前のエピソード――第36話　エピローグ

「お母様！ライネルとマルクがまたお勉強をサボってるの！男達を引っ捕まえて叩きのめして頂戴！」

そう怒りながら部屋に入ってきた長女のミレーユ。

「あらあら、女の子が叩きのめすだなんて言葉は良くないわ。ライネルとマルクは何処へ行ったのかしら？」

私はニールと目を細める。

「ライネルはモーラおじいちゃんの所でマルクはサイモンおじちゃんの所ね。いつもそうだもの」

　あれから6年が経ち私達は３人の子供に恵まれた。

不思議な事に３人とも光属性魔法持ちだったため、生まれてすぐに国の保護対象になった。

私が光属性に目覚めてからは毎年1人位の光持ちが産まれていたが、私が結婚して以降、2、3人が産まれるようになっている。やはり仮説は正しかったのかしら？？

　長女のミレーユは属性は光のみだったが、将来的に魔力量は私を超えると思う。

長男のライネルは今年で5歳。

属性は光と風。どうやら風魔法の方が得意のようでいつもマルクの悪戯に付き合っている。

姉に比べて魔法を上手く使えないといつもしょげていたのだが、モーラ医務官と出会い、悟りが開けたのかモーラ医務官に薬の知識を請いによく医務室へ出かけている。モーラ医務官もライネルの事が可愛くて仕方がないらしい。自身の全ての技術をライネルに教え込む！と意気込んでいるわ。

4歳のマルクの属性は光と火。

ライネル同様光属性より火属性の方が強い。魔力量は豊富なのだが本人は騎士になりたいと隙あらばサイモン様の所へ出かけて行き剣術を教わっている。サイモン様もマルクを気に入っているらしく『俺の弟子だ』と周囲の人に公言しているみたい。

　たまにサボっているけれど、子供達３人とも普段はしっかりと魔導師師団長執務室の隣部屋で勉強をしている。

私のお父様やファルセットお兄様が仕事ついでに子供達に会いに来てくれる。お父様に至ってはほぼ毎日かしら？ニールのお父様も大臣なのでたまに孫達にこっそりおもちゃを買って部屋に置いていくの。

お母様達は『貴方達だけ毎日孫に会うのはずるいわ』と拗ねているみたい。長女のミレーユは気を利かせているのか、空気を読んだのか毎日練習といいながら『おばあちゃん、元気？今日は弟達を締め上げたわ！だって勉強しないんだもん！』とメッセージを一言乗せて公爵家のニール様のお母様と私のお母様に魔法で飛ばしている。お父様達の良き緩衝材となっていて賢い娘だと感心してしまうわ。

　因みに3兄弟とも護身術を習っているのだけれど、ミレーユが飛び抜けて強い。本人は私やニールのような魔導師を目指しているらしい。

　私は6年経った今も相変わらずニールの補佐のまま。私自身王宮魔導師の資格は取れてはいるの。ニールの補佐をする理由はニールが離れたくないと駄々を捏ねるのと、私が居なくなると物理的に部屋が荒れる。（主に書類）一応、私の部屋は隣なのよ？今は子供達の部屋となっているけれど。

そして最大の理由。

私のお腹の中に二つの命がもうすぐこの世に誕生しようとしている。

ニールはとても心配して一時も目を離したくないと言っているわ。