第4話 男子中学生って友達が多い?


――皆さんが中学生だったころ、親しい友人って何人いましたか?



『きっとずっと好きだった』というお話を書くにあたって、「学生の人付き合い」ってのはどんな感じなのか、一応ネットで下調べをしてみたんですよ。あれは自己満で書いてるやつなんで、そんな詳細な設定とか要らないんですけども、私が私のために欲望のまま書くだけなんですけども、さらっとイメージを掴むだけでもやっておこうかなと思って調べてみたんです。



そのときに、内閣府のサイトにアップされた「第4回 非行原因に関する総合的研究調査」ってのを見つけました。

これは平成22年に発表されたもので、調査自体は平成21年の10月から11月にかけて行われました。


アンケートの対象は、小学生3184人、中学生2909人、高校生3136人と、補導少年365人、鑑別所の少年566人となっています。あと大学生とか保護者とか。




この調査の第2部第2節の「親友の数」を見て、私はびっくりしたんですよ。


中学生男子の調査では、「親しい友人は20人以上いる」と回答した子が最も多いんです。割合で言うと37.8%もいます。

つまり男子は3人に1人が親しい友達が20人以上いるコミュ強だということです。

まじか!

知らなかった!


ちなみに女子でも21.9%です。5人に1人が親しい友達が20人以上いるってことになりますね。

えっ、そんなに友達います? 皆さん、中学生の頃ってそんなに友達いた? 私はそんなにいませんでした! なんかショック。いや、自分がそんな社交的なキャラじゃないのはわかってたけどさー。


ただの友達じゃなくて、親しい友人ですからね。

すごいね、そんなにたくさんの友人と親密なんですね。あっでも塾とか部活とかで仲良しな子もカウントしたら20ぐらいいきますかね? 学校だけしか行かず、それで帰宅部だったりしたら20人は厳しくないですか。


これが高校生になりますと、親しい友人が20人以上いると回答した男子は28.3%、女子では15.6%です。


中学、高校ともに、友達が多い子は男子に多いということになります。

ちょっと男子ぃ~、なんでそんなに友達が多いのよ~。


よく世間では、女の子のほうがコミュ力が高いから~みたいなことを言う人がいますが、この結果を見ると、それって本当なんですかね? って疑問に思ってしまいます。




で、この調査を踏まえて、創作について考えると、男子中学生を3人登場させたら、そのうち1人の背後には20人の親しい友人がいるって考えてもおかしくないってことになるわけです。男子高校生なら4人に1人です。

うわっ。怖っ。

お友だち20人分の設定とその関係性を考えないといけないだなんて頭痛がしそうです。そして、その20人には家族がいて好きな人がいて……どんどん関係者が増えるー!



もっとも前述の調査結果は平成21年の調査だから、今はもう違うかもしれません。

今は、さらにコミュ強男子が増えてるかもしれないのですよ……!


過去の調査を見てみますと、親しい友人が20人以上いると答えた中学生男子は、昭和52年は20.8%、昭和63年は21.1%、平成10年は25.9%、平成21年で37.8%ですから、時代とともに増えていっていますね。


そういえば、知り合いの奧さんのところの息子さんは中学生なんですが、誕生日には親しい友人を20人ぐらい呼んでパーティーして、おめでとうのメッセージは100人ぐらいから来るそうです。友達の多い子なんだなあと私は思ってたんですが、実はそれほど特別でもなかった……?


学校では少人数クラスが導入されたりとかして、そもそも少子化社会だし、たくさんの友達と出会える機会は減ってるはずなのに、そして発達障害も増えていると言われているのに、「最近の若者はコミュニケーション能力が低い」なんて言う人もいるというのに、アンケート調査では、親しい友達が多い子の割合が昔より増えているという不思議。


なぜ……。



そこで、一時期ネットを賑わせていた「非モテ男性」とか「弱者男性」という言葉を私はふと思い出しました。男性の抱える苦しみを「非モテ」とか「弱者」とかいうふわっとした雑なくくりで表現していて、正直よくわからないというか、もっとはっきり男性の「感情」を言語化して説明してほしいなというのが私の正直な感想です。


この非モテとか弱者男性とかっていう概念は昔からあったようで、昔アメリカで「シャイマン・シンドローム」という本が出たらしいんですよ。ブライアン・ギルマーティンさんという方が書いた本だそうです。

古い本だから、読んだらゲンナリしそうだなって思って、私は未読です。Amazonに書いてある説明欄を見ますと「「弱い男」は相手にされず、「結婚できない」男性が急増している現代。女の子に話しかけたくても、なかなかうまくできない……。本書は、そんなシャイマンたちの現実を明らかにし」とあって、もう~、ゲンナリ。日本では1994年に出版されたみたいですね。

シャイなのはダメ、女を口説けない男はダメ的な発想なのは、ちょっと好きになれそうもないなあ……。無理して女を口説かなくても良くないですか。同性の友達と仲良くしてれば良くないですか。というか、恋愛や結婚しないと自分は救われないと思っている人は、恋愛や結婚しても本質的には救われないと思うんですよ(個人の感想です)。一時的な気分の高揚や幸福感はあるでしょうが、あくまでも一時的だと思う。「彼女がいないから不幸→彼女がいるのに不幸→彼女が悪いんだ」になるだけです。そういう人を救うのは、恋愛以外の別の何かだと思う。個人の感想です!



で、ここから先は伝聞なので申しわけないんですが、ギルマーティンさんは、どうも男の子のシャイさってのは親の養育態度も関係しているのではないかという仮説を立てたらしいんですね。

日本の社会学者でラジオでお馴染みの加藤氏は、このギルマーティンさんの本を持論の中で紹介されていまして、その加藤氏は、息子のシャイさは父親の養育態度が関係しているのではないかとおっしゃっている。

この仮説が正しいのだと仮定しますと、日本の男子にコミュ強が増えているというのは、息子さんと積極的にコミュニケーションを図りながら育児をする父親が増えたということなのかなと、そんなことを思った次第です。イクメンも増えたっていいますしね。まあ、単なる推測でしかないんですが。そもそも本を読んでないくせにいい加減なこと言うなって話ですが。



さて、今現在の日本の子供たちはどんな感じなんでしょうか。過去の統計の傾向から推測するなら、さらにコミュ強男子は増えているのかもしれません。

「第5回 非行原因に関する総合的研究調査」はいつあるのかな。そろそろ実施してほしいところです。

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