第13話 ユニコーン

「ユニコーンが人を殺す?それ本当なの?」

「そう、しかも男ばかり」

「ってことで俺も今回は缶詰なんだが」

「おまえもだ。そうだ」

「なんで?女だけなら数がいるでしょう?」

「暁子がでてくる」

「あちゃ」


説明しとかなくてはならないだろう

今しゃべっているのは私と雄一郎

そして暁子(あきこ)がでてくるという会話は

私にとってというか全体のバランスをとるのに

非常に厄介になる

あまり熱心な仕事屋でなくあまりでてこないのだが

結界を張らせたら超1流多少の治癒能力もあるので

完全に私とかぶるのだ

かぶるだけならいいのだがこれが犬猿の仲で…

どうしてそこまで嫌われたか私も覚えがないのだが

彼女いわく

「まねっこ、能無し、でしゃばり、盗人、汚らわしい獣、餓鬼持ち」

確かに子供は生んでいるそれが引退理由になるなら

でしゃばりなのかもしれないがB区地区の管制塔的

無線操作をしているのでそれも気に入らないらしい

能無しは逆転しているから回復力なら高いが結界はよわい

盗人というのはどうも密かに雄一郎を思っていたらしい

そんなこと今更言われてもじゃあ別れますからお好きに

とはいかないだろう男女の仲なのだ

雄一郎のことだから1度以上は手をだしたことも

あると思ってまちがいあるまい

そんなわけで彼女がでばる時は管制塔に専念しているわけだ


「それで細かい情報は入ってきているの」と文子に問う

暁子がいる以上管制塔としても

あまりでしゃばらないほうがいいだろうということで文子ちゃん

「そうですね。厄介なことに死なない人間もいるそうで…」

「それ喜ぶべきところよね?」

「記憶消去が面倒で」と文子は苦笑する

「それはそうだけどね」

「ただユニコーンに刺されても瞬時に回復する相手と

角のダメージを受ける相手がいるということくらいでしょうか」

「もともとはユニコーンは男には近づかずその角で傷を癒す

ってもんでしょう?」

「うーん。美穂さんのユニコーン知識も違うと思います」

「あれ?そなの」

「はい。でもこの場合そのような間違った知識の上で

生み出されたユニコーンなんだと思います」

「実際かなり激しい性質をしているので処女の者が

いない限り捕らえるのはかなり難しいかと」

「ちょっと待った今回は捉えるのが目的倒すのが目的」

「場合によりますが聖獣ではあるのでできれば殺したくないですね」

「聖獣が人殺しねぇ…」


その頃、実動体はユニコーンを追い詰めるところまでいったらしい

が、封鎖結界をかけて閉じ込めようとしたのだが

角が結界を浄化空を飛んで逃げたらしい

その報告も私たちのところへとどいた

羽がついていたわけでもなく

空を駆けていく姿は見ものだろうが

暁子の結界が効かないとなるとB区ではおてあげだ

他の地区へ飛んでいったのをいいことに

無線で見物となった

「おかえりー。騒動だったわね」

「羽もないのに飛ばれちゃ処置無し」

「暁子さんは自宅で待機するって」

「了解」

ピージッジィジィ

「こちらの無線1個B地区にあわせました」

「でしゃばりの能無しもそこに居るんでしょう?」

「います」

「実際どう思う防御結界なら閉じ込めれると思う?」

「封鎖結界よりは可能性高いと思います」

「もう一回来たら試してみるあんたはでばんなさんなよ

顔見るだけで吐き気がする」

はははは、なんでそんなに嫌われているんだろう

見に覚えはないのだけどなぁ…


だが目標はD地区からF地区をぬけ遠ざかっていく

そしてその間にも被害が広がっている

市民の中でもユニコーン狩りを集う様子で

テレビ局がそれに張り付いている

角目当てだろうが乙女隊なんてのもあって

生娘(自己申告)ばかり集めた隊もある

死人がでているのに角目当てでこれだけの人数が集まるとは

人間の貪欲さも呆れてしまう

それより死人が増えるなとため息がでる

今H地区にいると思われるユニコーンに対して

約200人以上が向かったのだった


「そういえば文子さんは生娘?」

「ななな、何を突然に」

「いや、乙女隊じゃないけどえさにつかえるかなと」

「経験あります。政略結婚ですが…」

「あ、辛いこと思い出させたかな?」

「いえ優しい人でしたから妖怪と知ってもなお優しく」

「そっか」

「選別してるのよね。あのユニコーン」

「選別?」

「目鞍で端から男を刺してるけど生きている人は無傷

死んでいる人は大きな穴をあけて出血多量で死」

「ユニコーンがじゃなくユニコーンの能力が選別してる

何かをね」「管制おねがいします。」「いいけど」


あーっ文子ちゃんまたわけわかんないソフト

ダウンロードしているよ

「文子ちゃん?」

「大丈夫ですバージョンは機械にあわせてダウンロード

していますから」

全然大丈夫じゃないし…まぁ機械には強いからなぁ

「ヒットしました全員ソープ嬢の経験者です」

「それにしちゃ少なくない?」

「こっちもヒットしてるんです性病の経験者」

「それってどこかのソープ嬢が性病を移されて

腹いせに性病患者を片っ端から消してるってこと?」

「だと思います。確定はできませんが」


