第2話 過去の過ち

少し、昔の話をしよう。1万年前をひと昔とするなら、ふた昔前の話だ。


僕はずっと孤独だった。一人にされたわけではなく、この世界に生命体がいなかったからだ。だから、孤独だった。一人でいるのも楽しいのだが、僕は飽き性だったらしい。


故に、なにもないところから生命体を創造した。なんにでもなれる球体を創り出した。そして、人間、神、魔族、エルフ、妖精になれるように、いくつかの球体に細工をした。


彼らは歳を重ねるたびに、自分の形を持つようになっていった。


そして、5千年前に彼らは、完璧な存在に成った。


形を持ち、思考を、工夫をする。僕は嬉しかった。成功したのだ。自分以外の生命体が誕生したのだから。


しかし、幸せは続かなかった。


彼らは5種族間で争いをするようになった。


最初は領土の取り合い。そして、最後はどの種族が生き残るかという醜い殺し合いになっていた。


僕は、激怒した。しかし、彼らは自分のエゴでできたものだったから、責める資格を僕は持っていなかった。だから、僕がすべてを終わらせることにした。


各種族の長だけを残し、すべてを抹殺した。


彼らが作り上げてきたものは一瞬にして、灰塵にきした。


その後、彼らで話し合いをする場を設けた。僕ができる数少ない償いだった。そして、僕は高らかに宣言した。


「僕は4千年以上の長い眠りにつくことにする。その間、異種族間での争いが起きた場合、僕が目覚め次第、すべて破壊する。僕が眠る場所は、魔王城の地下だ。その間、皆は好きにしてくれていい。ただ争いだけはしないでくれ。円滑で利口に生きてくれ。では、あとは君たちで決めてくれ。」


僕はそれだけいうと、彼らから少しの魔力を奪い、転移魔法で、魔王城地下につく。そして、魂と身体を分裂させ、体は長い眠りにつく。そして、魂はなにもない、孤独な世界に送った。

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