6話 弱点

バギィィン


階段の壁が破壊され、近づいてくる。


あれから、3分。逃げながら戦っていた。


しかし、かすり傷一つついていない。装甲が硬すぎてハンドガンでは太刀打ちできない。


だけど、対物ライフルもほとんど意味をなしていない。傷をつけられても、かすり傷程度で済む。そして、一瞬で回復されるからどうしようも無い。


せめて、弱点さえわかればそこを狙い続ければいい。効果があるかは知らないけどね。


そんなことを考えながら、化け物と距離を取る。息も上がってきて、きつい。体力も限界がきている。だが、思考を止めている暇はない。


「急遽だ。弱点を探ってくれ。はっ。もう、体力の限界がちけぇ。うっ。頼んだ。」


『了解。生命体の心臓の位置を検索。......脈を検知。首、足首、左胸に反応あり。左胸が本体。それを破壊できると死ぬと思う。』


「了解。はっはっ。なんで、手首とかにもあるんだ?」


『多分、全身に血液をめぐらせやすくするため。破壊しても意味はない。』


「おっけ。」


対物ライフルをリロードして、三発入れる。


そして、5階に着く。


5階は開けており、窓が四方につき、四つの支柱が立っていた。出来るだけ、真ん中を位置どる。


メキメキメキッ


バギィギィギィギィッ


バゴォォン


おいおい、握力で破壊すんなよ。はぁ。息切れがヤベェな。心臓バックバク。これ、ラストチャンスかもな。


ゆっくりと互いに距離を詰める。


そして、一気に近づく。間合いを相手の腕の長さに合わせる。


握り潰そうとするよな。計算通り。膝を曲げ懐に飛び込む。そして左胸に銃口を当てる。


ゼロ距離。


バンバンバンッ


グチャァ


肉を抉る音。決まった。しかし、


「は?」


キメラ野郎はニヤケ面で俺を見ていた。


そして、次の瞬間、


「まずいッ」


右腕の攻撃を対物ライフルと右腕越しに喰らう。ライフルは潰れて、右腕につけていたプロテクターごと破壊され、右腕にひびが入った感覚を覚える。そして、支柱に飛ばされて、頭を打つ。

血が滴り、左目を濁らせる。見ずらいもんだ。そして、腹の底から何がわいてくる。


ゴハァ


手を見ると、血があった。

血反吐を吐くのは何年振りかな。

死ななくねーな。じゃあ、動くしかねぇ。

立ち上がった時、


『あと、10秒耐えれそう?』


「むずいかもな。」


『10秒耐えれたら解決できるよ。出来るだけ真ん中で戦って。そして、私が今って言ったら右後ろに思い切り飛んで。』


「それにかけるよ。」


残り、10秒。


「最後だな。化け物やろう。」


9秒。


ニヤケ面しやがって、


8秒。


ハンドガンの弾は残り三発か。


7秒。


まずは一発。


パンッ


6秒。


狙いが定めきれてなかったおかげだろうか。

目に当たり、化け物が狼狽える。


5秒。


だが、瞬時に再生させて、近づいてくる。


4秒


横のビルは俺のいる5階より、少し高く、怪物がいる位置を照らしている。


3秒。


怪物は近づいてくる。目を狙うが狙いが定まらない。


2秒。


パンパンッ


全ての弾を使い切り、限界まで耐える。


1秒。


キメラ野郎は嬉しそうに腕を目一杯振り上げる。


0秒。


『今』


イヤホンからはち切れんばかりの声が聞こえる。そして、右後ろに思い切り飛ぶ。


パリィンッ


窓が割れ、スナイパーライフルの音が聞こえる。


バッシャァァッ


化け物の心臓を貫き、この戦いの終止符を打った。


「おぉぉぉぉ」


悲鳴とも取れる、鳴き声、それを最後に俺の意識は遠くなっていく。


途切れる寸前、


「ーーー。ーーーっ。ーーーーーーーー。」


誰の声だ?でも落ち着く声だ。走馬灯かな。死なたくねーな。来世に期待はしてないんだがな。生きた.....い。


プツンッ


そこから、記憶などは一切ない。











起きたら、知らない天井が見えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る