第3話 怪物との遭遇

「…どこだよ」

全員同じ反応とはな。拍子抜けしたわ、なんか。最初は俺だけが戦々恐々としてたのかと思ったが。

「やあ鷹の亜人。僕が誰か分かる?」

「あぁ、リーダーか…」

「何で皆一発で分かるんだよ!」

いや、あんたの声高いし、割と特徴的だもん…。

「あー…理由は伏せとくわ。…で、ここどこなん?」

適切すぎる判断。恐らくリーダーは自分の声の高さに気づいてないしなぁ。

「それが分からないんだ。今ここにいる皆で話してみた結果、恐らく僕らが創り出した、あの小説の中なんじゃないかと思ってる」

…俺はそんなに頭が良い方ではない。だからこの状況でも何故か意外と落ち着いている。

「とりあえず、ここら一帯を散策してみましょ。なんか見つかるかもしれないs」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあっ!!!」

「ぎゃあああああああああっ!!!」

この叫び声…シスターか!?びっくりしてこっちまで叫んじまったじゃないか!

「あ、足元に…何か…」

…スライム?

「やけにイカついね。シスターの叫び声にすぐ反応して距離を取るあたり、警戒心も高そうだ」

ここに来て冷静な分析をするリーダー。てか、スライムって言ったら、なんかこう、ドラ○エとか転○ラとかにいるようなスライムをほとんどの人が想像するだろ。でも、ここのスライムは…。

「めちゃくちゃ強そう…」

なんだろう…見た目だけは普通にRPGの中ボスにいそうなんだけど、「スライム」ってだけで雑魚キャラ感が増す。

「てか、どうしよう…。スキルとか能力の発動手段が分からない…!」

おいリーダー、さっきの分析で「僕闘えるよ」アピールを散々したのにそれはないだろ…。

右腕振れば、助け来るかな…。

「グァァァァッ!」

もう鳴き声が四足歩行の動物とかそこら辺の類なんだけど!絶対こいつスライムじゃないって!


「よいしょ…っと」

目を開けた瞬間、死神がスライムを切り刻んでいるのが見えた。

「これでいいかな…」

「あの…えっ?」

状況が全く理解できない。今の間に何があった?

「あー、普通に死神の鎌取り出して切った。そんだけよ」

「「「いやいやいや」」」

全員で「それは普通ではない」と思い切り否定する。

「どうやって出したの!?」

「え?…いやー、なんか適当にやったら出た」

そんなソシャゲで言う「特に狙ってないのにレアキャラ当たった」みたいな感じで言われても…。

「あ、お帰り兄貴」

死神は何故か吸血鬼の事を「兄貴」と呼ぶ。理由は知らんが、仲がいいならそれでいいのだろう。俺らが口を出すのも野暮ってもんだ。

「ああ。…あ、リーダーよ。付喪神幼女の言う通り周りを探索してみたら…」

「え…。自由過ぎる…」

リーダーが口を零す。

「あったぞ、街が。向こうにな」

…あれ、リーダーがリーダーしてないな。

「…集合!じゃあ、吸血鬼の言った方角に向かって歩いて行こう。決して離れないように」

遠足か?

「まるで遠足みたいですね…」

シスターと思考が同じだった。ちょっと嬉しい。

てか、スライム一体にここまで動揺するメンバーで本当に大丈夫なのか…?

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