私の愛しい子供達

 授業の終わりを告げるチャイムの音で時間はとうとう昼休み。僕はお姉ちゃんと千尋を迎えに行く。

授業の片付けを終えて、少し準備を終えた後、ドアを開けて僕の教室から近い千尋の教室から向かおうとすると、

「千秋、ここにいた。」

「え、お姉ちゃん、ここまで来るの速いね?」

「荷物片付ける前に来たもの。」

「さ、千尋の教室行くわよ。」

 お姉ちゃんが僕の前を先導するように歩く。それに続いて僕も後ろを歩く。

学校は3階建てで2学年ごとに区切られているから、僕と千尋の教室はお姉ちゃんの教室と比べて近い位置にある。

。緊張であまり会話をすることもなく、あっという間に千尋の教室の前に着いた。


「千尋!お前このゲームやってんの?」

「ま、まぁ、それなりに。」

「女でこのゲームやってるやつ初めて見た。」

「私、ゲーム...好きだもん。」


それを聞いた僕とお姉ちゃんは驚いて顔を見合わせる。

「ち、千秋......」

「う、うん、千尋が頑張ってクラスの子と話してるよ......」

僕達も千尋が毎時間の休みに僕達の所に来ているからクラスのことあまり馴染めていないのは分かってた。けど今までなにも言ってこなかったのは千尋がそのことを気にしていなかったから。しかも千尋の極度の人見知りだから無理やり人と引き合わせるのをためらっていた。それなのになにかあったらしく、千尋がクラスメイトと喋っている。なんか、かなり感動。語彙力なくなっちゃったけど、それぐらい感動。たどたどしいおぼつかない言葉遣いだけど頑張って話を続けている。

でも今は他にやることがあるから、

 このことについてもじっくり話したいけど、まずは教師に今回の件を突き詰めなければならない。

そうだよね?このまま済まそうなんてそうはいかない。

あまり会話の邪魔をしたくないのは山々なんだけど、行くしかないよね。

「千尋ー来たよー」

「ん、にぃ...!」

会話を辞めて一目散にこっち来たよ...?

さっきまで話してた子もえ?みたいな顔してるよ?

「ほ、ほら千尋。さっきまで話してたんでしょ?」

「?うん。」

「話途切れちゃうけど......」

「あの...千尋の兄弟の人ですよね?」

「あ、そうだよ。」

「千尋殴ったのは俺なんです...本当にごめんなさい。」

「あーいいんだよ。怒りの矛先は君じゃないよ。」

「あ、ありがとうございます。あと、兄妹優先なのは分かってるんで...」

「あー...なんかごめんね?」

千尋......まだまだ周りに馴染むのにはまだまだ時間がかかりそう。

「まぁ...これからも妹をよろしくね?」

「は、はいこちらこそ!」

「じゃあ千尋、行くよ?」

「ん。」

そうしてドアをくぐると、

「さ、そろそろ行くわよ。」

「お姉ちゃん...しれっと教室入ってきてなかったでしょ?」

「あら、バレた。まぁ私がいたら萎縮しちゃうでしょ?」

「まぁそういうことにしとくよ...」

「さ、急ぐわよ。」


階段を降りてすぐに応接室はある。

前に立って僕達はノックをする。

中からすぐに声がする。

「入りなさい。」

それを聞いた僕達はドアを開く。

「どうもです。」

「それで?今回のそこの子の対応の話だっけ?時間がないから手短にお願いするよ。」

この人...完璧に僕達のこと舐めてる...でも僕達の言ってることは決して間違いじゃないはず。

「じゃあまず今回の件についてなんですけど...」

「......」ポチポチ

「あの...なんでスマホいじってるんですか?ちゃんと話聞いてくださいよ。」

「そうはいってもねぇ?生徒1人の意見だし...結局学校としての意見は変わらないよ?」

この人初めからそのつもりで...

そんなこんなで話が進まず、困っていると

「お、おいいきなりなにしてるんだ!」

「学校は関係者以外は立ち入り禁止だぞ!?」

「いーのいーの。」


「私、神代家の母だもの。」

バンッ

「はーい私の愛しい子供達!元気?」


「お、お母さん!?どうしてここに?」

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