ストーリー92~95
ストーリー92:遂にラムルのもとへ
登場人物
ブロント、ルイス、ラムル、ジャン、カウル
翌日のカーレイ邸リビングでは、ラムルがジャンとカウルを側にして座っている。
食後だろう、キッチンからお茶を運んできたラムルの向かいに座る。
ブロントが出掛けるところで、
ブロント「地球の事は知ってる者だけの話にしてくれよ。極秘中の極秘だ。……では行ってくる。」
2人「行ってらっしゃい。」
ルイス「昨日は良かったわね、ラムル。ブロントはいつも多くを語らない人なのよ。昨日カウルをあなたに急に託したのはお礼のつもりなんだわ。それで……。」
ルイスがまだ話そうとしていたところへ、近くにあるルイスのモニターテーブルに着信が。
ブロントoff「ラムルはまだ側にいるか。」ブロントの声だ。
ラムル、慌てて返事に向かう。
ラムル「父上、まだリビングです。」
ブロントoff「ラムルか。たまにはカーラントにルイスを乗せて出掛けたらどうだ?……あぁ、Ann達も乗せていくのを忘れるな。……おいルイスー、エンジャーのじゃじゃ馬のところへ行っても構わんからな。……じゃ行ってくる。」
通信が一方的に終わった。
ラムルの後ろに立って聞いていたルイス、
ルイス「良かったわね。ブロントはこれで全て許してくれた様ね。」
ラムル「母上―。」抱きつくラムル。
ソファーに促すルイス。
ルイス「話の途中よ。あなた早くからここに居て、しかも食事中も……。いったい何を続けてるの?」
ラムル「ジャンとカウルの同期をさせてたのよ。カウルに私の事をメモリーしてもらわなきゃ。」
ルイス「あなたがAnn達を大切にしてるのは十分に分かったから、食事中位は中断するとか……。」
ラムル「転送に時間が掛かってるだけなの。食事中に気にしててごめんなさい母上……。」
ルイス「いいわ。今度カーラントでガルシアのところへ連れてってもらうんだし、しっかりねー。」
言うとさっさとキッチンへ向かってしまった。
ディゾルプ。
ストーリー93:それぞれの日常(その1)
登場人物
バンズ、ポートル、ピク、ピコ、フライ、ルイス、ガルシア
バンズのドック内メインルーム。
ピクが頭に飲み物をセット、テーブルになり待機モードへ。
ポートル「いつもありがと、ピク。」
ピク「ごゆっくり、ポートル様。」
バンズとシートに座り、先日行った地球の話をしていた。
バンズ「って事は、アタイ達はシャルルさんと同世代って事になるねぇ……。ピコ、ちょと来て。」
ピコがバンズの側に寄る。
バンズ「地球とノアーナの自転速度を比べてみて。」
ピコ「地球はノアーナの3.5倍速く自転する惑星です。恒星を公転する速度も同様です。」
ポートル「早く歳取るって事?」
バンズ「星に合わせて進化した生命体、アタイ達だって一緒じゃん。ノアーナに合わせて進化してきた。」
ポートル「星によって生命体の寿命が違うんだ……。」
バンズ「地球よりノアーナ星の方が古い星の様だから、そのうち地球も自転速度が変わるんだろうね。それに合わせて経年齢も変わってくるかも……。現状は当分無いけどね。」
ポートル「それって進化⁉︎なんか退化してるようなー……。」
バンズ「どこの生命体でもある事さー。」
ポートル「もーややこしいなぁ。お腹すいちゃったよ私―。」
ピコ「ポートル様は考えるとお腹が空く……。メモリー完了。」
ポートル「こら!ピコ‼︎余計な事は記憶しないでっ。」
バンズ「フライが戻ったら同期するから、彼にもメモリーされる。お利口さん達だからねー。」
ポートル「そんなぁ……。」
ちょうどフライが買い物から戻ってきた。
バンズ「おかえり、フライ。……ポートル、ほら見ててごらんよ。」
ピコの側まで来るフライ。同期している画。
フライは何食わぬ顔(?)して、
フライ「お待たせしました。デザートを購入しました。」
フライはピクのテーブルに置くと、少し下がって待機モードに。
バンズ「見た?ポートル。この子達は近付くと同期する様に出来てる。でも消去しろって指示する事も出来るけどどーする?」
