ストーリー161~164

ストーリー161:ブロント、動く!


登場人物

ガルシア、ポートル、ラムル、ルイス、ブロント、ルード、シャガン、管理本部オペレーターA、B



 ミクラットにバンズからの受信。


 ガルシア「了解バンズ。ブロントまで繋がったのね、良かった。……ポートル?聞いてた?」

ポートルoff「マーデクト了解、リレーします。」


 カーラント内メインルーム。通信の応答を待っているラムル。


 ポートルoff「こちらマーデクト。カーラント、ハンジャ聞いてる?……無事長官まで転送完了!」

ラムル「カーラント了解。」

ルイスoff「ハンジャも了解。ブロントからの通信待つわ。」


 余計な尾ひれの付く伝言ゲームにならなくて、なによりの情報だった。


 まもなくして、ハンジャ内メインルームに、ようやくノアーナから通信が入って来たところだ。


 ルイス「こちら宇宙船ハンジャ。感度良好、どうぞ。」

ブロントoff「ルイス、ブロントだ。一体君達は何をしにいった!しかもラムルやラムルの友人達まで巻き込んで……。」

ルイス「お怒りはごもっとも。でもデータはご覧になった筈です。お願いです。直ぐに設計図のシールドを100でも200でも製造指示を出して!ノアーナと地球との時間経過の差が3倍も有るの。モタモタしてられないんです。出来上がったシールドを軍の軍艦ふねで至急地球まで届けて!」

ブロントoff「G15によって地球が危ないんだな?」

ルイス「まだ連絡は有りません。でも恒星が輝きを失ったら、地球は……青き水の惑星は凍りついてしまうわ。地球人は絶滅よ!お願い!ノアーナを上げて地球を守って!……メッセージのグランはシールドさえあれば対抗出来ると考えてる。でも、到底地球人にはG15に対抗出来ないっ。せめて……せめてノアーナの金属でシールドを作れば……。」

ブロントoff「落ち着きなさいルイス。分かった。分かったから気をしっかり持って。G15の位置情報が分かったのだから映像も捉えられる。シールドの件は何とかしよう。そのまま待機していなさい。くれぐれもラムル達を心配させないでくれよ。それからな、バンズから君とドックを見に来てほしいと招待された。落ち着いたら行こうじゃないか。」


 通信を終えた管理本部内は騒然としている。その画。


 ブロント「カーレイだ。本部職員関係者に緊急メッセージ。これよりノアーナは、系外にある隣の恒星系危機の為、軍の全てを投入し援護する。……また、軍系列の製造関係に伝達。設計図のシールドを至急製作するよう手配してくれ。数量は問わん。作れる限りだ!……至急1番艦から3番艦はビブレスとゴレイナで停泊、完成したシールドの格納準備と待機。」


 ルード本部長独り言off「地球というのは隣の恒星系所属惑星……なのか?位置情報はG15のいる場所……。」


 シャガン副本部長「本部長、位置情報からG15を探索します。」

ルード「頼む。捉えたら全体モニターへ投影。」


 ブロントは側に立つルードとシャガンに語った。


 ブロント「さっきのメッセージや画像は、隣の恒星系所属惑星、地球という惑星からだよ。聞いていてわかるだろう。翻訳されたメッセージだ。……実はな、その地球には私達に似た生命体が存在している。RJ計画により実行された惑星ほしでもある。その地球の生命体が緊急メッセージ、協力を求めている。協力しない理由はない。……これはG15を潰すチャンスであるのかも知れん。君達はここでオペレーターに指示を。私はギランガで向かう。」

ルード、シャガン「分かりました。」


 ブロントはもう一度バンズに連絡した。


 ブロント「バンズ、応答を。」

バンズoff「長官、バンズです。」

ブロント「君の設計は簡易的だが当てになるな?」

バンズoff「地球からの設計では時間がかかり過ぎるので書き直しました。重量、強度共に問題無い筈です。」

ブロント「ビブレスとゴレイナの軍関係の製造所はシールド製造に取り掛かる。軍の3隻に格納し、地球に向かわせる。私も軍の旗艦、ギランガでG15の手前まで向かうよ。……ありがとう、バンズ。……カーラントとハンジャ以外の船のIDを教えてほしい。向かう途中で連絡を取りたい。」

