ストーリー56~59
ストーリー56:BBQの翌朝
登場人物
ガルシア、ラムル、バンズ、ポートル、ジャン、ピコ、フライ
ガルシア邸。夕べ4人は遅くまでバーベキューを楽しんだ。
ガルシアとバンズは、終始ミクラットの話に花が咲き、ポートルは酒も入りフライと長話が続いたようだった。
ラムルはというと、ジックとソディナを思い出して心を熱くしていた。酒のせいなのか、ジャンに絡んでいたようだ。
すっかり打ち解けた4人、もちろんAnn達はメモリーしているだろう。しかしそれは将来のAnnの話のネタにといったところか。
朝から多くの書籍に囲まれ4人はザクラートの情報探し。
それぞれ分かれて作業中。
ポートル「あー頭痛い……夕べ飲み過ぎた。」
ガルシア「でも良かったじゃない。少しはフライの事が分かってきたでしょ?。」
少し離れて作業しているので、会話も自然と大声になる。
バンズ「アタイはポートルがもっとフライに近づけると信じてるよ。夕べのポートルを見て確信した。」
ポートル「もーそんなに大声出さないでー。頭に響くぅ。」
ラムル「私なんか感激の嬉し涙で、起きてから目が真っ赤になってるわよ。」
ガルシア「皆んな、それっぽい本はピックアップ出来た?リビングに運んでカテゴリ別に分けましょう。」
それぞれが思い思いの書籍を抱えてリビングに集まる画。
ガルシア「さ、皆んなー。ここのテーブルに分けて積んでー。終わったら一旦休憩しましょーか。」
テーブルにはどれも古そうな本が4箇所に積んである。
(その画のまま)ガルシアが飲み物が乗ったトレーを置く画。
ガルシアoff「紅茶で休暇しましょ。」
椅子に座りテーブルを囲む4人。
手にはそれぞれカップを持っている。
ラムル「歴史っぽいのに金属関係、化学っぽいのとメカ系。このどれかに何か載ってるかしら?」
ガルシア「ゆっくり探しましょ。見落としの無いように。皆んなの都合が良ければ明日になっても構わないわよ。……あっ、そうね、ポットを持ってくる。飲みながら始めましょうか。」
ポートル「よーし目の前の本、始めよっと。面白そうでも読みに没頭しないでね、バンズ。」
バンズ「へへ。確かに中にはそんな本有るかも。」
それぞれが紅茶を口にしながら本を調べている画数カット。
一方、ガルシア邸と同じ頃のカーレイ邸。
リビングのルイスもお茶中の様子。
ルイス独り言off「カウルの事はしばらく保留にするわ。ラムルはブロントを安心させる為に水の
地下で眠るカウルに画面転換、fade-out。
ディゾルプからのエンジャー郊外、のどかな風景。ドローン映像の様な画、ガルシア邸、窓。……。
そのままカメラは窓をzoom。テーブルの4人へ。
ストーリー57:連邦国ニュース
登場人物
TVニュースキャスター、連邦立宇宙研究所(FSL)代表者、連邦軍兵士数人
連邦軍兵士達の施設建物内。昼のレストラン(食事スペース)。
中央の天井からTVモニターが吊るされ昼のニュースの最中。
キャスター「続いては、連邦立宇宙研究所、FSLからのニュースです。昨日、太陽系惑星探査望遠鏡が、土星と天王星の間の軌道に新しい惑星を発見しました。これに伴い、土星や天王星周囲を移動している惑星探査機プラネット5号より撮影されたとみられる画像を入手したのでお伝えします。」
望遠鏡画像や土星画像をバックにニュースを読むキャスターの画。
キャスター「惑星探査望遠鏡では鮮明に捉えられませんが、プラネット5号の画像解析により重大な事実が判明しました。解析を担当したFSL探査研究員で主任のオーツマン教授の会見です。」
画面は、手前の土星が見える。向こうにグレーっぽい丸い物体のシルエットがゆっくり横切り消える画に。
画の隅にワイプインのオーツマン教授の会見模様が見える。
