7話「証人」

皇太子殿下の護衛が、王太子の手を掴み捻りあげる。


「ぐぁっ、何をする……!」


王太子が皇太子殿下に向かって吠える。


「彼は勇気をもって事実を話してくれました、こちら側の大事な証人です。これより僕の保護下に入ります、手荒な真似は止めていただけますか?」


「なっ、証人だと……!」


「そう大事な証人です、その他の皆さんはどうされますか? あらいざらい話して下さるなら証人として僕が保護しますよ」


クラスメイトたちはお互いに顔を見合わせていた。おそらくどちらに付くのが得か考えて入るのだろう。


「私、証言します! これは全部王太子殿下とザックス伯爵令嬢が企だてたことです!」

「私も全て話します! だから助けてください!」

「白状します! 王太子殿下に言われてナウマン公爵令嬢に嫌がらせしました! 本当はこんなことやりたくなかったんです!」


クラスメイトが次々に自白し、皇太子殿下側についた。


「ありがとう、君たちの勇気ある告白に感謝するよ」


皇太子殿下がふわりと笑う。


「くそー! 裏切り者どもめ!!」


王太子ががなり立てる。


「ちょっと! なぜ私まで拘束されるの!?」


王太子の隣でザックス伯爵令嬢が、皇太子殿下の護衛に拘束されていた。


「ザックス伯爵令嬢、あなたは王太子の共犯のようなので拘束させていただきます」


皇太子殿下は鋭い目つきでザックス伯爵令嬢を見据え「女性に手荒な真似はしたくないのですが、逃げられたら困りますからね」と続けた。


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