第10話 モルディア王国到着

モルディアまで半月の道のり

道中の冒険話を語るには物語として成り立たないほどの

平凡極まりない刺客との出会いばかり


だが、その刺客がどこのものかは相変わらずわからず

ユーリーは不気味がっていたが

ダンテとカモーナーは解る時は解ると気楽に構えていた


この道中の戦闘に二人は補助的にしかでず

ほぼユーリーが対処させられていた

そのおかげで町々の度に寄る冒険者ギルドで認定が更新され

なかなかの速度で見習いから初心者冒険者として成長を始めていた



「また、気配がする。よくも諦めもなく

次から次へと刺客を送り込んでくるよね

しかも、勝負の盟約を受けてるものばかりですよ

きっと金持ちかどこかのお国としか思えない」


「気配を感じるレベルはもう一流と言ってもいいな

その憶測も悪くはない、確かに勝負の盟約は買えば安くはないからさ」


「へへ。カモーナさんに褒められた」


「褒めてはない。妥当な評価をしてやっただけだ」


「へへ。それでも嬉しいです」


「ダンテが育成するだけはあるな

昔からえり好みの激しい奴だから

連れ歩いてるだけで素直な子だろうとは思ってたけどな」


ユーリーがダンテを見る

こちらの会話など聞こえないそぶりで歩いている


聞こえてないわけはないのだろうが

どう思って自分の面倒をみてくれてたのか

聞いてみたいとユーリーは思った


口を開こうとした瞬間

手で口を塞がれて顔を見た瞬間カモーナが首を横に振った


野暮なことは聞くもんじゃないという事だろう

それが解るようになっただけでもユーリーは確実に成長していた





刺客も後に選ばれるものの方が慎重になっていく

無事にモルディアにつくと

門をくぐった瞬間


3人を取り囲む花かごを持った売り子姿の女たち

20人は超えているその数に

一瞬男二人は固まっている


カモーナだけが満面の笑みで一人一人から1輪ずつ花を買い

抱き合って挨拶していく


「この国の特殊な風習なのか?」

と聞くダンデに

「ふふ、ついてくればわかるさ」

とカモーナ


大勢の花売りの女たちに連れられて

城内はずれの森へ連れて行かれると

そこに一つ門が見えてきた


「これは、位置的に城へ入る門か?」


そこで女たちが一斉に膝を折りお辞儀をする

様子を見ていると一人が立ち上がり前に出て

またお辞儀に膝を折った姿勢のまま


「お待ちしておりました

この国のハーレムの総まとめ正妃のカテニィにございます

モルディア王からの情報によりお迎えに上がらせていただきました」


ダンテはカモーナを見る

カモーナは首をすくめて


「こーゆお国なんだよ、モルディアは

情報力が天下一品なので一時期滞在して

モルディア国王に助けてもらいティーノを探してた」


まだ、何か言いたそうに見るダンテ


「別に王女を連れてきたとかは国王も思ってないさ

まー、話をさせてもらいに行くぞ」


気が付くと女たちは姿勢を楽にして

さわさわと耳打ちをしあってる

しかも楽しそうに


あっけに取られてたユーリーがやっと口を開いた

「一人の正妃にこんなにお付きがつくもんなの?」


「失礼なこと言うな。ここにいるのは全員が

モルディア国王の貴妃様たちだ」


「えぇぇええええ!!」


森中に響き渡りそうな大声をだしたユーリー

そしてその横で何も言わないものの眼を丸くしたダンテがいた





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