第2話 平原にて

「…リーダー寝たか。他の人も数人寝てるし、俺も寝るか…」

「はーい、お疲れ付喪神幼女」

呼び名が癪すぎる。まあいいけどさ。

「お前ら、あんまし夜更かしすんなよ?明日平日だし」

「うわぁぁぁっ!!!」

いや、どうした…。

「そうだ、明日は平日じゃないか…いや、今日か」

日付変わってんのかよ。吸血鬼と旅人が発狂している。そんなに学校嫌いなのかあいつら。

「…まあ、頑張れ…」

そう言って接続を切る。そしてついでにパソコンの電源も切る。

(…何で小説の中の俺は、性別が違うんだろう。俺が無意識に「なりたい」と思っているから…?だとしたら、皆のキャラ設定も…。)

「…まあ、細かい事は気にしなくてもいいか」

スマホをつける。いつも通り、耳かきASMRを聴いて眠る。大体完走できない。

耳が尊死する…。意識が…。


「…ここ、何処だ?」

目が覚めたら、見知らぬ空間に…。って、ここもしかして…?

「異世界っ!?」

開口一番に誰かがここにいる全員の気持ちを代弁する。…ん?ここにいる”全員”?

「…あれ、僕の書いたキャラが何でここに…?」

この声は…誰だ?…姿かたち的に、恐らく死神さんだろうが…。

(え、皆背高くね?)

何ここ、巨人の集まり?

「あれ、もしかしなくても、君って付喪神幼女?」

この声は…情報屋か。

「まあ…はい」

曖昧な返事しか出来な…。

「んん?」

ここで一つの違和感に気付いた。声が明らかに幼くなっている。

「え…俺、本物の幼女になったの…???」

思考が理解を拒む。いや異世界だからなんでもありなんだろうけど、これは流石に…。

「…ちょっ、皆一旦集合!誰が誰!?」

これは恐らくリーダーの声だろう。聞きなれた高い声だ。

「行こっ」

「え?って、うわっ…」

やばい、元々貧弱だったのに幼女化した為か全く力が入らない。ありがとう情報屋。でも急に引っ張るのやめろ。


「…えっと、とりあえず自己紹介してもらえるかな」

現在、十人程度集まっているようだ。…ん?十人?

「人数が足りない…?」

「確かに。別の所にいるのか、それとも転生してないかだろうね」

「気長に待つか…」

静寂が訪れる。

(何だこの気まず過ぎる空間…!)

恐らく全員こう思っているだろう。その空気をぶち破るかのように、また誰かが転生しに来た。この人は…。

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