜びを少し思い出せた。

 それからその男の子と話す内に、さらに同じクラスの2人を連れてきた。

 やっぱり最初は怖かった。でも、優しい人だったから良かった。

 そうしたら、あれよあれよと初めて教室へ。

 自分の席が変な噂で充満していたのは知っていたけど、解消されて安心。

 すると、あの男の子のおかげで、だんだん教室に居れる時間が長くなり、朝と帰りのホームルームはちゃんと居れるようになった。

 次に後輩の相談に乗ると、それを機にいろんな人の相談に乗ったり、聞くだけだったり、勉強のアドバイスまで受付。

 そうしたら、いつの間にか人馴れ出来た。

 過去をきっかけに大勢や初対面は苦手でとても怖かった存在が、今はなんともない。

 こんな風に“普通”を取り戻しつつあるのは、あの男の子のおかげ。

 たくさん話して関わる内に、自然と好きになっていた。

 だから、あの時、ぽろっと想いが溢れてしまった。

 そして誤魔化して、一方的になかった事にして帰宅してしまった。

 申し訳ない思いと恥ずかしい思いでいっぱいいっぱい。

 でも言った時、心がスッキリして晴れやかになったのは覚えてる。

 あんなに苦しかったのに、いざ言葉にすると、フッと肩の荷が下りたような気がした。


 どう出るかな?早く気持ちが知りたいなぁ・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る