バンズoff「分かりました。今送信しておきます。」


 一方、ビブレス=ガル、ゴレイナ=ガルの両都市にある、軍直属製造所ではバンズの設計による簡易シールドの製造が始まった。


 画面は変わってRJ計画管理本部メインフロア。


 オペレーターA「G15の画像を捉えました。……かなり距離がある為、詳細にモニター出来ませんが、これは間違いなく自立移動惑星G15のようです。」

オペレーターB「奥の恒星がダメージを受けています。何らかのエネルギー砲によるものと推測されます。」

ブロント「ヤツが恒星に気を取られてる隙を突く。4番艦から7番艦は出撃準備。ギランガも同様。ギランガはブライドン艦長に代わって私が指揮を取る。ブライドン艦長は7番艦で指揮するよう伝達してくれ!。」


 ディゾルプ。



ストーリー162:安堵の面々


登場人物

バンズ、ガルシア、ポートル、ラムル、ルイス



 バンズのドック内メインルームからの送信。


 バンズ「こちらバンズ。ミクラット聞こえますか?」

ガルシアoff「こちらミクラット。その後どんな返事をもらったかしら?」

バンズ「長官はシールド製造をビブレスとゴレイナの軍系列の製造所に依頼しました。軍の3隻に格納して地球へ向かうと言ってました。長官も旗艦ギランガでG15手前まで向かうようです。ミクラットとマーデクトのIDを伝えたから軍の船から連絡が入ると思います。」

ガルシアoff「了解、バンズ。転送するわ。」


 マーデクトのポートルは報告を待っていた。


 ガルシアoff「こちらミクラット。マーデクト聞こえる?」

ポートル「こちらマーデクト。バンズの転送受け取りました。リレーします。」

ガルシアoff「シールド製造の手配をしてくれて本当に良かったわ。軍の船から連絡が来るでしょう。ポートル。ミクラットやマーデクトは解体覚悟してなきゃね……。」

ポートル「か、解体ですかぁ〜。そんなぁ……。」

ルイスoff「こちらハンジャ。聞いてたわガルシア。管理本部に黙って外宇宙に出たのは私達が悪いけど、船は絶対に解体させない!」

ラムルoff「ラムルです。私からもその件は父上に伝えます。だから皆んなは心配しないで待っててください。」

ガルシアoff「了解。話してる間にバンズの通信は転送してるわ。確認してね。」


 ハンジャのメインルーム。


 ガット小声「ふぅー。これで完了。これなら万が一攻撃を受けてもメインルームは守られそう……。」

ルイス「ガット、軍が動いてくれる。攻撃は受けないわ、大丈夫。それが心配だったの?」

ガット「えぇ……気にはしてました。」

ルイス「で、さっきのチューブは一体何に役立つの?」

ガット「ずいぶん前から取り付け中だったエアバッグなんですよ。シートのエアバッグだけじゃなく、メインルーム全体もエアバッグが作動すれば衝撃を防げる。……最近ノアーナではフローターの事故が多くなったので、もしもの時のために着け始めたんです。……まぁハンジャの船体は頑丈ですが、それなりに衝撃吸収の意味で考えたんです。それで、ゆくゆくはビブレスの展示会にも出そうかなって考えてる秘策なんです。」

ルイス「それは良い機能ね。搭乗者の安全確保の良いアイテムになりそうね。最悪墜落にも対処出来るのであれば、展示会で人気機能になるわよガット。」

ガット「父は、小さな岩山位は突き抜けると自信満々でしたが、障害対策がシートのみでは甘かったので、僕が取り付け始めたんです。これはきっと展示会で注目されますよ。」


 ディゾルプ。



ストーリー163:ラムルのメッセージ到達か⁉︎


登場人物

キース、グラン、キース班メンバーA、タロン、ルード、シャガン、4番艦オペレーター、ブロント、ラムル、ポートル、ガルシア、ソディナ



 ラボラトリー・レンブラント地下3階。


 メッセージ衛星で送った周波数で、通信電波の監視を続けていたキース班。グランも側でデスクを構えていた。


 キース班メンバーA「は、キース班長。微弱ながら電波を確認。」

キース「電波の内容を解析頼む。」

グラン「ノアーナ人がメッセージを捉えて送り返してくれたのだろうか……?」

キース「いえ、まだ何とも……。」

メンバーA「微弱過ぎて詳細は掴めませんがこのまま続けます。」


  そこへ人数分の缶コーヒーを抱えてタロンがやって来た。


 タロン「良い知らせかどうか判断し兼ねるんだが、メッセージ衛星の探査確認が出来なくなった。ちょうど太陽系外に出た辺りだそうだ。」

グラン「タロン。今、指定した周波数に微弱電波を確認したところだよ。この電波がメッセージ衛星を回収していて、向こうから発信してくれていれば願ったり叶ったりだがね。」

