ストーリー52~55

ストーリー52;ルイスとカウル


登場人物

ルイス、カウル



 カーレイ邸、ルイスがリビングで掃除している。


 ラムルを連れてガルシアの所に行ってから数日過ぎた日中の事。


 ソファーに座るルイスの独り言、

ルイスoff「ガルシアがジックやケイドのデータを残してたなんて……。彼女ったら何も言わなかったのに。……ドックに飾ってあった写真、今度画像データを送ってもらおうかしら。」


 ゆっくり時間が流れている表現のカーレイ邸の外。


 再びソファーのルイス。

ルイス独り言off「ラムルったらカウルを従える為に色々調べてるのかと思ったら、ダイムって物の話……。まったくカウルかダイムかどっちが優先なのか……さっぱり理解できないわ。」



 再びカーレイ邸外の画。


 時節は変わり、ある日のカーレイ邸。


 リビングのソファーに座るルイス。

ルイス独り言off「ラムルはガルシアの所に行って何が知りたいのかしら。ガルシアは色々知識豊富だから何かしらの結果は持てるのかも知れないけど……。」


 ゆっくり時間が流れているカーレイ邸の外(しつこいリピ)。


 画面がソファーのルイスに戻る。


 ルイスoff「私もラムルに協力したいけど、どうしよう。……地下へ降りてみたら何か閃くかしらね。」


 言って、ルイスは地下に向かった。


 地下へ向かう階段でも考え事のルイス。


 階段を降りる画。ルイスの独り言が続く。


 ルイスoff「カウルはダイムのデータは持ってるのかしら?地下に残ってるシステムデータはダイムに関して記録されてる?……これは無理ね、管制室にしていた所には残ってないわよね……。」


 扉が開き、ルイスが入ってくる画、シートに座るルイス。


 ルイスの独り言は続く。

ルイスoff「カウルが起きてくれたら聞けるのに……。」


 ルイスがカウルの前にかがみ込む画。

ルイスoff「カウル、あなたはラムルについて行くのよ、ラムルを助けてあげてねカウル。」


 Fade-out。


 ノアーナ対策軍オートメッセージ(OM)


 OM「こちらノアーナ対策軍。緊急事態、緊急事態。自立移動惑星G15接近中。ノアーナ全土の住民は、速やかに使用エネルギーを最小限に設定して暫く過ごして下さい。繰り返します。速やかに使用エネルギーを最小限に設定して暫く過ごして下さい。解除通信をお待ち下さい。解除通信をお待ち下さい。」


 ノアーナ星の平和な日常、度々この時は非日常となる。


 G15を安全な距離に回避するまで。


 当のG15はと言えば、リターナ戦役の際、ノアーナまで影響を受けて消滅したと考えられている様で、特別探知しようとまでしてこないのだった。


 暗い宇宙空間に、遠くからG15がゆっくりとやって来る画。


 画面を通過して行く。


 星の瞬き、そして暫くの時間が経過……。


 OM「こちらはノアーナ対策軍。緊急事態宣言解除、緊急事態宣言解除。オートメッセージ終わります。」


 ようやく緊張から解かれるノアーナ各都市のシーン数カット。



ストーリー53:ルイスの名芝居


登場人物

ルイス、ブロント、カウル



 カーレイ邸の朝。ラムル達はまだエンジャーから戻っていない様子。


 リビングのソファーに並んで座っているブロントとルイス。朝食を終え、ブロントが出掛ける時分の事。


 ルイス「ねえ、ブロント。先日はエンジャーへの外出、すみませんでした。ガルシアもとっても喜んでいたわ。」

ブロント「何言っているんだ。ラムルとゆっくり過ごせてよかったじゃないか。ガルシアは元気だったかい?」

ルイス「ええ、相変わらずだったわ。とても有意義な時間を過ごしてきた。ありがとう、ブロント。」


 ブロントに寄り添うルイス。続けて、

ルイス「ねえ、ブロント。ガルシアやラムルと話してて、私とガルシアの昔話をしたわ。そうしたら、ラムルったら、若い頃の母上が見たいって……。若い頃の私の写真もデータも残ってないからって断った時のラムルの悲しそうな顔ったらなかったわ……。」