オーツマン教授「今回の発見は、研究史上貴重な発見であります。様々な画像解析から、今まで発見出来なかった惑星かも知れないとの結果が出ました。発見惑星の大きさは、さほどでもなく、月より小さいです。詳細な画像が撮れなかったのは残念ですが、現在移動進路を計算して、地球上と惑星探査機双方で行方を探しております。この情報はリアルタイムでネット公開を行なっておりますので、星に興味が有る方はチェックしに来てください。」
教授のワイプが消え、カメラがキャスターに振られ、
キャスター「新しい惑星の発見となると、200年ぶりの事となり、天文家の間ではこの話題で賑わっています。今後の情報に目が離せませんね……。さて次は……。」
TVニュースをチラチラ伺いながら、タロンと同僚のキース=シュテインバーグは食事を終えるところだった。
天文マニアであるキースは、
キース「おぉぉ。新しい惑星発見かも。これは今後楽しみなニュースになりそうだ。」
タロン「相変わらず天文情報には敏感だな。」
キース「もし新しい惑星だったら200年ぶりの大発見だぞ!人類の未来が更に進化するかも知れないんだぜ。」
タロン「感覚的には俺の趣味と変わらないか。ははは。」
キース「どんな軌道で周回してるんだろう……岩石惑星みたいだけど生命の痕跡も見つかるかなぁ…。」
ぶつぶつ言っているキース。
タロン「まぁ家に帰ったらたっぷり妄想してくれ。」
2人は立ち上がり、出口へ歩いて行く。
動きながらの画でディゾルプ。
ストーリー58:4人の共同作業
登場人物
ガルシア、ラムル、バンズ、ポートル
昼を過ぎて日暮れが近いガルシア邸。
画面はリビングのテーブルに変わる。
テーブルを囲み、調べに没頭している4人の画。
ガルシア「有ったわ。……重力制御物質ザクラート。他の物質に微量化合する事で重力に反した物質に変化、軽量化する。変化後の物質は軽量で超硬となる。純度の高いザクラートはそれ自体が無重力化している為、重力下では浮かぶ性質を持っている。……これはザクラートの性質ね。ザクラートを多く含めば含む程に軽量化するんだわ。」
他の3人、手を止めて、
ラムル「宇宙船に利用するのはうなずけるわね。対策軍は戦役以降にリターナで採掘した、ザクラートを含んでいる鉱物を回収して使っているようだと……。」
バンズ「加工に問題は残るけどね。なんせダイム金属に変化した後の加工は容易じゃない。何をどうやって宇宙船に利用しているのか……。それとも手っ取り早く軍の船をバラしちゃうー?」
ポートル「それ無理じゃん。軍の船でも買ってくるの?バンズは気が短いからなー。」
バンズ小声「うるさいっ。」
ガルシア「製造加工は一つの課題ね。軍が採掘する以前の頃のノアーナの情報が知りたいところよね。」
ポートル「うーん。じゃそこら辺を調べるねー。」
4人は再びカップを手にしながらそれぞれ調べに取り掛かる。
本を読み進めながら、ポートルは独り言の様につぶやいた。
ポートル「ザクラートだけって無いのかなぁ……。これがザクラートって塊ですよとかさ……。」
ガルシア「おそらくザクラート100%は無いんだと思うわ。有ったらスーッと飛んで
ポートル「ザクラートは飛んでっちゃうのかー。そんなのだったら探しても見つからないよぅ。」
バンズ「連星ノアーナとリターナっての読んだよ。それぞれのざっくりした紹介というか、星の様子や見た目の文章。……えーっと……。」
読み終えた本の一冊を手に取り、ページをめくっている。
バンズ「あーこれこれ。……連星であるノアーナとリターナ。ノアーナの外観はやや青みがかった岩石惑星で、植物の為に所々緑が見え、静かな印象である。一方、対のリターナも岩石惑星である。赤茶の部分が多く見えてノアーナとは対照的に荒々しい印象だ。ノアーナの大気は澄んでいて、風が少なく穏やか、雲が渦巻いていない。リターナの大気も同じ様だが、澄んでいる様には見えず、星のあちこちで、キラキラと光が絶えない。
ラムル「私達が出掛けて行っても、大気は薄くてそんなじゃなかったわよね?」
ガルシア「そうね。私とルイスで出掛けてた頃も既に大気は薄かったし、砂塵なんて無かった。」