ポートル「はいはい。この子達の良いところを台無しには出来ないわ。諦める。」
ムスッとしながらデザートを頬張るポートルであった。
ディゾルプ。
変わってここはカーレイ邸リビング。
壁にはグランのフォトフレームが飾ってあった。
ルイスはモニターテーブルでガルシアと通信中。
ルイス「……それでね、ガルシア。今度行くときはラムルのカーラントで行くつもりよ。あなたにも見てもらわなきゃ。」
ガルシアoff「そうだったの⁉︎カーラントを戻してくれたのね。」
ルイス「ええ。全てをブロントに話したら、カウルを託してくれたし、たまにはカーラントで出掛けたらどうだって言ってくれたわ。ブロントらしいでしょ?」
ガルシアoff「へー、ブロントってそんな人だったとはね。気が利く人ね。……でも……こっちに来るのは良いけど……傾斜地に着陸よ?」
ルイス「そ、そうだったわね……。……カーラントにアンカー装備させようかしら……。」
ディゾルプ。
ストーリー94:それぞれの日常(その2)
登場人物
ブロント、ガルシア、ソディナ(画像のみ)、ジック(画像のみ)
管理部長官室。ブロントはデスクに座り、外を眺めながら物思いにふける画。
ブロント独り言off「……地球か……。変わらぬ青き
深くうなずいたブロントである。
ディゾルプ。
場所は変わってガルシア邸ドックの奥にたたずむミクラット。
メインルームのシートにもたれてガルシアはつぶやいた。
ガルシア独り言off「ソディナとジック、近いうちに出してあげようかしら……。ジックの事ではルイスに相談しなきゃいけないだろうけど、ミクラットに格納したままは気の毒よね。……そうなるとミクラットはただの金属の塊になっちゃう……。それは嫌だわ……。でもソディナを想う気持ちは今も変わらない。私達もラムル達の様だったもの……。これは1つの課題だわ!……なんとか解決したいなぁ……。」
ソディナとジックの古い写真のover-up。
ディゾルプ。
ストーリー95:それぞれの日常(その3)
登場人物
ラムル、ジャン、カウル
カーレイ邸地下の元管制室。ラムルはジャンとカウルを連れて降りて来ていた。シートで話の最中だ。
ラムル「……父上がカウルを抱えて寝た事もあったなんて……。色々聞いちゃったけど、私の心の中にしまっておくわねカウル。……それから、他には何かデータは残ってない?」
カウル「あと一つ、これはブロント様に極秘として指示された事が残っています……。今はラムル様が
ラムル「地球の事を極秘とするのと一緒。私が判断するわ。」
カウル「では、指示してくださいラムル様。」
ラムル「分かったわカウル。……さ、父上に極秘と言われたデータを見せて。」
カウル「了解です、ラムル様。」
言うと、カウルの身体はみるみる変形した。
驚きのラムルの表情、ジャンと顔(?)を見合わせた。
ラムル「ひ、人型……⁉︎。……カウル、あなた……人型に変形出来たの?」
カウル「はいラムル様。これはどの様にメモリーしますか?」
ラムル「それは……。……私の指示が無ければ変形はダメよ。いいわねカウル。さ、ジャンも、変形して。」
ジャンも変形していく。
どうやら変形後はカウルの方が立派に見えた。
ラムル「カウル、ジャンも変形出来るの。これも極秘よ。さ、ジャン、カウル。元に戻って。」
ラムル「父上はどうしてカウルを……。父上にも人型に対して何か考えてたのかしら。……ねぇカウル?あなたのカスタマイズは父上が施したもの?」
カウル「いいえ、違います。当時、ブロント様は私のカスタマイズをロワート博士、いえ、ロワート=グロビア博士に依頼しています。彼からはロワートと呼んでいいとの事でした。……ロワート博士のデータは消去してしまい残っていません。」
ラムル「……ロワート=グロビア博士……。父上と同じ世代かしら?いえ、多分もっと上の世代の方ね……。」
好奇心旺盛のラムルであった。
ディゾルプ。
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