 うつむくルイスの一芝居だ。


 ブロントに更に寄り添って、

ルイス「地下には古い画像、残ってないかしら?私の画像、ラムルに見せてやりたいの……。」


 うつむいたままのルイスの名芝居であった。(ペロっと舌を出しちゃう画も可)

ブロント「……。ルイスの古い画像か……。」


 少し考えている様子のブロント。


 うつむいたままのルイスの名芝居は続いている。


 ブロント「カウルのデータに少し残っていると思うが……。」


 シメた!、のルイスの心の声。


 ブロント「そうだな……。よし、今日帰ったら地下へ入ろうルイス。……私はそろそろ出掛けるが、もしラムルが帰っても、地下へ入るのはラムルには悟られない様にな。」


 ソファーから立ち、出掛けて行くブロントの画。


 よっしゃーのルイスの画(ガッツポーズでも可)。

 ディゾルプ。



ストーリー54:シェルターのグラン


登場人物

グラン



 休暇を迎えたグラン=ジョリー。シェルターに転居し、くつろいでいる。元の別荘の物は全て運び入れている。


 グラン独り言off「あの時の彼女達、また来るだろうか……。」


 もうここには暖炉は無い。冷たい壁のリビングだったが、その壁には昔の家族の写真が幾つも飾られていた。


 グランoff「もしも再会出来たとして、どう対応しよう……。彼女達の星の技術はこの地球に是非欲しい技術だが、それを伝えてもらったところで、俺の頭では理解出来ない位の技術なんだろうな……。容姿は地球の人間と変わらなく見えたが、比べ物にならない文明を持っている星の生命体のようだ。」


 グランの好奇心か地球を想っての考えか。グランの脳裏に様々な情景が駆け巡った。


 グランoff「地球では考えられない技術、彼女達から伝えられるはずもない……。俺には彼女達の星の技術を聞いたところで今の知識を遥かに超えている。いったいその時が来たらどうすればいい……。技術者の知人をもっと作っておくべきだったのは悔やまれるな。今の俺に頼れるのはタロン、ヤツだけだ。この事を打ち明けておくべきか……。……いや口外しないと約束したのだし、ここは今しばらく再会を待つとしようか。」


 ディゾルプ。



ストーリー55:カウルの目覚め


登場人物

ブロント、ルイス、カウル



 カーレイ邸。


 帰宅したブロントは、ルイスを連れ地下へ降りてきた。

 

