【番外編】文化祭の一幕(1)

「今日はとうとう文化祭だね?お姉ちゃん」

「ええ、そうね皆に楽しんでもらえるように今日まで頑張ってきたからめいいっぱい楽しんで欲しいわね」

「きっとだいじょうぶ、ねぇねぇも、にぃも、他の人達も皆で力を合わせて準備してきたから」

「うん、色々大変だったしね......」

僕は遠い目で準備のことを思い出す




そう、それは文化祭当日から1ヶ月前くらいにまで遡る......


放課後、お姉ちゃんを迎えに生徒会室に入る

最近お姉ちゃん帰ってくる時間遅いし......珍しく家にまで書類を持って帰ってくるレベルで忙しいっぽいんだよね

今日は珍しく早く帰れるから生徒会室まで迎えに来てとのことだからこうしてきたんだけど......


ふと気付くと目の前に人影が見える。顔を持ち上げるとお姉ちゃんが得意げに腕を組んで僕を見ていた。


「ふふふ、千秋とうとうこの時期がやってきたわよ......!」

今日はやけにテンション高めだね?お姉ちゃんまぁなんとなく予想はついてるけど......

ここは乗っかって僕も演じてみようか?

「一体何の時期が来たっていうの?」

「そう...!とうとうやってくるのよ......!」

こうしてお姉ちゃんも乗っかてきてどんどん加速していく

「ま、まさか......?」

「そう...それは......!」

「それは?」

ガチャ

「文化祭......!」

「「!!!」」

は驚愕した......!

「千尋...!それは私のセリフなのに......」

お姉ちゃん、そんなに肩を落とさなくてもいいのに......そんなに言いたかったのかな?

「部屋入ろうとしたらおもしろい話してるの聞こえたから...ごめん......」

そんな中、お姉ちゃんが一つ咳ばらいをする

「こほん、気を取り直して......そうよ!文化祭が近づいてきたのよ!」

「まぁ確かにクラスの中でも出し物の話がちらほら聞こえてくるなぁ」

「えっと...一年生は展示で......後はなんだっけ?」

「二年生が劇で、三年生が模擬店ね、あとは部活や有志の発表もあるわよ」

「そうそう、そのうちの一つに去年は生徒会もイベントをしてたよね、今年もやるんでしょ?」

「そう、千秋!話が早いわね!」

「ねぇねぇ、今日いつもより元気?」

「というよりはテンションが高いだけだと思うけど......」

「そう!今年は生徒の意見も取り入れようってことになったから私の身近にいるあなた達に手伝ってもらおうと思ったのよ」

「さすがねぇねぇ、あたまいい」

「でしょ?我ながら名案だと思ったわ」

こういう時は元々賢い頭がさらに覚醒しているんだから恐ろしい...

「こういうサプライズ形式で発表させてもらったわ!」

「まぁ最近帰ってくるの遅かったし、文化祭の時期も近付いてるから忙しいのかなぁ?とは思ってたけど......」

「なんだかたのしそうだね、にぃ」

「うん、それにお姉ちゃんが真剣にお仕事してる姿も見れそうだしね?」

「もうすこししたら他の生徒会のメンバーも来るからちゃんと挨拶するのよ、特に千尋」

「う...できるかぎり頑張って善処する......」

千尋嫌すぎて似たようなこと二回も言ってるよ......

「まぁ千尋、僕が最初に挨拶するからその後に続いて言えばいいよ」

「ん......それならいけそう、にぃありがと......」

まぁ僕も自己紹介とか得意なタイプじゃないけど、可愛い妹のためならそれくらい頑張れるよね。

「もう少ししたらくると思うからそれまでくつろいでいて」

「はぁい」

千尋は気の抜けた返事をしてスマホをいじり始める

僕はというと......

「さてと、これは一週間後に締め切りになってたけど......これを早めに終わらせておかないと後が詰まっちゃうわね......」

「これは生徒会長と生徒指導部の生徒の承認が必要だけど......」

生徒会長としての仕事をこなす姉を眺めていた。

普段は見せないようなキリっとした顔つきで淡々と書類に優先順位をつけてそれぞれをまとめてクリップでまとめる

「にぃ、ねぇねぇすごいね」

スマホを見ていたと思っていた千尋だけど、僕と一緒でお姉ちゃんの仕事っぷりを見ていたみたい。

ずっと見ていたからか、お姉ちゃんが僕達の視線に気づく

「どうしたの?」

「いや、お姉ちゃんが真面目にお仕事してるの初めて見るなぁと思って」

「家にはなるべくそんな空気持ち込まないようにしてるもの」

それは初耳だった......

「だって仕事終わった後に仕事しんどかった、とかわざわざ学校の愚痴を放課後まで聞きたくないでしょうし」

「ん、別に気にしないけど......」

「うん、僕達は全然気にしてなかったけどそんなところまで気を使ってくれてたんだね」

「私は長女だからこういうところまでしっかりしておかないといけないのよ」

胸を張ってお姉ちゃんが言う。

「まぁでもそれでお姉ちゃんが抱え込みすぎちゃうのも困るから本当にしんどいことがあったらちゃんと言ってね?」

「大丈夫よ、あなた達がいるだけで私はどんなことでも頑張れるんだから」

「そ、そう改まって言われると照れるなぁ......」

「ま、それだけ感謝しているってことよ」

ガチャ

「生徒会長、おはようございます」

生徒会の人が何人か入ってくる。

「ええ、おはよう。皆が集まるまでゆっくりしておいて」

「はい、わかりました」

そういって慣れた様子で席に着く。生徒会のメンバーは座る場所決まってるみたいだ。

合計7人くらいが来たところで席が一杯になった。

咳ばらいをしてお姉ちゃんが生徒会の人達に声をかける

「それじゃあ皆集まったわね、今日はご存知の通り文化祭の準備期間が始まるわ。」

一斉に生徒会の人達が頷く。それだけ生徒会にとっても重要な行事なんだろう。

「当日の管理も当然大事だけど、準備の段階の予算の申請なども大事になってくるわ」

「皆が最大限楽しめるようにする義務が私達にはある。そのために必要なことは私達で全部こなすのよ、当日には不安材料は一つも残してはいけない。いいわね?」

「「「はい!」」」

お姉ちゃんの気合いに応えるように生徒会の人達が返事をする。

なんだかすっごい一気に空気が変わったような気がする......これが生徒会長のお姉ちゃんの姿かぁ長女としての姿ともちょっと違って......かっこいいなぁ

「会長、お疲れ様です。これで私達の気も引き締まりました」

「そう、そういってくれると助かるわ、妹達にもかっこいい姿を見せられたみたいだし」

「一人は弟では......?いや、妹でいいのか..........?」

「えっと...普通に名前で呼んでもらえば大丈夫ですよ?」

これから関わる機会も多いだろうしいつまでもそんなことで悩まれてても困るし......

「確かに生徒会長と妹さんとの区別もつけなくてはいけないから苗字で呼ぶこともできないしな」

「じゃあ、早速だけどこれからの予定について話していくわよ」

そういって僕達はお姉ちゃんから今後の説明を受けるのだった。



















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る