第5話 ステータスと職業①[始まり編]

 今度こそ、この世界で本当の意味での "最強" になってやる。


 そう決意したところで、今のオレのステータスの確認をしておこうと思う。



 装備に関しては自分のアイテムストレージからは無くなってしまっていたので、正直期待はしていなかった。



 ツールバーのステータス画面を開いてみる。



【ステータス一覧】

【名前】イザナ

【レベル】1(101)

【メイン職業】冒険者

【サブ職業】未解放

【スキル一覧】

 ☆マナコントロール


 HP(体力):100

 MP(魔力):12000

 ATK(物理攻撃力):1

 MATK(魔法攻撃力):51600

 DEF(物理防御力):1

 MDEF(魔法防御力):1

 AGI(素早さ):1

 CRI(クリティカル):1


【装備一覧】

 武器(手):木の棒(E)

 防具(頭):なし

 防具(体):冒険者の服(E)

 防具(腕):なし

 防具(足):冒険者の靴(E)


【状態異常】

 魔神王の呪い

 覚醒者の兆し




 ……以上である。



 さて、まずどこからツッコめばいいんだろう。




 明らかに高かったMP(魔力)とMATK(魔法攻撃力)だけ異常な数字になっている。


「このMATK(魔法攻撃力)って確か……」



 最後の魔神王戦の時、通常時[MATK:15800]に

 大賢者シリーズ(SS)装備のセット効果+5000。そこからスキル【魔法攻撃力倍化】し、討伐ボーナスである+10000をした数字そのものだった。



「これはもうチートなんてどころじゃないな。それにレベルも表示が1になってるけど、MAX表示だった箇所が101になってるな」



 つまりカンストレベルを超えて更に強くなれる状態ということらしい。

 人からは見た時の表示は1になるだろうから、これは好都合だった。



 これだけ見ればまさしくチート的な強さで "最強" なんてあっという間に達成できてしまうだろう。


 しかし残念なことに良いことだけではなかった。


「状態異常、なんだよこの気持ち悪いの……」


 【魔神王アイヴィス・ヘルゴート】から言われた


「我が一族の恨み・・・」


 と言う言葉が繰り返し思い出される。


「ははっ、まさかこれのことだったり?」


 詳細を見ようとタップしてみる。


 ○【魔神王の呪い】

 →魔神王アイヴィス・ヘルゴートの怨念。

 →攻撃魔法系統への転職が不可となる。




「ちょっ?魔神王まじで何してくれてんの?!」



 これだけ異常なMP(魔力)とMATK(魔法攻撃力)があって、攻撃魔法系統の職業に就けないとか……。



「このゲームは攻撃魔法系統が最強だって分かってんのに、それに転職できないとか終わりじゃん」



 ちなみにオンラインNOW!での攻撃魔法系統の上位職業は3つ。


 ○【大魔法師ハイウィザード

 →四大元素(火・氷・雷・地)をベースに様々な魔法を操る。攻撃魔法系統の職業の中で最も火力が高い。


 ○【大妖術師アークソーサラー

 →四大元素魔法以外の魔法に特化し、相手を昏睡・睡眠等の状態異常にし、有利に戦うことができる。



 ○【死霊術師ネクロマンサー

 →死霊系統の魔法に特化。闇魔法も習得ができ、癖はあるが条件を満たせば瞬間的に圧倒的な火力を出すことも可能。



 以上である。




「この優秀なステータス部分を活かす他の職業なら、補助魔法系統かな」


 補助魔法系統も3つの上位職業から選択ができる。


 ○【付与術師エンチャンター

 →あらゆる魔法を付与し強化することができる。自身も強化可能だが、自分の素の能力値はあまり高くない。


 ○【大司教ビショップ

 →オンラインNOW!唯一の回復特化職。

 パーティでは必須級だが、攻撃魔法はほとんど使えないことと装備等が揃えるためにお金がかなりかかるため、MMORPGの中では珍しく不人気職。


 ○【吟遊詩人ミンストレル

 →あらゆる効果の歌を付与することができる。

 効果はパーティ全体に及ぶが、1つの歌の効果時間は短い。素の戦闘力は低いがレベル90になると【滅びの歌】という範囲攻撃魔法を覚え、自身よりも低い能力値のモンスターを瞬殺できる。



 ……うん。自分で攻撃できないとだしこれはやっぱなしだよな。



 そしてオレはここで肝心なことに1つ気付いた。


 【オンラインNOW!】でHPを全損……つまり "0" になってしまった時のペナルティのことだ。


 30分間ログインができず、更に再ログインから12時間は獲得経験値が1/3になってしまうというペナルティが課せられてしまうのだった。



 そう、みんな気づいてくれただろうか?


 ログインができなくなるということは、強制的にログアウトさせられてしまうということなのである。


「オレログアウトできない状態だし、もしそうなったら……」



 その先は少し考えたくない。



 つまりHPを全損することがないように、職業も選ぶ必要があるのだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る