ストーリー125~127

ストーリー125:ミクラットカスタマイズ完了!


登場人物

バンズ、ルイス、ガルシア、ラムル、ポートル、ジック、ソディナ、他のAnn達(台詞無し)



 ガルシア邸ドック。

 ミクラットのシステムボード接続や全ての配線は終わった。


 バンズは、ジックとソディナのデータ移行を済ませて、皆んなのAnnを集め、同期を見守っていた。


 バンズ独り言off「ルイスさんやガルシアさんに黙って、メモリー拡張したけど、どうやら正解。ジックとソディナは既にフルに近いメモリーだったんだ。それを自ら警告せずにミクラットに格納された……。古いシステムボードにデータを移しながらミクラットを守っていたんだもの。拡張して少しは楽になってもらわなきゃ……。」


 ガルシアとルイスがドックに入ってきた。


 ガルシア「バンズ?システムボードは終わったみたいだけど、Ann達はどう?」

バンズ「ガルシアさん、遅くなってすみません。古いボードからのデータ移行に時間食っちゃって……。ジックとソディナは大丈夫。今は皆んなのAnnと同期中です。データ量が多いのでもう少し時間掛かるけど……。」

ルイス「バンズ。長い時間、ジックやソディナを見てくれてありがとう。あなたには感謝してもしきれないくらいよ。」

バンズ「アタイ、ジックとソディナと一緒に行動出来るAnnでいて欲しいから。それだけなんです。……あ、それと……。」

ルイス「それと、何か有ったの?バンズ?」

バンズ「ミクラットのマニュアル操縦に対応出来るようシステムを変えてあります。ルイスさんとガルシアさんが楽しめる様に。」


 ルイスとガルシアは顔を見合わせ微笑んだ。


 ガルシア「私達で飛ぶの⁉︎ルイス、どう?……私はいつでも良いけど?あなたはどう思うの?」

ルイス「フローターじゃ、物足りないからちょうど良いわ。ね、バンズ?」

 ルイスはバンズに合図。(ウインク?)


 ラムルとポートルもドックに入って来た。


 ラムル「どお?バンズ。終わりそう?」

バンズ「うん、あと少しじゃないかな。しばらく同期中だから、それで全部終了だよ。」

ポートル「私、ジックとソディナに確認しなきゃ。」

ラムル「え?何を?」

バンズ「ポートルはややこしい話をするとお腹が空くって事。」

ラムル「それは間違いなく伝わるわねーポートル。」

ポートル「えー……やっぱりそうなるよねぇ……。データを消してもらってもまた記憶されるんだし……諦めるかー……。」


 ルイスとガルシアは、3人の会話を笑いながらドックを出た。


 リビングに戻ったルイスとガルシア。


 ルイス「これでミクラットが飛べる様になって、カーラント、マーデクト。地球から通信するにはまだ足りないけど……。」

ガルシア「ノアーナでの受信はバンズのドックではどうなの?……ここのメインルームでは無理だけど、バンズのドック……もしくはカーレイ邸のドックとか。」

ルイス「残念だけど、うちのドックはケイドと同じくシステムは解体、ただの駐機場よ。地下のオンボロ管制室も、ブロントがシステムデータを消してしまって無理ね。」

ガルシア「地球の地上からの通信がどこまで届くかは分からないけど、話だけでもさせてあげたい気がするの。彼女達が何か助けてあげられたらって気持ちは大事にしてあげたい。」

