ストーリー96,97

ストーリー96:紹介します!


登場人物

ラムル、バンズ、ポートル、カウル、(ジャン、ピク、ピコ、フライ台詞無し)


 バンズのドック内メインルーム。


 今日はラムルはカウルを皆んなに紹介する為に訪れた。


 ピクのテーブルにはそれぞれの好みの飲み物が用意され、3人がシートに座っている。Ann達は少し離れて待機モード。


 ラムル「ようやくジャンとカウルの同期が終わって、カウルからは父の話をたっぷり聞いてたの。紹介遅れてごめんね。」

バンズ「データを残したまま託されたって事は、それなりにメモリー大きそうだね。」

ラムル「それはまだ調べてないわ。」

ポートル「フライみたいに拡張しなきゃならなくなるわよ。」

バンズ「それは本人から聞けばいいって。」

ラムル「じゃ、紹介するわ。……カウル?ここに来て。皆んなを紹介するわ。」


 カウルはピクテーブル(?)に近寄る。


 ラムル「こちらはバンズ、そしてこちらがポートル。私の親友よ。フルネームは皆んなと同期して聞いてね。……それから彼女達の音声認識フィルターはキツく設定しなくて良いわよ。」


 カウル「皆さん、初めまして。」

バンズ「やぁ、カウル。……さ、ピコー。ここへ来て。友達よ。」

ポートル「フライ、あなたもここへ。」

ラムル「カウル、こちらはピコとフライ。あなたの友達よ。それからここにも。ピクよ。」テーブルのピクを手で撫でた。


 バンズ「……うん、皆んな同期出来たみたい。」

ラムル「それから、もう一つ。カウル、皆んなに変形見せてあげて。」


 カウルはラムルの顔を伺っている。


 ラムル「彼女達の前では良いわよ、カウル。」


 カウルは言われると見事に変形して見せた。


 バンズ「な、なにぃ⁉︎……凄い……なんて素晴らしい!」


 バンズの素晴らしいは彼女の最上級の褒め言葉だ。


 ポートル「カウルは長官のAnnだったんでしょ?人型ってヤバいんじゃない?どうしてなの?」

ラムル「うん……若い頃の父だったからなのか、理由は聞いてない。後になってカウルと話してて分かった事だから。」

バンズ「すると長官は、人型に興味があったのでは……。」

ラムル「それは父にいつか聞いてみるわ。で、これは内緒よ。……さ、カウル、元に戻って。彼女達の前では変形は許可するからね。」


 カウルは元の姿形に戻ると、


 カウル「了解です、ラムル様。」

バンズ「ったくラムルんちは色々有るねー。感心しちゃうよ。」

ラムル「さて、では次の作戦会議でもしますかー。」


 Fade-out。



ストーリー97:意外な繋がり


登場人物

ラムル、バンズ、ポートル、カウル、(ジャン、ピク、ピコ、フライ台詞無し)



 バンズのドック内メインルームの面々、Ann達は紹介が終わり離れて待機モードに。


 ラムルの次回の作戦会議の提案だったのだが…。


 バンズ「次の課題もまだ有るけどさ、このところAnn達を連れて外出続きだったじゃん。……アタイ色々気が付いたんだけど、次の行動する前に、この子達あちこちカスタマイズが必要じゃないかと思うんだ。」

ラムル「それってステルスの事?」

バンズ「それも有る。あとは休ませるのも大事。……この子達は、記憶に無い事はちゃんとメモリーする様になってるから、この間みたいに、地球なんて行こうものなら全てが持ってないデータばかり。次々記憶し続ける訳。その都度整理するのは、この子達には瞬時に済むけど、実はかなり負荷が掛かるんだよ。だから、待機中にいろんな部分をチャージしたりチェックしたり、内部を掃除したり。自分で自分を管理出来るようになればって考えてる。」

ポートル「今も皆んな待機モードだけど、休んでないの?」

バンズ「そんなわけない。映像も音声もちゃんと機能してるよ。必要ならメモリーもする。だって声掛ければ答えるでしょ?休んでる様で動いてるの。」

ポートル「えー⁉︎動きがないから休んでるのかと思ってたー。」

バンズ「そりゃシャットダウンすれば休んでると言える。つか休んでると言うかストップしてる。そんな事してたら再起動に時間が掛かったり、止まってた間の時間調整したり……。」

