第18話 第2階層へ(報酬編)[第1階層編]

"スゲーーーぞあんたらーー!!!!"


"オオオオオオォォォォォォォ!!!"


"パチパチパチパチッ!!!"



「はは。俺たち、やったんだな!」


「さすがにめちゃめちゃ、疲れたっすよ。」



「ごめんねみんな、美味しいところもらっちゃったわ。」


「ほむらちゃん、やったね!最後のかっこよかったよ。」



周囲からの歓声を受けながら、タケル・ルイ・ほむら・かなでは激しい戦いを終えてホッとしている様子だった。

同時にまさか本当に倒してしまえるなんて、というような様子でもある。



「みんな、お疲れ様。オレの指示を信じてくれてありがとう!」



土埃が収まりつつある中、オレはみんなの前に現れ手を振った。


"イザナ(くん)!?"


いち早くかなでが駆け寄り、真っ直ぐオレに抱きついてきた。


「ちょっ?!かなでさん?」


「うぅぅぅ……よかった……。イザナくん無事で。わぁぁぁぁぁぁぁんんんん。」



そんな一生懸命に涙を流しながら、引っ付かれてしまっては離れるに離れられないじゃないか……。



それに少し嬉しくもあるし。



いや、そこは見栄をはるなって?

まあ素直に言えば、めちゃくちゃ嬉しいけども。



「イザナくん、あのやばすぎる攻撃受けてて無事だったんっすか?どうなってるんっすか?」


「イザナに関して驚くのはもうやめるわ。あなたの指示は本物だった。あれがなければ私たちも今頃デスペナルティを受けてたはずだもん。」


「イザナ本当にありがとう。俺の代わりにみんなを導き護ってくれて。俺もいつかイザナのようになってみせる。今日ここで約束するよ。」


タケルはオレに向けて握手を求めてきた。



「あぁ、タケルなら必ずやれるよ。」



かなでを抱きしめたまま、オレは握手に応じた。



「さてと……かなで?大丈夫か?」


ぐすっ…。と鼻をすする音と共に、オレからようやく離れたかなでは、涙を拭った。


自分がみんなの前でずっとくっついていたことに、今更気付いたのか見る見るうちに顔を赤らめていった。



「ご、ご、ご、ご、ごめんねイザナくん。わた、わた、わたし。」


「いいよ。むしろ心配かけてごめんな。」


まだ涙ぐみながら、顔を赤らめているかなでの頭を撫でてやると、より一層顔を赤らめてしまった。


「うぐぐ……。ライバル出現っす。」


ルイがオレに向けて鋭い眼光で、闘志を燃やしているが……何故だろう?

まあ、細かいことはいいか。





「あ、そういえばみんなに話があるの。これ何だけど……。」


ほむらはそう言いながら、オレたちに向けてアイテムを見せてきた。

それは指輪の装備アイテムだった。


「"ラストアタックボーナス"って表示が出てきて、この"雷兎の指輪"を入手してたの。」


元々のオンラインNOW!にはラストアタックボーナスは存在していない。

それがあったのは、唯一最終局面である魔神王戦の時だけだった。


……ここは、オレが知っている【オンラインNOW!】とやはり少し違うんだろうか。

ただリスタートしただけだと思っていたんだけどな。


「……っていう相談なんだけど、どうかなイザナ?」


ほむらは何かを説明していたみたいだったが、オレは考え事に夢中だったため聞いていなかった。


「あ……ごめん。ちょっと考え事してて。」


「ラストアタックボーナスって言ってもみんなで勝ち取った報酬だし、全てはイザナくんのおかげだから君がもらうべきじゃって話っすよー?」


ルイが代弁してくれる中、何で聞いてないのよ・・・。と少し拗ねられてしまった。


ごめんごめん、と謝りその指輪の装備アイテムはほむらにもらって欲しいことを伝えた。


他のみんなもほむらがその指輪を持つことに、異論はなかった。


「これ雷の攻撃魔法が使えるみたいだから、嬉しいわ。みんなありがとう!」


レアアイテムを入手できて、ほむらは嬉しそうに笑っていた。


……まあ、【暗殺者アサシン】を目指すならオレに攻撃魔法は必要ないしな。



オレもステータス画面を確認し、入手したと出ていたユニークスキル【雷を纏いし者ライトニング】を確認してみる。



○【雷を纏いし者ライトニング

→第1階層エリアボスである巨大兎が、あなたの回避を褒め称え贈ります。使用すると雷のオーラを纏い、AGI(素早さ)が2倍になります。(ただし、雷属性耐性を獲得していない場合、使用中はHPが少しずつ削られます。)



「あの"雷撃弾"の猛攻を全部回避したから、贈られたのか。モンスターから贈られますって書かれてるのは変な表記だけどな。」



贈られるという表記には、深い意味が隠されているのだが、この時は知る由もなかった。



そして現時点では雷属性耐性は持ち合わせていなかったため、【雷を纏いし者ライトニング・ボルテッカー】は使い道が限定されそうであった。


まあ、AGI(素早さ)が2倍ってのはかなり使えるスキルに違いないんだろけどな。




「じゃあ、そろそろ俺たちも行こうか。第2階層へ。」


タケルの声かけにみんなが頷く。


「第2階層じゃ PVP(プレイヤー対プレイヤー)の機能も開放されたっすからね。超楽しみっす!」


「私もPVPは気になってたのよね。この指輪もあるし、そこそこいいところまでいけたりしてっ。ふふふ。」


「イザナくん?早く行こ?」


ここは本来ならみんなで一緒に向かうべき場面だろう。


だが、オレにはやり残していることが1つあった。


「ごめん、みんな。少しだけやり残したことがあるから先に行っててくれないか?」


4人は顔を合わせると、何を言うこともなく頷きオレを送り出してくれた。


「さて、急いで用事を済ませて早く追いつかないとな。」


走りながらオレは真っ直ぐ、城塞都市カルディア内にある【領主の屋敷】へ向かったのだった。






【ステータス一覧】

【名前】イザナ

【レベル】8(108)

【メイン職業】狩人(物理系統分岐職)

【サブ職業】未解放

【スキル一覧】

☆マナコントロール☆ダブルアタック☆神速☆雷を纏いし者(NEW)



HP(体力):800

MP(魔力):12000

ATK(物理攻撃力):250

MATK(魔法攻撃力):51600

DEF(物理防御力):52

MDEF(魔法防御力):11

AGI(素早さ):1209

CRI(クリティカル):1


【装備一覧】

武器(手):アイアンソード(E)

防具(頭):なし

防具(体):冒険者の服(E)

防具(腕):なし

防具(足):冒険者の靴(E)


【状態異常】

魔神王の呪い

覚醒者の兆し

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