ストーリー159,160

ストーリー159:ルイス、行動する


登場人物

ルイス、ポートル、ガルシア、バンズ、ガット、ガルアム



 ハンジャ内メインルーム。


 シートに座りイライラしているルイス。


 ガットに短気だと話したルイス……我慢も限界にきている様子。


 ルイス「ガット、やっぱりノアーナに知らせる!」

ガット「そうですね。同感です。こうして待っている間にも太陽は変わってしまうんですから……。僕はルイスさんを支持します!」

ルイス「そう言ってもらえると嬉しいわ。」


 言ってマーデクトに伝える。


 ルイス「こちらハンジャ。マーデクト聞こえる?」

ポートルoff「こちらマーデクト。進展ありましたか?」

ルイス「今のところさっぱりよ。それでポートルにお願いがあるの。バンズに頼みたい事を転送して欲しいの。それから地球からのメッセージも一緒にね。」

ポートルoff「了解ルイスさん。分かりました。メッセージをそのまま転送します。どうぞ。」


 ルイスREC音声「ルイスです。ラムル達と地球近くまで来て、皆んなで中継通信しながら伝えてます。今地球や恒星が大変なの。地球からのメッセージを聞いて。地球人は、設計図にある人型のメカで対抗する計画なんだと思うの。シールドを至急提供求めます。ノアーナの金属は地球の金属より遥かに強固な物です。彼等はシールドさえ有ればと考えたのだと感じます。ノアーナとしては地球に手助けするべきです。お願いします。私の乗っている船のIDに、至急連絡を待ってます。」


 ルイス「以上よ、ポートル。バンズには管理本部に連絡するようにって伝えてね。」

ポートルoff「さすがルイスさん。分かってるなー。オッケーです!全て了解、転送します。」


 一方、ポートルの転送を受信したミクラット。


 ガルシア「これを転送ね。了解。私もルイスを支持する。きっとブロントも動いてくれるわ。」

バンズoff「ガルシアさん、聞いてました。アタイも賛成。……実は設計図を見て改良した図を作って有ります。製作時間重視の簡単なシールドですが。これを添えて管理本部に連絡、転送してみます。ミクラットに参考図面送ります、ハンジャのガットまでリレーお願いします。」

ガルシア「ねぇねぇ、ここだけの話、地球からの設計図のシールド見た?カッコばかりで弱そうよねー。……じゃリレーするわ。」

ポートルoff「はぁい聞いてましたー。私も同感!あんなに平らな部分が多いとレーザービームなら貫通しちゃうわよねー。メカ同士で組み合って格闘するわけじゃないのにさー。」

バンズoff「ポートルの言う通り!あの設計図はダメダメだよ。……じゃ管理本部から何言われるか分からないけど、地球の危機を強気で連絡するからっ!」

ガルシア「頼んだわよバンズ。」


 バンズのドックではRJ計画管理本部に連絡する内容をメモしていた。


 ハンジャまでバンズの設計図が転送されてきた。


 ガット「ルイスさん、バンズさんが手直ししたシールド図面が来ましたよ。」

ルイス「どんな物か完成形が見られる?」

ガット「出来ますよ。……ガルアム、この設計図を実体化画像に変換してルイスさんに見せてくれるかな?」

ガルアム「了解、ガット様。お待ちください。……。……。………。モニターに映します。」


 3Dで表現された実体図。


 飾りは何もない。板を曲げただけの様なシールドだった。


 ヒューマノイド=アーマーの腕にロックさせる機構はさすが抜かりない。サイズは地球から送られて来た設計図の物より一回り大きくなっている。


 ガット「やはり製作時間重視のスタイルです、ルイスさん。」

ルイス「そうね。さすがバンズだわ。」

ガット「重さはほぼ振り回せる限界に近い様なので、厚みも考慮されてると思いますよ。」

ルイス「なるほど、それでこの湾曲はガットとしてはどう?」

ガット「平らのシールドでは角度無く攻撃されると貫通する恐れがあるので、あえて湾曲させて。これならレーザー位なら跳ね返るでしょう。バンズさんはそれも考えたんだと思います。」

