クロス・ウォーリアーズ

@dominant

始まりの章

プロローグ

私は今日もまた、世界が終わる夢を見た。

夢の始まりはいつも違う。

ある時は朝、朝食を作ってくれた幼馴染に甲斐甲斐しく起こされて。

ある時は昼、たまには豪華なランチを食べに向かう途中で。

ある時は夜、レンジで温めたばかりのコンビニ弁当が目の前にあって。

幸福、平凡、悲惨、どの夢もそれぞれ違ったスタートラインがあって、そこから物語が始まって。

一つとして完璧に同じ夢は無くて、なだらかだったり激しかったり、そしてたまには色っぽかったり。

だがそれらの夢は必ず最後が来る。

どの夢も一様に最後は世界が滅びていく様を見届けて終わるのだ。

宇宙から侵略者が、地の底から亡者が、海から怪獣が、はたまた人間同士の争いの果てに。

滑稽な話に聞こえるかもしれないが、それらの滅びは私にはどうしても説明しようのないリアリティを感じてしまう。

故に私はそれらの夢を、起きた時はハッキリと覚えている。

聞くところによると殆どの人間は夢を見ても起きれば忘れてしまうらしく、どうも私は不思議な夢を見る体質であったらしい。

しかし私に言わせれば夢などそう簡単に忘れられるものではない。

世界が滅びて行く様をマザマザと見せつけられる夢を数えきれない程見てきて、そして最後に現れるのは見るも美しい鳥。

鳥は私を見下ろし、貴方がこの運命を変えるのです、と告げ私の意識は遠くへと飛び去って行く。

薄れ行く意識の中、今までならばそのまま意識を失う筈が今日の夢には僅かながら続きがあった。

起きたばかりの私の耳には最後の鳥の声がしっかり残っている。

時は来ました。

かの者達を見つけるのです。

この星の未来のために。

人間の未来のために。

貴方自身の未来のために。

守り手を探し、集めるのです。

それが、滅びを避ける唯一の道––––––––



貴方達はたかが夢と笑うかもしれないが、何年もこの夢と付き合ってきた私にはもはやたかが夢と自分を納得させる事は出来なかった。

まるで最初からそう決めていたかのように、私はパソコンを起動し内容の煮詰まっていないぼんやりとした計画書のファイルを開く。

中身はまだ殆ど白紙だが、作戦名だけは既に決めてある。

世界の為、人類の為、地球の為、未来の為に、力を振るう者達を集めてチームを作る。

やがて来ると信じている滅びに打ち勝つチーム。

その名は––––––––––––––『クロス・ウォリアーズ』



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