メンバーA「キース班長。2度目の電波確認。」

キース「2度目?2度目とはどういう事だ?」

メンバーA「一旦途切れ、少し後にまた確認しました。」

タロン「それは定期的な自動発信かも知れないな。その間隔も確認しておく様に頼むよ。」

キース「総督。エネルギータンクモジュールの換装は200機を超えました。まもなく完了の知らせが届くと思います。」

タロン「換装が終わったHMは射程距離も伸びた様だ。それでシステムのアップロードは?」

キース「合わせて行っている様です。問題ありません。」


 Fade-out。


 Fade-in。


 RJ計画管理本部メインルーム。


 ブロントは旗艦ギランガで指揮を取る為、管理本部での指揮系統はルード本部長とシャガン副本部長に引き継がれた。


 ギランガの出撃の後、続いて4番艦から7番艦の発進を見届けたメインルーム。


 ルード「こちらは管理本部指揮。4番艦応答せよ。」

4番艦オペ「こちら4番艦、指定のIDに通信後、確認宇宙船の回収に向かいます。」

シャガン「G15の映像はそのまま維持、監視を続けてくれ。全体映像はそのまま。」


 一方G15に向け発進したギランガと艦船3隻の画。


 ギランガ艦橋UPの画からメインフロア、ブロントの画。


 ブロント「こちら旗艦ギランガ。カーラント応答せよ。こちら艦長カーレイだ。カーラント、応答せよ。」

ラムルoff「こちらカーラント。ラムルです。」

ブロント「ラムル、私だ。その後地球からの応答は?」

ラムルoff「出力を上げて発信し始めてから、しばらく経ちました。向こうへは届く頃だと思います。」

ブロント「了解した。人型用シールドは1番艦から3番艦に格納してまもなくノアーナを出る。地球付近には向こうの時刻で3日後には受け渡せると発信してくれ。地球とのやり取りはラムルにやってもらう。余計な口出しはせん、頼む。」

ラムルoff「了解しました、父上。」

ブロント「4番艦が先行して発進した。ガルシアの宇宙船ふねから順に回収する。向こうの応答が有り次第連絡頼む。」


 カーラントメインルームでは……。


 ラムル「こちらカーラント。マーデクト聞こえる?」

ポートルoff「こちらマーデクト。ラムル、進展あった?」

ラムル「まだ何も……。それより、軍の4番艦が私達の船を回収しに飛んでくる。指示に従ってね。」

ポートルoff「了解、転送するわ。」

ガットoff「こちらハンジャ。ハンジャも了解しました。」


 ミクラットメインルームに画面が変わる。


 シートのガルシアから、天体観測中のソディナが見える。


 ソディナ「うーんこれは素晴らしい。恒星系ですね……。」


 ソディナは観測データの収集に余念がない。


 ポートルoff「こちらマーデクト。ミクラット聞こえますか?」

ガルシア「こちらミクラット。ラムルの話は了解よ。ここにはまもなく来るでしょう。4番艦で会いましょ。さすがにバーベキューは出来ないわよポートル。」

ポートルoff「ですよねー。ノアーナに帰るまでお預けですね。では、ガルシアさん。4番艦で。」

バンズoff「バンズです。ガルシアさん、4番艦に回収ですか?」

ガルシア「皆んなの船が回収されるみたい。……これからの内緒の通信はIDソロ通信よ。マルチでは軍の船に筒抜けだから気をつけましょうね。」


 ディゾルプ。



ストーリー164:応答が届いた!


