5話「冤罪を晴らす」
「なっ、冤罪だと……何を証拠に!?」
王太子が青い顔でがなる。
「実は我が国には記憶の魔法があるんですよ、その部屋の記憶を数時間だけ巻き戻して見ることができる、割とチートな魔法です」
皇太子殿下が教室内の生徒の顔を見て、ニコリと笑う。
王太子とクラスメイトの顔色が真っ青に変わる。
「待て! 我が国でその魔法を使うことは許可できな……」
「記憶の魔法よ、この部屋の二時間前の姿を見せておくれ」
王太子の言葉を遮り、皇太子殿下が魔法を使った。
黒板に二時間前の教室の様子が映し出される。
算術の授業が終わり、私は王太子にエスコートされて教室を出て行った。
殿下が教室を振り返りクラスメイトに目で合図をする。
教室にいた教師とクラスメイトが頷き、一人が教室の扉を閉める。それを合図にクラスメイトたちが自身の鞄からアクセサリーを取り出し私の鞄に入れた。
クラスメイトが薄笑いを浮かべながら教室を出ていく。最後に教師が教室を出て行った、そのとき部屋に鍵はかけられなかった。
思い返せば、今朝から違和感があった。殿下にエスコートされたことなど今までに一度もなかったのに、馬車を降りた時からエスコートされていた。
ダンスのレッスンをする部屋までエスコートしてくれて、お茶までご馳走してくれて、今日の殿下はお優しい、いつもこうならいいのにと感動していた。
それが全部私に冤罪を着せ、婚約破棄し、国外追放するための策略だったなんて……。そのことに気づかずに感動していたなんて、私は愚かだ。
「なるほどね、犯人はここにいるナウマン公爵令嬢以外の全員だったみたいですね」
皇太子殿下がクラスメイトに鋭い視線を向ける。クラスメイトの顔色が青から紫に変わる。
「我が国では記憶の魔法の存在が知られているから、犯罪の
皇太子殿下の言葉には棘があった。
「む、無効だ! こんな映像、なんの証拠にもならない!!」
王太子が声を荒げる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます