憂鬱だ...

「ああ...そうだ...お風呂だ...」

そうだよ...お風呂だよ...僕はこの体でお風呂に入らなきゃいけないんだ...

なんか自分の体だけど罪悪感が....

「いきなり叫んでどうしたのよ千秋?」

僕の叫び声を聞いてお姉ちゃんが顔を出す。

「お姉ちゃん...お風呂だよ...」

「それがどうしたの?」

「お風呂だよ?」

「ええ、お風呂ね。」

「にぃ、それがどうしたの?」

「なにか思わない?」

「「なにも思わない(わ。)」」

まじか...

この姉妹達は僕が性別変わったこと忘れてる?

「僕女の子になったんだよ。」

「うん。」

「だから、お風呂に入るのに少し抵抗が...ね?」

 すると千尋が心底疑問そうに、

「なんで?」と言った。

「なんでって...」

「だってそれにぃの体だし...別に問題ないよ。」

「そうよね。自分の体なんだからなにも気にすることないわよ。」

「それもそっか...いや、そうなのか?」

...確かに自分の体だもんね?

「急に騒いでごめんね。」

「気にしないで。全然大丈夫よ。」

「じゃあ私お風呂行ってくる。」

「うん、いってらっしゃい。」

 千尋がバスルームへ行った後、僕は自分の部屋へ向かってベットに寝転んで適当にスマホをつつく。

「ほかの人も僕と同じようなことになってる人いないのかな?」

『性別 急に変わる』とか、それに近いもので検索してみるけど、僕が求めている答えに近づくようなものは結局見つからなかった。

「はぁ...手がかりは全然なしか...」


ガチャ

「にぃ、お風呂あがったよ。」

お風呂上がりの千尋がお風呂が空いたことを報告しにきたんだけど...

「千尋、また髪乾かしてないでしょ?」

「別に私髪短いから問題ない。」

「問題なくないよ。ドライヤー持ってきて。」

こうやって結局いつも僕が乾かすんだよねぇ...

「そういうと思って。」

ドライヤー持ってきてるよ...

「もう...仕方ないなぁ...」

「にぃ、やっさしー。」

 こうして千尋の髪を乾かした後に僕がお風呂に入る、これが僕の夜のルーティーン?みたいなものだ。

「にぃ、ありがと。」

「うん、次僕がお風呂かぁ...」

「さっきも言ったけど気にすることない。」

「そうだよね...?じゃあ行ってくるね?」

「あ、待って。」

「なに?」

千尋が部屋から出てどこかへ行った。

どこ行ったんだろ?

そしてしばらくするとなにかを持った千尋が帰ってきた。

「これ。」

そうして千尋が僕に差しだしたのは...

「これって...?」

「ん、下着。貸してあげる。」

「そんなに簡単に貸さないで??」

「仕方ないでしょ。」


はぁ...


こうして妹の下着を借りて僕はお風呂へと向かうのだった...

はぁ...


憂鬱だ...






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