 ルイスに扉を開けてもらい2人が入ってくる。


 ブロント「照明明るくしてくれ。」


 ここはまだブロントの音声認識が残っている。


 ブロントはルイスにシートに座るよう促すと2人共座った。


 ブロント「カウル、再起動。」


 カウルの外装にはスイッチ類等は無い。

ブロントの声を認識して再起動を始め、姿形が多少変形、起動した様子。


 ブロントは微笑んでいるようにも見えた。


 ブロント「やあ、カウル。久しぶりだな。」

カウル「ブ、ブロント様……ですか⁉︎……こちらの方は……。あっ、すみません、しばらくお待ちください。」


 カウルにはシャットダウン当時までのデータしか無く、戸惑っている様子が伺えたが、今の時刻合わせから始まり、周囲にカメラを向けたりした。


 そのあと、ブロント、ルイスの順に向き合って何やら調べている様子の画。


 カウル「お待たせしました。……ブロント様、間違いなくブロント様ですね。お久しぶりです。」

ブロント「カウル、私はこの通り元気だよ。」

カウル「ルイス様……以前よりお美しくなられましたね。見違えてしまいました。」ルイスに向かい言った。


 ルイス「まぁ、カウル。お世辞はいいのよ。」

カウル「ブロント様、いよいよ次のあるじになる方が決まったのですね?今まで大切に扱っていただき感謝いたします。」

ブロント「おいおいカウル。早まるでない。その話でお前を再起動したんじゃない……。」


 画面が、過去にブロントがカウルをシャットダウンする前の回想シーンに変わった。


 当時の地下管制室、様子は全く変わらない。


 シートに座りカウルと向き合うブロントの画。


 当時のブロント「カウル、もうここはシャットダウンし封印する事にした。お前を含めてだ。」

カウル「では、私はもう解体されるのですね。……ですが、長い間、従えてきたブロント様の指示ならば……。仰せの通りに致します。」

ブロント「大丈夫だ解体はしないよカウル。……近い将来、お前のあるじを変えようと考えている。だがデータは消去する事になると思うがそれで良いか?」

カウル「……かしこまりました。では今日までのデータ消去にかかります。」

ブロント「カウル、だからそう先を急ぐな。まだそのままでいい。前の様な慌ただしい日常は無い。ゆっくり出来る。また会う時まで待っていてくれカウル。」


 涙目になっているブロント、優しくカウルに手を当てた。


 ブロント「カウル、シャットダウン。」


 カウルのシャットダウンの画。変形し、鈍く光る金属の塊になった。扉に歩いて行くブロントの後ろ姿、照明が消えた。


 回想が終わり、画面fade-out。


 そして現在の画にfade-in。


 ブロント「お前を起こしたのには理由があってな。データを残してある映像や画像データからルイスの物を抜き出して、これにアップロードを頼む。」


 ブロントはスーツの腕に着けて使用するモニターと同じ物を胸ポケットから取り出すと、それをカウルに差し出した。カウルからは解析トレーが出てきてそれを受け取る。


 ルイスはワクワクの表情をブロントに向けた。


 カウル「完了しました。ブロント様。」


 トレーが出て、ブロントが受け取ると、

ブロント「私にはどんなデータか想像がつく。さ、ルイス。プレゼントだ。ラムルを喜ばせなさい。」


 シートを寄せルイスに手渡した。


 ルイス「ブロント、感謝しますわ、ありがとう。」

ブロント「じゃあカウル、また会える。それまで楽しみに待っていてくれ。」

カウル「了解です。ではその時まで……。」

ブロント「カウル、シャットダウン。」


 過去と同じようにカウルは変形、シャットダウンした。


 ブロント「さて、ここのシステムデータはこれから消去してしまう。カウルは……カウルのデータはそのままにしておくのが良いのかも知れん……。」


 テーブル上、投影されたホログラムからシステムデータ消去に取り掛かるブロントの画。


 ルイスは過去のブロントを思い起こしたのか涙目でブロントを見ていた。


 ブロント「ここのシステムは古くて使い物にはならん。ラムルに残しても無駄な物。ラムルとて、水の惑星ほしのデータを持っている様だしな。ルイス、ラムルがここを欲しがったらリメイクをサポートしてやってほしい。不要なら潰して構わんからな。」

ルイス「分かったわブロント。ここの処分はラムルに託します。それで、カウルはどうするおつもりなの?」


 溢れてしまったルイスの涙をそっと手を添えて拭うブロント。


 ブロント「私が今後、カウルのデータを見る事は無いだろう。古いデータはそのまま託す事に決めた。ラムルはカウルのデータを調べるだろう。その時にラムルに不要なデータが有ったなら消去させればよい。……ルイス。当時君に伝えたそのままの内容で偽りは無い。もしラムルが許すのなら君も見て構わんよ。」


 ブロントは立ち上がり、ルイスの手を取り扉に歩く。(後ろ姿)


 ブロント「さぁルイス。これでここは全て君に任せる事になった。ラムルに託す日も任せる。……ここを解体するも良し。その時は相談するといい。」


 ブロントは起きたカウルの従順さに心打たれ、残存データの事が吹っ切れたのかも知れなかった。


 ルイス「ありがとうブロント。ラムルもきっと喜ぶわ。」


 扉が閉まりながらのディゾルプ。

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