ルイス「この設計図からだとシールド1枚辺り、どの位の製作時間で作れそう?」

ガット「腕へのロック機構は、ビブレスで出回っているフローター用の物を流用して……ビブレスの工房でも1日で数十枚はいけるんじゃないでしょうか。」


 ルイス独り言小声で「それなら運ぶ事も考えて、地球付近まで1週間も有れば可能ね。ビブレスとゴレイナでフル稼働させて作ればもっと早く行動出来そうね。……あとはブロントがどう動いてくれるかだわ。……少し強く言って軍を動かさなきゃ。地球時間で既に1ヶ月弱が経つ。……これだけが心配ね。」


 ガットはガルアムと一緒にメインルームの天井パネルのメンテの様子の画。

側にルイスが見える。


 ルイス「こちらルイス。ラムル聞こえる?」

ラムルoff「ラムルです。こちらはまだ進展無しです。どうしたの?母上?」

ルイス「バンズに管理本部に連絡するよう頼んだわ。私のメッセージと地球のメッセージ、それからバンズの改良したシールドの図面を転送してくれるわ。」

ラムルoff「私もバンズの設計図見ました。短期間なら直ぐ作れるのかしら?」

ルイス「ガットの話じゃ直ぐ出来そうな感じね。ハンジャのIDに連絡が来るでしょうから、ブロントに協力してもらうよう頼む事にしたの。」

ラムルoff「父上は、通信の中継計画とか、皆んなで出て来てる事まで知ったらどう思うでしょう?」

ルイス「G15絡みは明らかだし、動いてくれると信じてるわ。シールドが直ぐ作れるとは言っても、地球時間で考えたら3倍近い時間が経過してしまう。早く地球と連絡が取れるよう祈るしかないわね。……カーラントかハンジャが地球に向かう手も有る。でも向こうに行ったところでシールドの話は伸びちゃうでしょ?だったらノアーナに手を打った方が得策よラムル。……あなたは向こうに向かう事も考えてたんじゃない?でも今はそれでは済まないわ。G15が太陽で何かしている時がチャンスだと思わない?」

ラムルoff「ええ、実は向こうへ行くってのは少し考えました……。母上には何でも見抜かれちゃうのね。」

ルイス「そうよ、ラムル。だからいつも隠し事はしても分かるって言ってるじゃない。それは何故かって言えば……私も同じ事を考えるからよ。……多分ガルシアも当たり前のように見抜いてしまうわ。私もラムルも考え方が似てるんですもの。私がガルシアに隠し事が出来ないのと同じ。」

ラムルoff「じゃあ私はガルシアさんの前ではクールなポーカーフェイスでいようかしら。」

ルイス「あら、それじゃ逆に丸見えよ。その手は私が既にやりましたっ。……じゃ連絡待ってるわラムル。」


 ルイスとラムルの親子話が長引いている中、ガットはガルアムに抱えられて天井のパネルに何かしていた。


 ルイス「ごめんなさいガット。つい家にいる時の様に話し込んでしまったわ。……ガルアムと何してるの?」

ガット「天井パネルのエアバッグのメンテを……待ってる時間が惜しいので……。」

ルイス「何か手伝う?」

ガット「いいんですか?……では貨物室のボックスからチューブをここに運んでくれたらありがたいです。……ガルアム、あとは頼むね。僕はルイスさんとチューブを運ぶから。」

ガルアム「了解。天井パネルは外しておきます。」


 貨物室から運び出す2人の画。

 Fade-out。



ストーリー160:ブロントへリレー到達!