ラムル「……って事は、シャットダウンはしないけど、待機中には出来る限りシャットダウンに近い状態が理想なの?」

バンズ「そだね。そんな感じ。待機中は自分を管理する時間にするってのが理想。」

ポートル「普段から少しでも負荷を減らしてあげるって事かぁ……。オーバーホールも必要になるしね……。」

ラムル「バンズとしては何か方法考えたの?」


 バンズは待機中のAnn達の前に歩いて行った。


 バンズ「うーん……いくつか候補はあるよ。でもまだ考え中。いい方法を決めたら協力してね。……あれ?」


 ポートル「どしたの?バンズ?」

バンズ「カウルだけ皆んなと違うなぁと思って。」

ラムル「カウルがどうしたの?カウルはシャットダウン状態も待機状態も同じよ。」

バンズ「そっかー。しっかり作られたんだ。」

ポートル「どこが?何がしっかり?」

バンズ「ここへ来れば分かる。」


 3人はAnn達の前に座り込んだ。


 ラムルとポートルはカウルと他のAnnを見比べては2人そろって唸っている。

ポートル「……うーん……。うーん……降参!」

ラムル「ん?……うーん……。何が違うの?」


 バンズ「もー、よく見て。カウルは外から手を加えられないよう作られてるんだよ。」

ラムル、ポートル「ほんと!……。」

ラムル「初めて見た時、すごく綺麗で魅力があるAnnに見えたのはそのせいだったのかなぁ。」

バンズ「パーツがむき出しじゃなかったり、リベットが外側に見えていなかったり。……まさか長官がここまで作り込んだのかなぁって、近くで見て思った。」

ラムル「ううん。カウルのカスタマイズは父じゃないわ。それはカウルから聞いた。もしかしたら人型改良以外の部分も他の人が手掛けたかも知れないけど。」

バンズ「アタイからカウルに聞いてもいい?」

ラムル「ええ、構わないわ。でも人型改良の話を聞いた時は手掛けてくれた人の名前のデータしか残ってないようだけど……。」

バンズ「他のタイプと違いが有るから、その部分とか話してくれるかなぁ?」

ラムル「その時は私が聞いてみるわ。さ、バンズ。聞いてみて。」


 バンズ「カウル?聞こえる?」


 カウルは待機モードから少し姿形が変わり、

カウル「バンズ様。何かありましたか?」

バンズ「あなたの内部のメンテナンスはどうやって作業するの?」

カウル「……内部部品の交換は自分で出来ます。あまり見られたくないですが……。」


 バンズは目を輝かせている。


 バンズ「凄いねカウルは。じゃあ自分で出来ないメンテはどうすればいいのかなぁ?」

カウル「そうですね。これからはラムル様に頼むか、どなたかに依頼するかです。バンズ様はメカニックのようですからお願いする時もあるかも知れませんね。」

ラムル「カウル、あいにく私はメカには弱いの。メンテナンスの依頼はバンズで大丈夫?」

カウル「了解しました。では自分で出来ないメンテナンスに関してはバンズ様に依頼します。」

バンズ「調子が悪い時は直ぐに話してね。……それから……さっきのあなたの変形、誰がカスタマイズしたの?」


 カウルはラムルを見ている。


 ラムル「カウル。バンズやポートルなら遠慮無く自分の事を話してもいいのよ。彼女達は秘密は口外したりしないわ。」


 カウルはバンズに向き直り、

カウル「カスタマイズをしたのは、ロワート博士が手掛けてくれました。それ以外に他のデータはメモリーに有りません。」

バンズ「……。」


 黙り込んでしまうバンズ。


 ラムル「詳しいデータは父が消去させているんだと思うわ。」

バンズ「ねぇカウル、もう一度、博士のフルネームを聞かせて。」

カウル「ロワート=グロビア博士です。それ以外のデータは有りません、バンズ様。」

バンズ「そっか、素晴らしいカスタマイズだよカウル。……それからさ、アタイの事はバンって呼んでくれればいいよ。OK?」


 カウル、またラムルを見ている。


 ラムル「カウル。あなたのフィルターで判断していいわ。」


 カウルは向き直り、

カウル「了解です、バン。そう呼びます。」

バンズ「いい子ねカウル。ありがと。」


 バンズは立ち上がると、

バンズ「カウルのカスタマイズはじいちゃんだったんだ。そうだったんだねぇ。」

 シートに座ったバンズ。


 ラムル「えぇ〜⁉︎バンズの祖父は博士だったの〜⁉︎」

ポートル「私も初耳だよバンズー。」

バンズ「もう亡くなってるけどね。……アタイはじいちゃんの影響を強く受けてるのかもなー。」

ラムル、ポートル「し、知らなかった……。」


 Fade-out。

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