ストーリー85~87

ストーリー85:タロンへの辞令


登場人物

グラン、秘書官、タロン



 総督室のデスクで座るグラン。

秘書官に辞令の本人に来てもらうよう指示したが、ようやく秘書官の返答が来た


 秘書官「作業を終えたらこちらに来るとの事です。」

グラン「分かった。来たらここに通してくれ。」


 日が暮れる頃、ようやく訪問者が訪れた。


 秘書官「総督、参りましたが通して構いませんか?」

グラン「ああ、待っていたよ。通してくれ。」


 グランのデスク正面の画。ドアの開閉する音。


 フレームinする訪問者。グラン、立ち上がり側のソファーに歩く。


 グラン「やあ、タロン。辞令は見てくれたかい?まあ座って話そう。」

言うと2人はソファーに座った。


 タロン「急な話で驚いたよ。内容は嬉しく思うが、俺の都合も考えてくれないのかい?」

グラン「やる事は今と変わらないよ。ただ、重要な開発を施設内で進めてもらいたいんだ。お前を頼りにしてる。技術力も誰もが十分評価している。」

タロン「もう技術開発には限界が来ている。今と同じ事を新しい施設を作ってまでする事か?」

グラン「航空機やHMのドックも建設する。施設が完成したら、責任者として入ってもらう。話はその時にまた詳しく進めよう。少人数の機密機関になる。」

タロン「前置きってもんがあるだろグラン。心構えも無しだ。」

グラン「急を要する。仕方なかったんだよ。建設を取り付けるのも大変だったんだ。分かってくれよタロン。」

タロン「大統領のニュースは後から知ったんだ。大統領令で建設とはね。お前がここまでするんだ。協力するさ。」

グラン「ありがとうタロン。最重要機密機関、俺の直轄と言う名目だが、お前が主導する。その部門のメンバーは任せるよ。精鋭達を選抜してくれればいい。気心知れた連中で組織してもいいが、その時は飲みに誘ってくれ。」

