第16話 『父親vsババアじゃァァァァ!!』



 殴られた父親はそれでも気にせずパソコンを操作する。




「なんじゃと……」




 ババアは驚く。かなり力を入れて殴った。風圧で高尾山くらいなら半壊にできる破壊力で殴ったはずなのに、この男はびくともしない。




「私は社長だ。この程度の攻撃、痛くも痒くもない」




 高は懐から携帯電話を取り出すと、どこかに電話をかける。




「私は忙しいのだ。それではさらばだ!!」




 高はそう言うと革靴が変形し、ローラースケートのようになる。そして踵からジェット噴射をして、猛スピードでどこかに消えていった。




 父親がいなくなった後、越は寂しそうに見上げる。そこには父の姿はもうない。快晴の空のみが映る。




「金はどうするんじゃ?」




 ババアが問うと越はこんなお願いをしてくる。




「僕を働かせてください」




「なんじゃと?」




「お金はそれで払います」




 ババアはため息をつく。




「子供は働いちゃダメなんじゃ。……しょうがない。今回だけじゃぞ」




 とも子は越に背を向けると、自宅に向かってゆっくり歩き出した。




 自宅に帰ると、ジョナサンが一人で店番をしている。




「おかえりなーさい。ご主人様」




 メイド服を着たマッチョな男はババアに向かって軽く頭を下げる。




「ご苦労」




 そんな家来のジョナサンにとも子はプレゼントを渡す。




「これーは?」




 それは白い布に包まれた謎の物体。




「ご褒美じゃ、それを食べてるんじゃな」




 とも子はそう言うと、最上階までジャンプで飛び上がる。

 そして鋼鉄の扉を開けて、自身の部屋へと入った。




 扉を閉めたところで、とも子は誰もいない部屋で独り言のように言う。





「そこにいるのは分かっておる。出てくるんじゃな」




 しばらくの沈黙。その後とも子ら部屋の中心にあるちゃぶ台をひっくり返す。

 しかし、そこには誰もいない。だが、不自然に置かれた豚の貯金箱がそこに置かれていた。




「…………惜しい。でもさすがです。僕の気配に気づくなんて……」




 銃を構える音。とも子の背後に迷彩服を着た男が、とも子の頭に銃口を向けていた。





【後書き】


 急展開!

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