第19話 ケイトと勇者シルバー 2-2

前書き


偽物が沢山います。

どうしましょう?


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姉は約束の時間を1時間半も過ぎて、やっと来ました。




遅れた理由は……

オヤツを持って行く事を思い付き、【ユウリン館】へクッキーを買いに行ったら、自称【勇者シルバーのパーティーメンバー】だという男女3名に遭遇。




散々飲食した挙句に、料金を払わずに出て行こうとしていた為、姉が『彼等は、である。』と指摘したそうです。




と言われた3人は、姉を害そうとして姉付きのメイドのモリリンに叩きのめされ、駆けつけて来た衛兵隊に【無銭飲食と貴族への暴行未遂】で逮捕され、その後の対応で遅くなった。

のだそうです。




残念ながら、その『偽勇者パーティー』は昨日ポリーン姉様に教えて頂いた、『偽勇者パーティー』とは別のグループだったようです。

どうやら『勇者シルバーのパーティー』を名乗る者達が複数いるようですね。




「一応、国や父様達も動いているそうだけど、イタチごっこなんですって……。

私が今日捕まえた人達で、もう16組目だそうよ。」




何それ?酷すぎないかしら?




「解決方法としては、【勇者シルバー】の代役を立てて、公の場で発表するのが、一番確実だと思うのよね。」

と、姉は言う。




「代役って誰がやるの?」

と、ポリーン姉様。




「シルバーって髪の色からしたら、ロピアー公爵家の人かしら?

公爵様おじさまとか?」




一瞬、公爵様おじさまが仮面舞踏会のマスクを付け、勇者っぽい格好をしているのを想像してしまいましたわ。




「姉様…それは無理。貴族には直ぐバレると思う。

有名過ぎるから……。」




少し悩んで、姉が次に出した名前が、

「ナルキスとか?って無い無い、アイツが勇者とかwww♪」




ですわね。

まだ12歳ですし。

あの性格ですから、益々つけ上がるでしょう。




その姿がハッキリ目に浮かびます。




そうすると、誰かしら?

有名じゃなくて、そこそこ強い人……




「居るじゃない♪ライネル兄様が!

あの人なら今、B級冒険者だし七男で注目されてないわ♪」




如何にも良い事を思い付いた、という嬉しそうな姉の発言。

確かに良い考えかもしれませんが、いくつか問題が……




「姉様、ライネル兄様は魔術師です。

世間では、【勇者シルバーとそのパーティーメンバーで倒した。】と、認識されています。

他のパーティーメンバーはどうするのですか?」




私の質問に姉は当然の様に答えました。




「其処はとケイトのとこのアークで良いんじゃないの?」




「パーティーメンバーが中等部の学園生と執事?

ちょっと無理が有りません?」

と、アークの前職を知らないポリーン姉様が言う事は、間違いでは有りません。




しかし、アークは元スパイ。

斥候としてなら問題無く戦えます。

クリスも姉を守る為に空手くうしゅの道場に通っていますが、習い始めたばかりで、たぶん役には立たないとないと思います。

パーティーとしては、ちょっとバランスが悪いですね。




剣士と回復役が欲しいところです。

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