ルイス「私も同じよガルシア。あの子達はこれからのノアーナを支える世代。力になりたいわ。……何か名案はないかしらね。」

ガルシア「大きな中継衛星でも飛ばせば話は早いのに……あの子達はあの子達で出来る事をしようとしてるわ。出来ない話じゃないもの。私は今はあの子達に協力するわよ。」


 ドックから3人とAnn達が戻ってきた。


 ポートル「お待たせしましたー。終了でーすっ!。」

バンズ「ルイスさん、ガルシアさん。お待たせしました。」

ラムル「さぁさぁ、皆んなー。ジックとソディナを通してあげてー、さぁさぁ。他の皆んなは同期ご苦労様!壁に寄って待機モードね。」


 ラムルは全てのAnn達を連れて入って来た。


 最後にリビングに入って来るジックとソディナの画。

 それを迎えるルイスとガルシア。

ルイス、ガルシア「おかえり。」


 バンズ「ピクー。テーブルに皆んなの飲み物を用意して。」


 5人はテーブルにつく。ジックはルイスの横に、ソディナはガルシアの横に、それぞれついた。


 バンズ「時間調整がそれぞれ大変だったみたい。空白の時間に戸惑ってるみたいだけど、それはお二人の愛情でカバーしてあげてくださいね。」

ルイス「ありがとうバンズ。嬉しいけど、しばらく連れて歩かなきゃならないのが大変ね。」

ラムル「母上?私はヤキモチ妬かないから大丈夫よ。」

ポートル「ラムルが変な事吹き込まなきゃいいけどー。」

ラムル「それはAnn達だけで十分情報共有するじゃない。余計な事は言わないわ。」

ガルシア「今後はAnn達は知らない情報は共有する訳ね。もっとソディナと仲良くしなきゃ。」

バンズ「さて、ジックとソディナのそのテストを兼ねて、早速ジックとソディナに聞いてみよう!」

ポートル「いやいやバンズ、それはやめときましょ。」


 ジック、ソディナはポートルに近寄り声を揃えて、

ジック、ソディナ「ポートル様は、ややこしい話をするとお腹が空く……です。」

ポートル「もーっ!君達まで言うかっ!」


 ガルシア邸のリビングはしばらく笑いが響いていた。



ストーリー126:中継ポイント作戦


登場人物

ガルシア、ルイス、ラムル、バンズ、ポートル



 ガルシア邸リビングが賑やかな中、中継ポイントに向かう船を決める話し合いに入っていた。


ガルシア「ルイスとジックは何か有った時の為にシューロンね。バンズとピコは一緒にドックで受信内容のメモリーとデータ整理。……ノアーナに近いポイント1には私とソディナでミクラット。ポートルは真ん中の地点、ポイント2にフライとマーデクトで向かう。マーデクトに向かって、地球付近から通信が届く位置を探りながら向かう。これはラムルとジャン、カウルでカーラント。」

ポートル「地球の人は、タイミングよくこっちの送信に気付くかしら……。」

ラムル「数秒ごとに発信して待つしかないと思う。それと同時に地球側からの通信には耳を傾けるわ。」

ガルシア「まぁまぁお嬢さん方?まず最初はどの程度の距離まで、ここからの通信やデータが届くかよ。地球に向けてはそのあとのテスト。」

ルイス「最初の予定ポイント1に着いたガルシアは、バンズのドックに連絡ちょうだい。ポートルは次の予定ポイント2に到着したら、まずガルシアへ通信。ガルシアはそのままデータ転送って形ね。それぞれのポイントからの受信の強さや内容のチェックも忘れずに知らせて。……ところで、バンズのドックの通信設備、出力とかは間に合いそう?」

バンズ「それは最近グレードアップしてあるので問題無し。」


 ルイス「皆んな、話の途中で申し訳ないんだけど、今日はラムルを連れてビブレスに出掛けて良いかしら?」

ガルシア「まだ時間はあるんだもの、それは構わないわよ。何か問題有れば私達で話しておくから。」

ルイス「日が暮れないうちに戻るわ。ラムル、それでいい?」

ラムル「ええ母上。ジャンとカウル、ジックも一緒で……あ、カウルは貨物室ね。シートが合わないから。」

ガルシア「少しサイズがカウルには小さいものね。」


 ガルシアのフローターに乗り込むルイスとラムル、ジャンはコクピットへ、カウルは貨物室だがジックは後部シートに……⁉︎⁉︎⁉︎


 ルイス「ラムル、ビブレスの行き先。ID聞き忘れてしまったの。その事もあって出掛けたかったのよ。ラムルを連れてまた来るって話したものだから。……操縦は私がするわ。帰りの時間も気になるから。……それじゃ、出発―!」