ポートル「戦役で大気が失われたのは最もだけど。昔のリターナの砂塵って何?」
バンズ「砂塵の様なって書いてあるだけ。」
ポートル「その砂塵の様なキラキラっての、ザクラートが飛んでたりして。」
ガルシア「その可能性はあるわね。……そのあたり、何かヒントになりそうね。リターナの古い画像の載ってる本見てみるわ。一旦テーブルを片付けてくれる?食事のしたくにしましょ。」
ガルシアは奥の書棚の部屋へ向かう画。Fade-out。
ストーリー59:調べ物の真相
登場人物
ガルシア、ラムル、バンズ、ポートル
食事を済ませた4人は再び調べ物に取り掛かっている。
ラムル「ノアーナやリターナの宇宙船の歴史の画像。ノアーナやリターナの古い宇宙船から今の宇宙船まで載ってる本。個人所有の物ばかりだけど……。唯一古い1枚の画像のコメントに、”このタイプの宇宙船より以前の形式にはダイム金属が使われておらず、上昇下降にエネルギーを要したが、この形式以降からダイム金属が使われる様になり、軽量化が実現。それに伴い上昇下降のエネルギー負担が少なくなった。“って書いてあるわ。あとはどこを読んでも載ってなかった。」
バンズがラムルの本を覗き込む。
バンズ「どれどれ?これはノアーナに無い形式の宇宙船だ。この宇宙船はリターナ製だね。これがダイム金属を使った宇宙船の第一号って事か。」
ポートル「じゃあ、いつの宇宙船までがダイム金属入りでいつからダイム金属無しになったのかしら?」
奥から戻って座るガルシア。
ガルシア「それは多分、無重力航行が新しく進化した頃ね。ダイム金属を使って軽量化する必要がなくなって宇宙船に採用されなくなったんだわ。」
バンズ「なるほど、ダイム金属の加工の手間や工具のコストの事を考えると、そのまま今に至っている訳か……。でも確かに材料の重さより作る時の加工を重視して完成スピード第一だもんアタイ。」
ポートル「重力コントロール様さまだー。」
4人はカップを手に調べ物に没頭中。しばらくして、
ガルシア「……古いリターナの都市部の街、今のノアーナとあまり変わらないわね。……こっちの画像はフローター……。ずいぶん古いタイプのフローターみたい。」
フローターと聞いてバンズがガルシアの横に、
バンズ「確かに古いタイプ。重力コントロールもまだまだ発展途上の頃のだね。この頃は貨物室も無い小型フローターばかりだったって聞いたことがある。……操縦する人、ゴーグルマスク着けてる。」
ラムルとポートルもそばに来た。
ガルシア「コクピットが露出してるわけでもないのに?」
ポートル「ホント。カッコいいと思って身に付けてるのかしら。」
バンズ「よく見て。いくら古いタイプのフローターだってコクピットが露出してるわけないじゃん。」
ラムル「……さっきの話。もしかして砂塵のせい?」
ガルシア「それは考えられるわね。街には地面が露出してる場所が無くて砂塵が無いけど、こっちの画像は赤茶けた地面が露出してる。砂塵の為にゴーグルマスクしてるんだわ。チリのような小さなものならザクラート100%って事もあるでしょう。そのまま飛んでいったものがリターナの外観ではキラキラして見えたのかも。」
ポートル「やっぱり飛んでっちゃったんだ。」
ラムル「リターナ戦役後の軍が採掘しているのであれば、ザクラートが混ざった鉱物のみで、ザクラートのみの物質は飛んでしまったのね。」
バンズ「リターナでは発見されなくなったのは砂塵のようで飛んでしまったってことなのか……。」
ポートル「なんか眠くなってきちゃったー。」
ややこしいい話を理解するのが苦手なポートルであった。
ガルシア「どお?皆んなが構わないならまだ滞在してる?調べ物がまとまったら、またバーベキューでもしてから解散しましょ。」
ラムル「いいわー、賛成―。」
画面はガルシア邸上空の画。
灯りが消えてfade-out。
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