ストーリー120~124

ストーリー120:ルイスの操縦


登場人物

ガルシア、ルイス、ラムル、バンズ、ポートル



 ビブレスへの調達組は、寄り道が有ったせいか、エンジャーに戻る頃には日が暮れかかっていた。


 ガルシア邸の庭先ではポートルが先頭になってバーベキューの準備が整いつつあった。


 フローターが着陸する画。


 ラムル「カウル、荷物運びを手伝ってあげて。」

カウル「了解です、ラムル様。」


 ラムルとポートルは準備に余念が無い様子。


 ガルシア「おかえりルイス。ボードを探すのに手間取ったの?」

ルイス小声「バンズを連れてマットに会ってきたのよ。」


 ルイスはガルシアに内緒の合図。


 ガルシア「そうだったの。その話は後で聞かなきゃだわね。……バンズ、どうだった?」

バンズ「はい、マットさんっていういい方を紹介してもらって嬉しかった。それから……。」

ガルシア「それから?何か有ったの?」

バンズ小声「ルイスさんのマニュアル操縦、最高でした。」


 バンズもガルシアに内緒の合図。


 ガルシア「でしょー。ルイスは私の親友であり素敵な相棒よっ。良い経験したわねバンズ。」


 バンズは祖父の事でまた一つ知る事が出来て、清々すがすがしい様な優しい表情だった。


 ドックに荷物を置いて戻ってきたピコとカウル、リビングのAnn達に並んで待機モードの画。


 バンズはラムルとポートルの所へ来ると、


 バンズ「ミクラットは明日中にはセッティング出来そうだよ。」

ラムル「じゃあAnn達は?」

バンズ「データの整理や移行やらをしてもらうから、2日後の朝だね。その後にAnn達はデータの同期。それで完了かな。」

ポートル「私のデータもジックやソディナにもメモリーされちゃうのかなぁ?」

バンズ「ややこしい話をすると、ポートルはお腹がすく。はいっメモリー完了!」

ポートル「やっぱりそうかー。」

ラムル「いいじゃない。ポートルはポートルよ。」


 ガルシア「さて、そろそろ始めましょうか。」


 ここへのポートルの荷物のほとんどがバーベキューの為の荷物であった。


 ディゾルプ。



ストーリー121:回収成功


登場人物

グラン、タロン、キース、レンブラントメンバー8名(台詞なし)



 レインズ=カート副官によってHMと通信モジュールを操作、その後に不明瞭通信の原因が分かった。

 小さな探査機の様で、繰り返し電波が出ているがそれがメッセージなのかどうか判断出来なかった。

 探査機らしきを回収後にHMのシールドで保護しながら大気圏突入したのだがその際、太陽光パネルらしきを破損溶解させたものの、本体は無事。


 本体解析にはレンブラントが受け持つ事になった。


 この頃にはラボラトリー・レンブラントは、地上設備が完成し、厳重警備の中、運営される様になっていた。


 今日はその回収物の対応の為の指示を、地下3階ミーティングルームにて会議が行われていた。


 グラン「昨日、ようやく不明瞭通信の原因が分かった。レインズ=カート副官の話の一部始終を伝える。通信の主は人口的に作られた探査機の様な物で、繰り返し通信を行いながら移動していた。1辺が10inch程の小さな物で、地球で過去に使っていた周波数帯だと判明。レインズが回収し、持ち帰る際に外部パネルを破損したが調査解析には問題無い程度だろう。明日にはここに運び込む事になっている。」

キース「800年程前の地球でも度々探査機にメッセージを乗せて飛ばしていました。もしかすると、地球の様な文明を持つ生命体が送った物かも知れませんね。」

タロン「そうならば地球より少し遅れた技術の星から来たのだろうか。」

グラン「それをこれから調べてもらうんだよ。放射線除去は済んで、あとは輸送のみだそうだ。破損部分の修復まで出来ると良いんだが、通信電波はまだ出ている様だから、まずそのデータを取ってからその後を判断して進めていってくれ。」

