第11話 モルディア国王

裏門からハーレムの領域に入ると

貴妃たちは解散するように

散っていった

カテニィだけが残り

3人を王の私室に案内する


部屋に入るなり

駆け寄ってきて

カモーナを抱きしめる

これが・・・モルディア国王なのだろう


細身でありながら筋肉は出来上がってるようだ

両腰に剣があると言うことは二刀流の使い手か

そんなことをダンテが観察していると


親し気な笑顔で近づいて来て

カモーナと変わらぬ形で抱きしめられた

これがこの国の特有の親愛の証と知るのは

もう少し後になってからだった


カモーナが短く、でも適切に国王にダンテの事を紹介していく

ダンテは一応、一般王国流儀で挨拶をした

かしこまらなくていいと言われ

なんとも気さくを通り越しのんびりと明るい王だと思った

その間ユーリーは目をクリクリさせて見ている


話には語られることはないが

未来、生涯を通してユーリーはモルディア王国に仕える

そんな国との初対面だった


話を戻そう


モルディア国王にハグされて

ダンテが面食らっていると


「そう固くなるな

私はこう見えても元冒険者の成り上がりだ

今でも現役で通じる能力は持っているつもりだよ」


そうして床に好きなように座ることを進められ

各々は絨毯の上に座って円を作る

カモーナがサドラニア王国の姫君が拒んでいる話をする


「ほーっ、アルテシア姫は我の強い性格なのだな

姫気味にしてはなかなかの人物じゃないか」


「のんきな発言してる場合か

嫁ぎたくないと言ってるんだ

本人に迎えにこさせる約束もしてきた」


「ん?なら行くか。迎えに行けば嫁ぐとは限らんが

生でみてみたいとは思ってたしな」


「そんなに軽くていいのか・・・国王だろう・・・」

「ですよねぇ・・・」

とダンテとユーリー

それに答えたのはカテニィだった


「国は私が管理します

国王は自由であればいい

それが結婚の約束でしたから」


「カテニィは前国王の一人娘だよ

ハーレムの頂点というより国の頂点だな

現国王は婿入りしたわけだ」

と、これはカモーナ


商人は情報通でなければならない

だが・・・forestという環境で商売をしていると

広い情報はいらない

冒険者を止めて10年近くforestの商人だけしてた

それが痛いところだなとダンテはつくづく感じた


ともかくも

あっさりと、話は決まり

サドラニア王国へ帰還する準備が始まる


サドラニアまでの道中、相変わらず刺客はいたが

否、一国王がお忍びとはいえついてることで

刺客の質も人数も増えたが

ユーリーは喜々として自由な冒険者を楽しむ

モルディア国王に助けられ楽をした


ちなみにモルディア国王はアジュラールと名乗って

アージュと自分の事を呼ばせた

たぶん本名なのかと思う


国王の名前は冠したときに改名したのだろう

しかし、国王に仕えてた第一近衛隊長が

まさか前国王の一人娘とは思わなかった


ダンテが冒険者していた頃は前国王は健在で

姫の話など聞いたことも無かったから余計にかもしれない


そんなこんなで、いよいよモルディア国王とサドラニア姫君の

御対面となる


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