ラムル「は、母上が操縦⁉︎……それは楽しみ……きゃ〜〜〜!。」

ルイス「あらラムル、ちゃんとベルトは閉めてなきゃ振り回されるわよ。マニュアルなんだから。……それにね、バンズは楽しそうに乗っててくれたわよー。」

ラムル「母上……。楽しそうなのは母上じゃあ……。」

ルイス「そうかも知れないわ。ホントはあなたには見せたくない姿だわね。……あ、オートじゃないからビブレスまでなら直ぐ着くわ。待っててね。」


 オートの水平航行ではなく、右に左に、最短距離を飛んでいくフローターの画。


 ディゾルプ。



ストーリー127:変形のAnnの対面


登場人物

ルイス、ラムル、ジャン、カウル、ジック、マット、シェルナ、ガット、ガルアム



 アリントス邸。バンズと来た時と同じ場所に着陸したフローター。


 リビングの窓からマットが覗く画に。

 ルイス、ラムル、Ann達が降りて来た。


 マットoff「ルイスが。おーいシェルナ、ルイスが来てくれた。……あれは!ジックとカウルじゃないか!」


 ドアを開けてルイス達を迎えるマット。


シェルナ「ルイスさん、ようこそ。今日は娘さんと別のAnn 達をお連れなんですね。」

ルイス「先日はIDもお聞きせず帰ったものだから。今日はせっかくですから娘も連れて伺いましたわ。」

マット「やあ、ジック、カウル。久しぶりだなぁ、覚えているかい?」

ジック「こんにちは、マット様。お久しぶりです。……私は以前と全く変わってませんが……マット様は少しお変わりになってしまいましたね。」

カウル「こんにちは、マット様。もちろん覚えています。……お怪我をされている様ですが?」

マット「ああ、これはちょっとしたミスでやってしまったよ。私はもう君達をメンテナンスしてやれなくなったがね。」

カウル「私はバンズ様がいるのでメンテは万全です。」

ルイス「ジックのメンテはバンズに頼むと思うわ。」

ラムル「初めまして、ラムルです。この子はジャン。カウルは父上からあるじの変更をして、今は私が従えています。あ、ジックが戻って来たんです。ジックもカウルも当時のメモリーはそのままですから、マットさんの事は記憶されている様です。」

シェルナ「初めまして、ジック、カウル、ジャン。妻のシェルナです。……ルイスさん、ジックやカウルの事は主人から少し聞いています。あなたやカーレイ長官が当時従えていたとか。」

ルイス「ええ、それでつい最近、カウルのあるじが変わりました。ジックも当時のまま戻ってくれて。」

マット「そうでしたか。あのジックやカウルが当時と変わらずなんて……。ロワートさんがカウルのカスタマイズを手掛けたのは存じてます。」

ルイス「そうね。1番弟子のあなたも知っていて当然ね。……ラムル?ジャンとカウル、見てもらったら?」

ラムル「はい、母上。……カウル、ジャン。マットさんに変形を見せてあげて。」


 カウルとジャンはマットの前で自慢(?)の変形を披露した。


 シェルナ「まぁ、凄いじゃない。ラムルさん、ちょっとそのままで待ってくださいね。」


 奥のクラフトルームへ行くシェルナ。


 マット「ああ、失礼。どうぞ掛けてください。」


 3人は椅子に腰掛けた。Ann達3体は側で立っている。


 そこへシェルナが息子ガットとAnnを連れ、戻った。


 ガットは開口1番、

ガット「人型⁉︎立派なAnnだ!」

シェルナ「自己紹介が先でしょ?」

ガット「あ、息子のガットです。初めまして。」

ルイス「初めましてガット。……この子は娘のラムル。それからカウルに、ジャン、それに私のAnnジックよ。」

ガット「僕のAnn 、ガルアムです。……さぁ、お前も変形を披露したらいい。」

ガルアム「分かりました、ガット様。」


 ガルアムの変形も見事だった。


 ルイス「あら、皆んな変形するのね。もちろん周りには内緒だけど。……カウルに少し似ているわね。」

マット「それは俺の設計だから、多少似てしまっても仕方ない。なんせロワートさんから指導された技術なので。……でも手掛けたのはガットなんです。」

ラムル「凄いわ。バンズみたいね。」

マット「バンズにも見せてあげればよかったね。」

ルイス「そうでした。彼女も良いメカニックの様で、ラムルも信頼する親友ですから。」

マット「さ、元の姿に戻っておくれ。カウル、ジャン。ありがとう。ロワートさんとお孫さんの手掛けたカスタマイズにお目にかかれるなんて夢にも思ってませんでしたよ。」

ルイス「ID交換をさせてもらって良いかしら?ジック、カウル、ジャン、船、フローター、私のモニターテーブル……位かしら。」

マット、ガット「ええ、もちろんOKです。」


 ラムル「皆んな自己紹介も含めて同期してね。ID交換も許可。」

ガット「IDはガルアムとドックのモニターテーブルに船、それから父さんのID。ルイスさんこれで良いですか?」

ルイス「ええ、ありがとう。今度はいきなり訪問したりせずに連絡入れますね。」

ガット「ガルアム、ID交換を。」

ラムル「マットさん、ガット。私の友人達のAnnとは近寄ると同期してしまうけど構いません?」

マット「もちろんですよ。」

ガット「皆んな仲良くしてるんですね。」

ラムル「そうなの。だから隠し事も出来ないわ。」


 ニッコリするラムルとガット。


 ガット「ラムルさん、奥のドックを見るかい?」

ラムル「あら、ドックもあるの?是非お願いします。……母上。ガットがドックを案内してくれるって。」


 ガットはラムルを連れて奥へ歩いて行った。


 ルイス「ラムルは船には乗るくせに、うちのドックにはいない事が多いの。もっぱらバンズのところばっかり。」


 ディゾルプ。

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