登場人物

ルイス(REC音声)、バンズ、一般連絡オペレーター、管理本部オペレーター、ブロント



 RJ計画管理本部、一般連絡用オペレーター室。


 一般オペ「こちらはRJ計画一般連絡室です。計画のお問い合わせはこちらで承ります。」

バンズ「あー。全く違う件なんですが……至急カーレイ長官に繋いで欲しいんです。」

一般オペ「何か疑問点などでしたらこちらでも……。」

バンズ「いえ、急いでいるんです。アタイ、いえ私はバンズ=グロビアと申します。長官の奥様からの伝言を預かったからと伝えてください。」

一般オペ「グロビア様ですね、一旦シャガン副本部長にお繋ぎしますのでお待ちください。」


 バンズoff「……チッ。こっちは急いでんのにたらい回しかよっ。ったくこれだから役所は嫌だ!」


 シャガン副本部長「代わりました。副本部長のシャガンです。」

バンズ「バンズ=グロビアです。カーレイ長官の奥様から至急のメッセージとメモリーデータが有るので代わってください。」

シャガン「長官の奥様から……。バンズ=グロビア様ですね、分かりました。今繋ぎます。」


 長官室で執務中のブロントのモニターテーブルに連絡が入った。


 ブロント「カーレイだ。どうした?」

シャガン「長官。バンズ=グロビア様という女性から、奥様からメッセージを預かっていると連絡が……。」

ブロント「バンズ……あぁバンズか。繋いでくれ。」


 ここでようやく繋がった……たらい回しは何処の星でも同じらしい。


 バンズoff「カーレイ長官?……やーっと繋がった。良かったー。ラムルの友人のバンズです。」

ブロント「博士のお孫さんだね、覚えているよバンズ。で、ルイスからのメッセージとは?」

バンズoff「話すと長くなりますので簡単に話します。ルイスさん他、皆んなが、今地球に向かって通信を、船で中継する計画を実行しています。」

ブロント「なんだって⁉︎地球に向けて⁉︎……なんて事を……。それで、」


 バンズは長官の言葉を遮ると続けた。


 バンズoff「とにかく聞いてください。地球に1番近い所を航行中だったカーラントが、地球からのメッセージ衛星を回収したんです。地球の軍責任者からのメッセージでした。その内容によれば、地球が今危機に瀕している様なんです。ルイスさんはカーラントではなく別の宇宙船ふねハンジャに同乗しています。そのハンジャのIDと、解析したメッセージ衛星の音声、搭載されていたデータを送りたいんです。」

ブロント「分かった。今から管理本部メインルームのIDを送るから転送して連絡を待っててくれバンズ。私も直ぐにメインルームに向かう。」

バンズoff「お願いします。」


 バンズのモニターテーブルに管理本部メインルームのIDが送られて来た。

バンズoff「やれやれ、やっと転送出来る……。」


 管理本部メインルームに送った内容は、ハンジャのID、定期通信メッセージ、記憶回路から解析したデータだった。


 一方慌ててメインルームに入って来たブロント。


 ブロント「データ転送が入ってくる。私のテーブルにも転送を頼む。」


 ブロント独り言off「地球と船で中継しながら通信する計画か。考えたなラムルは。そんな事までして連絡したかったのか……。地球からのメッセージ衛星……グランとやらも同じ様に連絡を取ろうと衛星を飛ばしたのだろう……。」

ブロント「まだ入らんのか?」

管理本部オペ「転送データの一部は、圧縮データでしたのでしばらくお待ちください。」


 ブロント独り言off「カーラントには連絡出来るが、まず内容を精査してから連絡するとしよう。ルイスが出ているとなるとガルシアも行っているんだろう……。いつまでも若い気でいるんだろうな。だがそれはラムルの世代にとっては良い事の様だ……。」


 管理本部オペ「長官。処理が出来ました。」


 バンズカットイン、

バンズ「転送完了っ。……こちらバンズ。ガルシアさん。長官まで転送リレーしましたー。以上。」


 普段はルード本部長のシート。そこに座ってモニターに向かうブロント。慌てて本部長、副本部長がやって来た。


 ルード「長官、どうされました?」

ブロント「妻からの連絡だ。緊急のようでな。音声データとその他圧縮されたデータが転送された。今処理が終わったところだよ。」

シャガン「バンズ=グロビアと名乗った女性ですが、あのグロビア博士の関係の方でしょうか?一般のオペに繋がったもので時間が掛かってしまい申し訳ありません。こちらが送信元IDです。」


