第3話、おっさんはパーティーに声をかけられた

***はじめに***


スキル『絶対回避』は高い集中力を必要とします。

集中力を欠くと被弾するので過信しないように注意しましょう。


**********


本の冒頭にそう書いてあった。

これって、絶対じゃないじゃん。

無敵じゃんと言った時のBの笑い顔が浮かんだ。

そういうことかよ……




***二番目に***


パーティーを組みましょう。

攻撃役の剣士と、回復役の僧侶は必須です。

ただ、僧侶は男性の中で禁欲生活をおくってきました。

中には、男色に走ってしまった者も多いので注意しましょう。

魔法使い(魔女)は女性集団の中で学んできたせいか、潔癖症の人も多いです。

発言や行動には注意が必要です。

特に剣士が女性の場合、魔法使いとの関係性に気を付けましょう。


一番手っ取り早いのは、荷物持ちとして既存のパーティーに入れてもらうことです。

収納持ちは重宝されますが、男性4人のパーティーの場合、お姉言葉のメンバーがいないか注意しましょう。

また、女性4人のパーティーには必ず男言葉のメンバーがいます。

この場合、必ずしも百合系とは限りませんが、性悪が隠れている可能性があります。


**********


ちょっと待って……

なんか、人間不信に陥りそうなんですけど。

頭痛を感じて俺は本を閉じた。


朝までひと眠りするか……


人のざわつきで目を覚ますと、大勢に囲まれていた。


「世捨て人ってのはあんたかい」


「違うって、迷い人だよ」


「あっ、そうみたいですけど」


「収納はもってるのかい」


「ええ、一応」


「どうする、冴えないおっさんだけど我慢する?」


「うーっ、臭そうだよ」


「あのう、そういうのは、本人のいないところで」


「隠し事が好きみたい……」


「一応、声かけてみようか」


「ちょっと待った、おっさん、うちのパーティーにこいよ。

男4人だから気をつかわなくていいぜ」


「そうよ~、うちのパーティーにいらっしゃいよ」


「何よ、あたしらが先に声かけたんだからね」


なんだか、テンプレみたいな二つのパーティーだった。


「あー、もしよかったら、お試しで一日ずつ入れていただけませんか。

お互いに気が合うかチェックできれば……」


「いや、うちのメンバーで気があいそうなのはいないわよ。

そういうのを望むならほかのパーティーを探さすのね」


「そうね、いきましょ」


「あー、うちもそういうのは必要ないんで、じゃまた」


あっという間に、囲いが解かれてしまった。


まあ、とりあえず冒険者登録しとくか。


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