第18話 ケイトと勇者シルバー 2-1

前書き


勇者シルバー(笑)の偽物が現れた!


------------------


私のシルバーは優秀です。

この間、私の為にS級の魔物(幼体)を獲って来てくれました。




せっかく獲って来てくれたのですが、シルバー的には残念ながら【王家に献上】され、代わりに男爵位とほうしょう金を貰いました。




姉とポリーン姉様はその話を聞いて、お腹を抱えて大笑いしています。




「ね…猫に男爵位と褒賞金とかウケる~♪」

と、姉が言うとポリーン姉様は

「わ…笑ってはいけませんわ(笑)

ちゃんと【冒険者ギルドの規定】と【王国法】に書いてあるんですから(笑)」

と、言いながら笑いを堪えていました。




堪えきれていませんけど……




「確かに『討伐者が猫じゃダメ』とは、書いて無いし♪

そんなシルバーに私から、ご褒美よ♪」




そう言って姉は、マジックポーチから小さな木箱を取り出しました。




「これはね、東国で有名な猫が一番喜ぶご褒美よ♪

その名も『カツオ武士※1

態々、王都一番の乾物屋に頼んで探して貰ったの♪」




『カツオ武士』って何かしら?



「カツオは魚の名前、武士と言うのは東国の騎士の事よ。

何でもコレは、【世界一硬い食べ物】なんですって。」




姉の説明に私とポリーン姉様は、驚愕しました。

そんな【世界一硬い食べ物】を食べている東国の人達は、どんなに丈夫な歯を持っているのでしょう。




後に知り合った東国出身の方に、この話をしたら大笑いされましたわ。




【カツオ武士削り器】という、専用の道具が有って、それを使って薄く削って使う物なのだそうです。

世の中、いろいろな道具が有るのですね。


******************


そんなある日、ポリーン姉様が『妙な話を聞いた』と、私の部屋にいらっしゃいました。




なんと、『【勇者シルバー】を名乗る男とそのパーティーメンバーだと言う者達が現れた』と、言うのです!



その者達は『自分達のお陰で王国が救われたのだ。

その我々からお金を取るのか?』と、言って【無銭飲食】や【無銭宿泊】を繰り返していると言うのです!!




何それ?




確実に、偽物じゃないですか!

私のシルバーウチの猫の名前を騙った上に、犯罪を犯すなんて、許せません!




とりあえずアークを呼び出し、偽物の件が今どうなっているのか、確かめて来て貰う事にしましょう。

授業が終わるまでには、詳しい情報が入ると思います。





放課後、急いで自室に戻ると、既にアークが沢山の書類を持って待っていました。




「もう暫くすれば、エリーお嬢様とポリーンお嬢様が、お戻りになると思います。

説明はそれからで宜しいでしょうか?」




「そうね。

では、私は着替えて来ます。」




制服から私服に着替えて、お茶を飲みながら待っていると、中等部のポリーン姉様がいらっしゃいました。

普通、初等部の姉の方が先に来ません?





私はまた、ポリーン姉様とお茶を飲みながら待っていると30分も送れて姉が来ました。




遅い!!




************************



※1 カツオ武士


カツオ節の事。

この世界にも日本に近い国がある。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る