「雄一郎こっちこっちちょっと来て」

私の部屋に入ってくる

「女の子と遊んでで性病にかかった経験は?」

「馬鹿誰に向かって言ってるそんな失敗するか」

「移した経験も移された経験もなしね?」

「なら殺されて来て」

私は文子のデータの話をする

「文ちゃんのデーターは信用できるけどなぁ

絶対はないんだぜ?」

「だから雄一郎に頼んでるんじゃない

私が失って一番辛いものじゃなきゃお願いできない」

「命と引き換えにも死なせたりしないから」

「そこ間違い2人生きてなきゃ意味がない」

「わかった0地点で玉打ち込んでやって」

「銀玉を用意するか」

「ユニコーンにも有効なの?」

「知らんわかるのは聖なる力が込められているってことだけだ」

「わざわざアメリカのとある教会まで行って清めてもらうんだぞ」

「銀だけでもすごいのに祈祷つきか」

「日本の神父はいまいち力が弱いからな」


それから走った走った燃料1回入れてまた走って

目指すは乙女隊来るかわからないけど

だが狙いはあくまで穢れた男子

無線から入ってくる情報に向かって方向転換

誰もいなくなった波止場でそれとあった

美しい白い肉体引き締まった4本足

流れる鬣は長く銀髪。心を洗われる美しさだ

こんなのが殺人鬼なんて…

目の前に死にかけてる男がひとり

私は慌てて近寄り傷を癒す

病気と違って外傷の方が治癒しやすい

傷口はどんどんふさがって顔色もよくなっていく

「何故そんな者を助ける」

「目の前で生きているからよ。それ以上の理由はいらない」

雄一郎も隣に来て射撃を向けているチャンスは一度

今じゃない

「変りにあっちの男をころしてやる」

ユニコーンは狙いたがわず雄一郎を目指す

刺された瞬間ズキューン額からあごにむけて銃が発射される

ユニコーンは一振り雄一郎を海に投げ捨てた

「雄一郎!」

叫びながらも私はユニコーンの角を両手で持ち胸に刺す

「何をする!」

「貴方との勝負は終っていない」

「乙女を殺したユニコーンはどうなるの?」

「私じゃおばさんすぎるかな?」

黒く黒く角以外が黒く染まっていく

そしてひざをつく同時に角が抜ける

私は自分に治癒をかけた

ユニコーンの体が灰になっていく

波風にながされて残ったのは角1本

それを拾って海辺にいそぐ

「雄一郎!」

「叫ぶなここだ」

飛ばされたのとはだいぶ違う位置から現れた

雄一郎って方向音痴?

「波が荒くて流されるんだよ」といって頭にゴチンとくる

「痛」

「胸怪我は?」

「いや飛ばされた瞬間に消えた」

「これ残っちゃったんだけど…」

「ん?ああきっとそれが媒体だったんだな」

「妖怪化しやすいだろうO区の骨董屋のじーさんにでもわたしとけ」

「ふーっ」

「疲れたか?」

「さすがに賭けたものがでかかったからね。

輝もいるし最悪5つで両親失うわけだし」

「最悪がわかってても戦うんだな」

「それは雄一郎もでしょう?」

「おれはもともと退治屋じゃなく殺し屋だ。覚悟というより制裁だな」

「へー何歳ころから?」「7つだな」「おーこわ」

「辛かったろうね」「辛かった」「退治屋になった時神に心底願った」

「もう意味もわからず人を殺すのはごめんだとな」

「意味があればOK」「じゃなきゃ退治屋してないさ」

「どちらにしろ戦う性分なんだろうがな」

でも帰る家がある待っている仲間がいるなんていいことだろう

2人ででしゃばったことで皆からおこごとを頂戴しました。

はい。勝手な行動は慎みます。仲間がいるっていいことだな。

怒られるのも嬉しい。にこにこしているので文子さんがこつんと頭を叩く

「喜んでられるほど楽じゃなかったんだぞ」

「人間と妖怪と誘導してユニコーンからとおざけながら

逆に二人のほうへ導かなきゃだったんだから」

「感謝します」

「感謝はいらない。せめて雄一郎さんくらい信用して」

「あはそれは無理。伊達に夫婦はしてないって」

「そかそか」といいつつボディに一発きた

いてー力なさげであるでやんの

ともかくありがとうございました

ピージジ

「ありがとうございました

事件収集ついて相手は灰になりました」

ジジ

「了解」「ごくろうさん」「おつかれさま」「おてがらだねー」

「能無しは能無しね。おつかれさま」

はて今のは暁子さん。賛辞にあたいするのかな?割には機嫌悪

「あーなんだって暁子さんはからむかな」

「あら、しらないの?」「え?萌香さん知ってるの?」

「育ちよ高校でるまで片親といえ大事にそだてられた美穂ちゃんに

嫉妬してるのよ。彼女の両親は7つくらいで二人同時に他界してるわ

施設に入って変な力持ってて先生からもおびえられてひどい子供時代

すごしてきてるのよ。にこにこ笑える生活ができるだけでも憎い

それが本音でしょうねぇ。まぁ気にしないのが一番。」

てことは今回の事で両親うしなってたら輝もひねくれるのかな?

あーよかった無事で。


ユニコーンもかわいそうだよね。人の意思でねじまげられて

生まれてきちゃったんだもん。今度は幸せに生まれてきてね。


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