 ブロントはIDのメモを受け取りながら、

ブロント「いや、どこまで緊急なのかもまだ分からん。私もこれから聞くところだった。君達も聞いておくといい。もし緊急なら頼む事も増える。」


 入って来た音声データから精査し始めた。


 ルイスREC音声「ルイスです。ラムル達と地球近くまで来て、皆んなで中継通信しながら伝えてます。今地球や恒星が大変なの。地球からのメッセージを聞いて。……地球人は、設計図にある人型のメカで対抗する計画なんだと思うの。ノアーナからのシールドを至急提供求めます。ノアーナの金属は地球の金属より遥かに強固な物です。彼等はシールドさえ有ればと考えたのだと感じます。今はノアーナは地球に手助けするべきです。お願いします。私の乗っている船のIDに、至急連絡を待ってます。」


 ルード、シャガン「地球?」

ブロント「黙って聞け。」


 次に翻訳された地球からの音声。


 グランoff「こちらは地球連邦軍総督グラン=ジョリー。惑星ノアーナへ向けメッセージ衛星を放出した。連絡及び内部データの確認を願っている。地球の存続に関わるかも知れない。一刻の猶予も無い。この周波数に連絡乞う。至急助けてくれ。」


 また、解凍したメモリーデータには、地球との通信用周波数、謎の物体(G15)の詳細画像、太陽黒点の異常画像、現時点での物体の位置情報、HMの両腕の様々な設計図、提供を希望するシールドの設計図、バンズが改良設計したシールドの設計図が入っていた。


 シャガンから渡されたメモのIDに連絡を入れるブロント。

 

 バンズoff「はい、バンズ=グロビアです。カーレイ長官ですか?」

ブロント「バンズかい?音声も色々なデータも把握した。最後の画像のシールドの図面は君が?」

バンズoff「はい、時間が有りません。地球からの設計図では使い物にならないのはおろか、手の込んだ設計では短時間では無理と判断して改良しました。グランはシールドの提供を求めています。もしかするとそれを装備して対抗手段に出るのではと思われます。」

ルード「おい!地球とはなんだ?どこからの情報だ?」

ブロント「本部長、これは話せば長くなる。後で聞かせるから今は黙ってなさい。」


 ルードは半信半疑な面持ちだった。


 ブロント「済まんなバンズ。それで向こうとは通信出来たのか?」

バンズoff「いえ、まだ何も……。ノアーナとは通信方法が異なっていて、今は最大出力でラムルが応答を待っているところです。」

ブロント「画像を見る限りではG15で間違い無さそうだが、ルイスは何と?」

バンズoff「ルイスさんとガルシアさんはG15だろうって話してます。」

ブロント「やっぱりガルシアまで一緒か……。バンズ、連絡ありがとう。ルイスにはこれから折り返す。そっちに用が出来たら連絡するから待機してほしい。」

バンズoff「かしこまりました長官。……それから、別件になりますが落ち着いたらルイスさんとドックを見にいらしてください。祖父の……ロワート=グロビアの隠していたドックです。」

ブロント「博士の隠していた?……あぁ。私にも見せてもらえなかったドックか……。分かったバンズ、それは楽しみだ。落ち着いたらルイスと伺う事にする。連絡感謝する。」


 バンズとの通信後、


 ブロント「本部長、副本部長には話していない事が山積していて直ぐと言う訳にはいきそうにない。不審に思わんでくれ。通信をしばらく聞いていてくれれば少しは理解出来てくる。」


 ブロントは次にハンジャのIDに連絡する。


 ブロント「オペレーター、このテーブルから外宇宙への通信を開いてくれたまえ。」

管理本部オペ「了解しました。外宇宙用通信開きます。」


 ブロントのモニターテーブルに許可された表示。


 ブロントはハンジャのIDを入力し通信を始めた。


 ブロント「こちらはノアーナ星RJ計画管理本部。応答せよ。こちらブロント=カーレイだ、応答せよ。」


 ディゾルプ。

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