第3話 怖い映画と抱き枕

 今日はヒナが友達から借りたと言っていた怖い映画を見る事になった。


 お風呂も入り終えて宿題も終わらして準備万端になった所でノートパソコンにDVDを入れて再生ボタンを押した。


「そういえばヒナは怖いの苦手じゃなかった?」


「うーん、まあ」


 ま、怖がってるヒナを見るのも楽しいから私はいいけど。


 今見ているのは海外のホラー映画だ。


 海外のホラー映画は日本のホラー映画と違って音とか化け物が出てきてビックリする事が多い。日本のホラー映画はお化け、心霊が多い気がする。


 バンっ!とか音が鳴るたび、化け物がバッと出てくるたびにヒナの小さな体はビクッとして手は私の服をがっしりと掴んでいる。


 同時に私の心もがっしりと掴んでいる。


 か、可愛すぎる。


 無事に見終わったヒナは疲れきっていた。


 そりゃそうだ、あれだけ驚いて体に力が入っていたら疲れもするだろう。


「大丈夫?」


「こわい」


「こわいねー」


「今日ヨーコの布団で寝ていい?」


 二人座って並んで映画を見ていて身長の差からどうしてもヒナは見上げる形になって上目遣いになる。


「今日だけだよ?」


 毎日は絶対無理だ。


 私の理性が...。


 ディスクを取り出してノートパソコンをしまい先に私の布団に入っていたヒナの横に並んで寝る。


 布団に入るとヒナがくっついてきて肩と肩が触れあい、ヒナの体温が肩越しに伝わってくる。


「あったかい」


「そうだね」


「おやすみ、ヨーコ」


「おやすみ、ヒナ」


 いや、全然寝れない!


 さっきの映画を見たから怖くて寝れないのじゃなくて隣に好きな子がいるし、それにくっついてるしでドキドキして寝れない!


 なんか、キスしたくなってきた。


 あの日にキスをしてからはヒナが寝ている隙を伺ってちょっとだけキスしたりしてたけど、今日は起こしてしまう可能性がある。


 我慢しないと。


 我慢できる?


 そんな事を考えているとヒナが寝返りをして私の方に体を寄せてきた。


 私を抱き枕のようにしている。


 心臓の音が速くなるのを感じる。


 私の胸元に乗っているヒナの腕から伝わってしまいそうで心配だ。


 ここまでされて我慢なんてできない。


 ヒナは寝ているだけで私の気なんて知らないだろうけど。


 よし、寝返りをするふりをしてさりげなくヒナを抱きしめよう。


 ちょっと強引かと思ったけど無事にヒナを抱きしめる事に成功した。


 私の体に収まったヒナは「んぅ」と言いながらギュッと抱きしめ返してくれた。


 きっと抱き枕を抱きしめる感覚だろう。


 本当はキスしたりしたかったけど、ヒナを抱きしめながら寝ることが出来るから満足。


 いつかは伝えたいな、私の気持ち。


 ヒナにちゃんと好きだって言いたい。


 ドキドキしながらそんな事を考えていた。

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