登場人物

キース、グラン、タロン、ラムル、4番艦シトラ=ドラン艦長、ルイス、ガット、ブロント、旗艦ギランガオペレーター



 ラボラトリー・レンブラント地下3階では、ようやくカーラントからの通信を傍受した。


 ラムルREC音声「こちらノアーナのラムル=カーレイ。地球からのメッセージ衛星は回収し解析を終えました。グランの緯度経度を知れればピンポイントでこちらから送信可能。太陽付近の物体は、私達がG15と呼んでいる自立移動惑星です。かつてノアーナの連星を壊滅させた物体でこのままでは危険です。ノアーナからシールドの供与も考えます……まだ台数が知らされていません。現存のヒューマノイド=アーマーの総数分を至急知りたく思います。この通信を傍受したら、最大出力を持って報告を希望します。」


 キース「総督!地球の言語を使ってメッセージしてきました。至急応答を!」

グラン「送信出力を最大に!……こちらからの電波はどの位で届くか分からないが、応答しよう。」

キース「謎の物体は自立移動惑星だと言っています。やはり攻撃を受ける可能性がある様です。」

タロン「地球から金星の公転軌道上までHMで向かって待機するのが良いのではないか?攻撃射程距離が把握出来ないが、近付き過ぎは危険だろうグラン。待機位置情報を発信して出撃を!」

グラン「分かった。……こちらは地球連邦軍グラン=ジョリー。ヒューマノイドアーマー総数300。この位置情報で待機する。……総督機HMの通信コードでピンポイント通信が可能。通信コードは……」


 ディゾルプ。


 太陽の明るく輝く位置までゆっくり移動しているG15の画。


 暗い部分との差が分かる画で。


 Fade-out。


 Fade-in。


 ミクラット内メインルームに4番艦から通信。


 シトラ=ドラン艦長「こちらノアーナ星会敵対策軍4番艦コルドー。艦長のドランだ。これより宇宙船ミクラットの回収作業に入る。コクピット又はモニターテーブルシート等で待機せよ。」


 まもなくして4番艦船尾ドックに回収されるミクラットの画。


 カーラントに地球からの通信が入った。


 ラムル「グラン。良かった……。繋がった。……ジャン、母上に通信内容の転送をお願い。ギランガには私が連絡するって伝えて。」

ジャン「了解、ラムル様。」


 近くで停泊中のハンジャ。


 ジャン「こちらカーラント。地球からの通信内容を転送しました。確認してください。」

ルイス「あら、ジャン。……そう。良かったわ。転送内容は確認しておくわね。」

ガット「ルイスさん。この位置情報では、地球より更に遠い場所になりますね。軍の4番艦の回収を待ちますか?」

ルイス「カーラントを残して、ハンジャだけで向かうのはどうかしら?……でもそれはガットが許可するならの話だけど……。」

ガット「4番艦は今頃はミクラットの回収でしょうね。ここまでにはまだ時間がありそうなので、位置情報の場所まで向かってもいいですよ。」

ルイス「連絡係位の役には立ちそうね。……本当は、あなたはカーラントに移ってほしいの。何か有ったらマットやシェルナさんに心配かけるでしょ?でもそんな事より向かった方が早いから。ごめんなさいねガット。」

ガット「いいえルイスさん。僕は男ですから。逆に女性のルイスさんだけに任せるなんて出来ませんよ。さ、行きましょう。……あの……でも操縦は任せますけどね。」

ルイス「ガットは強いのね。……いいわ、行きましょう。地球の近くになれば通信も早くなる。ガットは通信に気を配ってて。私とジックで操縦は任せて!」


 ハンジャが発進する画。カメラを引くとカーラントが見えてくる。


 カーラント内メインルーム。


 ガットoff「こちらハンジャ。地球からの位置情報の場所まで向かいます。ラムルさんは地球からの通信をお願いします。」

ラムル「な、何て?」

ポートルoff「地球に向かう⁉︎」

ルイスoff「グランさんの指定した場所で軍の船が合流する。先に行って連絡係をするわラムル、ポートル。」

ラムル「は、母上……。ガットが一緒なのに、無茶しないで。」

ガットoff「ラムルさん。船にはステルスもありますし、ルイスさんは僕がサポートしますから心配しないで。ポートルさん、次はマーデクトが回収ですが、4番艦でミクラットと合流出来ます。ガルシアさんによろしくお伝えくださいね。」


 一方、旗艦ギランガ内メインフロア。


 ブロント「300⁉︎……よし。ビブレスとゴレイナに至急総数300と伝えろ。現状積載分で1番艦2番艦は位置情報の場所まで至急移動、地球の人型と合流し速やかにシールドの提供を。」


 ギランガオペ「こちらギランガ。1番艦2番艦は現状積載分で発進。位置情報の場所まで至急移動。3番艦は総数300の内の残りを積載後、発進。」

ブロント「オペレーター。5番から7番艦へ指示。恒星系に入ってからはステルス最大で航行。その後は量子エネルギーの充填、発射に備えろ。」


 ディゾルプ。

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