キース「言語が確認されたら、何を伝える物かも分かってきます。楽しみですね。地球では、昔飛ばした探査機に音楽ディスクやメッセージディスク、文字等を搭載させました。」

タロン「系外からかどうかも分からないままだったが、詳細に解析しよう。」

グラン「では、ここへ届き次第頼む。それまでにチーム分けなど準備を整える様に。」


 部屋を出ようとするグランに声を掛けるタロンの画。


 タロン「グラン、総督室に戻ったら1度連絡を頼む。今日の話と別件で話したい。」

グラン「分かった。向こうから連絡するよ。」


 ディゾルプ。



ストーリー122:太陽系も危機⁉︎


登場人物

グラン、タロン


 ラボラトリー・レンブラントから帰って来たグラン。レインズ=カート副官に慰労の意を伝え、回収物の輸送準備を見届けると、総督室に戻ってきた。


 ラボのタロンに電話を掛ける。


 グラン「あぁ、タロン。お待たせ。回収物の輸送準備を見てきた。明日朝そっちに到着だと言っていたよ。で、話というのは?」

タロンoff「太陽黒点の話さ。異常な大きさの黒点が度々観測されたんだが、その場所と同じ方向にあの水星近くの未確認物体が必ず観測されている。関連性を調べ始めたよ。未確認物体がどうやら移動しているんじゃないかとの見解に至った。」

グラン「最初にニュースで騒がれた惑星かも知れないってのは……。今水星近くにいるって事なのか?」

タロンoff「信じられんし考えにくい話だが、移動するとなると惑星では無いだろう。星に見せかけた移動物体かも知れない。個人的な話だが、生命体の存在もあり得る。」

グラン「……遥かに離れた所から水星付近まで移動……。乗り物だなまるで……。」

タロンoff「移動だけならまだ追跡調査出来る。それだけじゃないんだ。それが太陽黒点の話さ。……その乗り物とやらで太陽に向けて、何か実験してるとか……。」

グラン「だとしたら?」

タロンoff「太陽を焦点に行動されたら、地球はおろか、太陽系の脅威になる。終始目を向けておく必要が出てきたってところだ。」

グラン「地上じゃ反逆軍の最大拠点が判明して、さあどうすると言った場面……地球の外じゃとてつもない問題……。例の金属の未知の成分……。いったいどこから手を付ければいいんだよ。」

タロンoff「そう焦っても仕方ないだろグラン。問題山積なのは今も昔も変わってないじゃないか。……ま、近くキースも誘ってゆっくり話そう。」

グラン「ああ、そうしよう。時間は作る。連絡待ってるよタロン。」


 電話を切るグランの手元の画。


 デスクのグランの顔から下の画で、

グラン独り言off「太陽系まで脅威に晒されてしまうのか……。金属片に固執している余裕が無くなってきた……か。」


 ディゾルプ。



ストーリー123:アリントス家


登場人物

マット=アリントス、シェルナ、ガット



 ビブレス=ガル郊外、アリントス邸。


 クラフトルームから仕事を終えたガットがリビングに入って来た。

 

 ガット「父さん。終わったよ。なんとか次の展示会に間に合って良かったー。」

マット「ガット、フローターのカスタムパーツにしては上出来だろう?俺の設計図に問題無かっただろ?」

ガット「もちろんだよ父さん。4人乗りフローターの貨物室にちょうどいい大きさに仕上がってる。父さんの設計に合わせただけで4人から6人に定員が増えるし、航行距離が伸びるから、短時間、短距離移動にもってこいのカスタムになるね。……ところで……さっきは誰かお客さん?」

シェルナ「そうよ。お父さんの古いお客さん……かしらね。」

マット「ああ。ガットにも話した事がある、ケイドの持ち主ルイス。それにロワートさんの大切なお孫さん。……バンズって名前だったね。立派に育った。安心したよ。俺のこの両手を見て何とも反応しなかった。さすがメカを扱う者の目をしていたよ。……多分あの子もロワートさんの影響でメカニックをしてるんだろうさ。……なぁシェルナ、近いうちにここへ招いてはどうかな?」