タロン「グランお前。このご時世で何か考えが有るのか?信じていいんだろうな?」

グラン「ああ。最重要機密の任務で荷が重いかも知れないが、よろしく頼む。1年後には全て稼働出来るよう進めさせる。」

タロン「じゃあ、就任式で飲むか?」


 Fade-out。



ストーリー86:マーデクト応答せよ


登場人物

ルイス、ガルシア



 トレーを手に戻ってきたガルシア。


 ガルシア「もうミクラットには用意が無いから、家のキッチンまで行ってたの。お待たせ。」


 カップを手に取りシートに座るガルシアの画。


 ガルシア「どう?反応あった?」

ルイス「ソディナが続けてくれてる。応答は無し。」


 カップを手にうつむくルイス。

 ディゾルプ。


 ディゾルプから画面変わって、マーデクト内メインルーム。


 航行中の休憩の3人だった。


 ジャン「通信を捕らえました。フライ、航行の状況確認お願いします。ピコは3人を起こしてください。」


 3人の寝ているカプセルに近づくピコ。


 ピコ「起きて、皆さん起きてください。ジャンが通信傍受。来てください。」

バンズ「通信?ほんとに⁉︎」

ジャン「詳細確認中。」


 寝癖の髪の毛を直しながら、

ポートル「フライ、航行に異常は?」

フライ「異常無し。通常航行中です。」

ラムル「ジャン、方向は分かった?」

ジャン「微弱な通信で解析に時間が掛かっています。しばらくお待ちください。」

ラムル「終わったらモニターに繋いでねジャン。」

ジャン「了解しました、ラムル様。」


 3人はしばらく沈黙。


 ピコとジャンで解析しているようだ。


 やがて、ジャン「モニター音出ます。お聞きください。」


 モニター音「……こちらは……の………応答……ます……。」

バンズ「誰がどこから発信してる?」

ラムル「ジャン、ピコ。もっとはっきり聞こえるように出来ないの?」

ピコ「ジャンと解析中。10秒毎に発信しているようです。」


 再びモニター音「……こちらはノアー……エンジャーの………デクト応答願い……。」


 ポートル「ノアー?……ノアーナから⁉︎……フライ、航行停止。」

ラムル「もう一度。皆んなよく聞きましょ。」


 モニター音「……こちらはノアーナ星エンジャーのガルシア=オフェイル。マーデクト応答願います。……」


 3人声を揃えて、「ガルシアさん!」


 ラムル「ジャン、ノアーナの座標に向けて応答準備。」

ポートル「フライ、マーデクトの周囲確認しといて。」

バンズ「ピコはそのまま受信を続けて。モニターもそのまま。」


 モニター音「こちらはノアーナ星エンジャーのガルシア=オフェイル。マーデクト応答願います。」

バンズ「ノアーナまで出力が足りない。ピコはジャンとエネルギーをシェアして備えて!」

ラムル「ジャン、応答いける?」

ジャン「ラムル様、準備OK。どうぞ。」

ラムル「こちらマーデクト。通信を確認。エンジャー応答出来ますか?……ジャン、応答が無かったら繰り返して。」


宇宙空間のマーデクト。繰り返されるラムルの通信。


 ラムルoff「こちらマーデクト。通信を確認。エンジャー応答出来ますか?……。」

繰り返すラムルの応答。


 ディゾルプ。



ストーリー87:ラムルの応答


登場人物

ルイス、ガルシア、ラムル、バンズ、ポートル



 カップを手にシートに座るルイスとガルシア。


 ようやくモニター音声が入った。


 ラムルoff「……こちらマーデクト。通信を確認。エンジャー応答出来ますか?……。」

ガルシア「応答した!……私。ガルシアよ、聞こえる?」

ラムルoff「ガルシアさん、マーデクトを停止させたら感度良好よ。(バンズ、ポートル「ガルシアさん!」)。」


 ルイス「ラムル、私よ。今どこを飛んでるの?水の惑星ほしへは行ってきたの?」

ラムルoff「母上!ガルシアさんと一緒だったの?……水の惑星ほしには上陸もしてきたわ。私達としてのRJ実行ってとこかな。」

ルイス「心配してたのよ。3人共、何事も無かったの?」

ラムルoff「何も問題無いわよ、母上。」


 ガルシア、ソディナと位置確認をしていた。


 ガルシア「こっちまであとどの位で戻れるの?」

バンズoff「ノアーナまでの距離、残すところ1/3ってとこ。1日と少しで戻れる予定。」

ラムルoff「ガルシアさんのドックにはミクラットがあって直接そこには向かえないから、バンズのドックに帰還するわ。」


 ルイスはガルシアを見て首を振る。


 ガルシア「ラムル、お母さんはあなた達を心配して私の所に飛んできたの。近くに十分着陸出来るから、直接ここへ帰還なさい。」


 画面、直ぐマーデクトの3人に。

 ポートル「ラムルのお母さん、心配してたんだし、エンジャーに降りようよ。」

バンズ「着陸しても、マーデクトは見られたくない?それともステルス掛けとく?」

ラムル「宇宙船ふねを他の地域の人にあまり見られてもね。」

バンズ「対策軍やRJ管理部に知られても困るから、着陸までステルスそのままならいいだろう。」

ポートル「OK。それで行こ。」


 ガルシアoff「あんた達何話してるの?フライ、ここの座標を伝えるからね。じゃ、皆んな待ってるわよ。」


 通信が切れたが、フライが座標を確認したようだ

航行を開始した。そのマーデクトの画に変わりディゾルプ。


 ガルシア邸、ミクラットから出て来るルイスとガルシア。


 ミクラットのハッチが2人の奥で閉じる画。


 Fade-out、in。


 リビングのテーブル。腰掛ける2人。


 ガルシア「良かったわね、皆んな無事で。」

ルイス「ええ、安心した。……ところで、どこに着陸させるつもり?ここの周り傾斜ばかりじゃない。」

ガルシア「離れたフィールドが水平だからその位置を送ったの。あなたが乗ってきたラムルのフローターでお出迎え。」


 肩をすくめるルイス、微笑むガルシアの画。


 ガルシア「さ、皆んなが戻ったらゆっくり話を聞きましょう。彼女達、まだまだ私達に隠し事をしているようよ。聞き出さなきゃ。」

ルイス「ちゃんと話すかしら?」

ガルシア「大丈夫。皆んな信じてくれている。あなたも同じよ。」

ルイス「ラムルは確認したい事が有るって言ってた。しっかり知る事が出来たかしらね?」

ガルシア「それは、皆んなが帰って、バーベキューしながら話しましょ。それまでに私達は支度支度―。」


 画面ディゾルプ。



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