第14話、シルビア

「ねえ、そういえばシルビアはどうしてるかな」


「シルビアか懐かしいわね」


「幼馴染なのかい」


「ええ。

いっつも5人でつるんでたの。

でも、一人は死んじゃってもう一人は家を次いで農業をやってるはずよ」


「そうよね。冒険者になったのは三人で、シルビアは勇者になるんだって」


「ちょっと待ってね。

シルビアなら魔力の波長を覚えてるから……

ああ、これだわ」


「繋がったわ。

シルビア、私よ、エリス。

ええ、うん、会いたいわね。どこにいるの?

へえ、隣町じゃない。私たちは始まりの町にいるわ。

こっちに来ない?

ええ、二人ね、じゃあ、待ってるから」


「来るって?」


「ええ、ちょうど一区切りついたって。2・3日中には来れるってさ」


「それって、遠隔で会話できるのか?」


「魔力の波長を覚えてる人だけですわ。

だからおじさんの居場所もすぐにわかったの」


「誰でもできるものなのか?」


「残念でした、遠隔通話は魔女固有のスキルよ」



シルビアという女性は、銀色の長い髪で、白の法衣のような姿だった。

エリスとも違う正統派美少女といってところか。


「久しぶりね。元気だった」


「御覧のとおりピンピンしてるわ」


シルビアは、少女を連れていた。

まだ10才くらいだろうか、黒髪のショートカットでくせっけのようだ。


「この子はアイリス。死んじゃったパーティーメンバーの子を引き取ったの。

一応、探索系の素質はありそうだから、仕込んでるところよ」


「こっちはオジサンと……オネエよ分からなかった?」


「オネエ……?って、あのオネエなの!

驚いたわ、こんなかわいい子だったなんて」


「あーら、シルビアには負けたわ。それって聖騎士の衣装よね」


「うふふ、結構苦労したのよ」


「ふつうは僧侶からでしょ」


「例外で、剣士からの入門を許可してもらったのよ。

ほら、聖騎士って男ばっかりでムサイでしょ」


「それで、騎士団はどうしたの?」


「ちゃんと退団したわよ。

この衣装は広告塔代わりに着て行けって言われたので着てるだけよ」


「それで今は?」


「原則フリーよ。この子がいるから、特定のパーティーには入れないのよ。

今11歳だから、来年には冒険者登録して、どこかのパーティーに入ろうって考えてた矢先よ」


「ねえオジサン、シルビアもパーティーに入ってもらいましょうよ」


「それはいいんだが、子供はどうする?」


「探索者の養成所に入ってもらうの。半年で卒業だから、そのあとは見習い申請して12歳になったら本登録よ


「そんなことが可能なのか」


「大丈夫よ。ギルドの規約にも見習いって制度があるもの」


「俺はいいんだが、そっちは?」


「そうしてもらうと助かるわ」


こうして、聖騎士シルビアがパーティーに加わった。

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