シェルナ「そうね。ケイドの持ち主を早々に帰してしまったもの、また一緒に来てもらえたらいいわね。……ビブレスの展示会が終わったら、招いたらどうかしら?」

ガット「ケイド……。父さんから話しか聞いてないけど、持ち主のルイスさんって人?女性なのにすげぇや!ノアーナ最速操縦士。」

マット「一緒に来たのがロワート博士のお孫さん。ルイスには娘さんがいると言っていた。皆招待したいところだね。」

シェルナ「このリビングじゃ狭すぎるわ。」

ガット「それならクラフトルームかドックにでも……。」

マット「それはお客さんが応じてくれたらの話な、ガット。」

ガット「ルイスさんは今は何をしている方?」

マット「婚姻までしか知らない。相手はブロント=カーレイ長官だよ。ルイスは婚姻と同じくしてケイドを解体したんだ。理由は別に有ったんだけどね。」

ガット「是非会いたいな。……うちは狭いけど、来てくれるなら。」

シェルナ「ルイスさんはここを思い出して来てくれたらしいの。ロワート博士のお孫さんを紹介したかったようよ。……今度は娘さんと来るからって言ってたわ。」

マット「だからと言って、お前のAnnはルイスに見せないでくれよガット。なんたってカーレイ長官の奥様だからな。その時は隠しておく事だ。」

ガット「分かったよ、父さん。……ホントは自慢したいんだけどなー。……やたらに見せても仕事に差し支えるもんね。」


 ディゾルプ。



ストーリー124:別の目的


登場人物

グラン、タロン、キース



 グランの別荘シェルター。週末の休暇がレンブラントの休暇と合った事で、今回グランはタロンとキースを招待していた。


 相変わらず何も無い。ラグの3人は酒やつまみを買い込み、トレーを前に飲んでいた。


 グラン「……それでレンブラントに入ってもらっている君らだから、話そうと思う……。」


 部屋へ戻ると手帳を手に戻ってきた。


 グラン「この手書きの図。これに関しての話だ。……これは何だか思いつくかい?」

タロン「輪が書いてあったり丸が書いてあったり……何かの設計の原案かな?」

グラン「キースは何だと思う?」


 問われたキースはまだ考えている。

キース「R86……ノアーナ……。知らない……。でもこれはマップだね。そうだろ?総督?」

グラン「ああ。キース、その通り。」

キース「この大きいのは天の川銀河だとする。ここが太陽系でこれが地球?……で横のこれは?恒星系?」

グラン「R86恒星系……だそうだ。メモのノアーナは惑星ノアーナ、衛星リターナを持っているそうだ。」

タロン「はぁ?どの物語のステージだい?」

グラン「物語じゃない。俺がここで関わった人の、星の場所と名前だと言っていた。」

キース「言っていたって、まるで総督が会って話を聞いた様な言い方だけど……。」

グラン「キース、タロンに想像出来るか信じるかは別だがね。」

タロン「異星から来た……異星人⁉︎まさかグラン、お前が系外惑星の生命体と対面したとでも?」

グラン「絶対に口外しないと約束したんだが……。今破っちまった。……レンブラントで調べている金属片は俺が受け取った物で、侵略者と戦闘した時の戦利品ではないんだよ。」

タロン「未知の物質、ここの星の物か……。」

グラン「他の惑星との交流を避けて過ごしていると言っていたよ。……彼女達は2度ここへ来た。最初は反逆軍に狙われた晩。2度目はシェルターが完成した後、俺の祖母について聞きに来た。……金属片は2度目の時に受け取った。彼女達と今後も連絡を取りたいと願ったが、それは無理だと断られたよ。」

キース「彼女達って性別が分かったんですか?」

グラン「見た目は俺達地球人と変わらなかった。ただ違うのは、彼女達の文明は地球よりも遥か上だよ。3人と会ったが、皆んな似たスーツを着て、言語翻訳して会話できる。それにそのスーツはステルスが掛かる。目視できない。」

タロン「目視出来ない彼女達と何故会えた?」


 グランは右目を指差すと、


 グラン「これだけが見えた。暗視だけじゃなく、俺の何らかの力も加わって見えたのかも知れない。」

キース「何故彼女達はここを選んだんでしょう?」

グラン「それは偶然だったが、祖母が引き寄せたのかも知れん。話せば長くなる……。」

タロン「俺達休暇中―。しかも酔いも冷めちまった。聞こうじゃないか。その長話。」


 グランは別荘での話からシェルターをここに作った理由、3人の彼女達が2度もここへ来た理由、自分の過去の話、そして2度目には自分が宇宙船に入った事、AnnというAIロボットを紹介された事まで話した。


 グラン「これが全て。俺のHMの操縦も特殊能力だと思ってる。動体視力が半端ない。レーザービームが止まって見えりゃ当たり前に避けられるさ。今思えば、ここまでの出世もそのおかげって事になる。」


 タロン「こ、これからは天文マニアのキースの想像を信じる事にするよ。」

キース「総督が連絡したいと思うのは分かります。もし実際に、時間が掛かって、返事がいつ帰ってくるか分からなくていいなら可能です。総督が無理だと言われても当然でしたよ。データ通信、データの構造も違うでしょう。……彼女達の技術力でなら交信出来るのかも知れないですが……。」

タロン「2度目に来た1人、彼女の父親が星の最高責任者だと?」

グラン「交信出来れば考えもあったんだ。……星間協定。地球史上初だ。技術供与を受けられれば……なんてね。虫のいい話さ。」

キース「昔の地球人みたいに、そのノアーナって星にメッセージ衛星を飛ばしたら、気が付いてくれるかも……ですよ。……先日のカート副官が回収した小型探査機。あれに似せてメッセージ衛星を作って、HMの最大速度で放出。メッセージを発信しながら自力でどこまでも飛んでいける様に工夫すれば。」

タロン「手間の掛かる手紙の様な物か……。地球人ではそれが限界だろうな……。グランと大統領の言葉を送るとか……か。」

キース「ざっと5光年離れた星までどれ位で到達するか……。大袈裟ですが、地球が無くなっちゃってるかも知れません。……その彼女達は地球までどの位で来れるのか……。向こう次第になりますねぇ。」

グラン「金属片を受け取った時は、必ず同じ物を作ると息巻いたが、それは地球では直ぐには無理そうだ……。色々考えたが、俺だけではどうにもならなくてね。……それで2人には話しておこうと思って来てもらった。……もう彼女達は来ないかも知れない。……キースの言ったメッセージ衛星は試す価値はあるかも知れないね。ただ、今はレンブラントの中だけの話に留めて欲しい。」

タロン「宇宙研究所は太陽観測に躍起になってる。グラン、レンブラントだけで計画する気かい?」

キース「メッセージ衛星を作るのは早く済みますよ。それにHMの通信モジュールも追加して、定期的にHMを受信待機させる様お願い出来れば。」

グラン「レンブラントのメンバーには協力してもらわねば。異星の話で理解が得られればいいのだが……。軍からも協力者が必要か……今は副官が1番信頼出来るが、他は当てにならん。」

タロン「レンブラントでは心配無い。未知を知るのが一番良い仕事だと感じているメンバーだ。もっと名案が上がるかも知れない。」

キース「レンブラントに戻ったら、またチーム分けから始めましょう。タロン先輩。」

グラン「別の目的が出来たな。タロン、連絡はもっと密にしよう。宇宙研には太陽観測を継続させておく。ビンセントコートの望遠鏡はどうする?メッセージ衛星に向けても必要にならないか?」

タロン「レンブラントのメンバーにビンセントコートの望遠鏡に詳しい者が居る。必要な時は宇宙望遠鏡も利用しよう。」

グラン「来週に入ったら反逆軍の本拠地を叩く計画が予定されている。予定なだけだが俺の指揮で行う、全壊滅で作戦完了だ。それが済めばHMでテストにも出られるだろう。ノアーナ星へのメッセージ衛星用に、レンブラントにはHM3機を格納させるよ。ここでのテストの為に使ってくれ。じゃあ、また。」


 Fade-out。

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