第3話 今日の心音は出掛けたい①《心音side》

私はとても緊張していた。もちろんこのあとすぐの自己紹介もだが、それよりも彼と同じクラスかどうかの方が心配だった。



「じゃあ片空、京乃、入ってこい」



「はーいっ」



担任の先生に呼ばれ、片空くん......?がドアをがらがらと音をたてながら開け、教室に入っていく。



「はっ、はいっ」



私も返事をして教室に入っていく。教室にはざっと数えて20人位だろうか?端から順番に顔を見ていく。



「じゃあ片空から順に自己紹介を......」



「はいっ。えぇー、片空かたぞら亜羅騎あらきって言いま......ちょ、どこ行くんや!?」

「おいこら!京乃!戻ってこい!」

私には何も聞こえなかった。彼しか見えていなかったから......。



そうして私は彼の机の前で止まった。彼はうつむいていたが、顔を上げて私を見てくれた。少し眠そうだな、少し大きな声であいさつしようかな。



「京乃心音です!これから宜しくお願いしますっ!」



少し大きな声を出しすぎたかな?まぁ彼......はるくんが目を見開いてるしいいや。それはそうと、授業めんどくさいし......



「早速だけどー......今から一緒に遊びにいかない?」



そう言って、はるくんの手をとり、立ち上がらせてから一緒に後ろのドアから、廊下へ飛び出した。



「こらっ!京乃!ついでに晴喜田......?戻ってこい!残りのものは全員自習だ!」

「ええっ。俺の立場はどうなんねん。ちょっと~戻ってきてくださいよ、先生!」

 


久しぶりにはるくんと会えた!嬉しいな~どこにいこう?やっぱりあそこかな~。



そんなことを考えながら私は階段を駆け下りた。



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