第6話 女神の苦難

魔王軍を退け、ミルフィの町の平和に大きく貢献したアクス一行。彼らの前に新たな問題が立ちふさがっていた。

「どうしよう…お金が無い…」

冒険者ギルドの食堂にて、サリアが机の上でため息をつきながら財布の中を覗く。

仕事で得た報酬は四等分し、それぞれ同じ金額を渡している。そのため、食事代などはそれぞれで頼んだ物だけお金を払う事にしているのだが、アクスとリーナは食べる量が尋常ではなく、その日に得たお金などすぐに使い果たしてしまう。

リーナはともかく、アクスはお金の管理が下手なために、サリアに何回も借金をしている。

そんな事があるため、アクスにはお金を貸さなくし、食事の量を減らすように言った。

すると別の問題が起きた。アクスの仕事中の動きが、明らかに悪くなったのだ。問い詰めると。

「腹が減って力が出ねぇ…」

などと言う始末。今はリーナに助けてもらっているが、戦力が大幅に下がるのは痛い。

食事を減らせばアクスがまともに動けなくなり、食事を増やせばお金が無くなる。さらに宿への宿泊費も馬鹿にならない、一日一人でニ千ライラ。お金の節約のために、アクスとサリアは一部屋で一緒に寝ているが、それでも所詮しょせんは僅かな節約にしかならない。そんな現状に、サリアは頭を悩ませていた。

目の前で僅かな量の食事を終えたアクスが、サリアに向き直った。

「俺これ以上食事の量が減ったら餓死するぞ」

食事の量が少なく元気を失ったのか、アクスは随分と細々した声で話しかけた。

「狩りとか出来ないのか?」

「無理よ、狩りをするには狩猟免許取らなきゃ」

「じゃあ取ればいいだろ」

「講習会を受けるのに十万ライラ。試験を受けるのに一万ライラ。免許を発行するのに三千ライラ、払えると思う?」

アクスが静かに涙を流した。

「食事減らした方がいいですか…?」

体を震わせ心の底からいやそうに、弱々しい声で顔でサリアの返事を伺う。

「ちょっと泣かないでよ!安心しなさい、これ以上は食事の量は減らさないから」

アクスの顔が明るくなりほっと息を吐いた。

「となると宿泊費よね、いっそのこと自分たちの拠点を持てたらいいのに」

冗談混じりに一言呟く。

「作ればいいんじゃねぇの?」

「...冗談で言ったんだけど?」

「でもよ、サリアは女神なんだし、ぱっと作れねぇのか?」

聞くと馬鹿げた話だが、サリアに真剣な様子で考え込んだ。

「…出来ない事もないけど、勘が鋭いリーナには気づかれちゃいそうよね」

「誰に気づかれるって?」

いつの間にかリーナが二人の側に立っていた。その後ろにはヘルガンの姿もあった。

「べっ...別になにも?」

「そうかしら...まあいいわ、それよりなんの話をしていたの?」

「サリアが拠点欲しいって言ってるんだ」

話を聞き、確かにと言わんばかりにうなづいた。

「確かに拠点があればいろいろと便利だものね」

拠点の所有についてはリーナも賛成のようだ。

「...それでしたら、ちょうどいい家がありますよ」

ヘルガンが口を開き、ある家について話し始めた。


町から東に少し離れた場所にある一軒家。なんとこの辺一帯はヘルガンの私有地だそうだ。

辺りは広大な草原で、すぐ近くには狩りが出来そうな小さめの森がある。

木造で出来た家は丈夫な木材で造られているも、雨や風によって随分と傷んでいる。

庭も荒れ、窓や屋根等も壊れていた。

「へぇー…ぼろぼろだけど中々良い家ね。でもなんで、手入れしてないの?」

家はぼろぼろだが、綺麗にすれば一人暮らしにしては大きいが、立派な家だろう。

これだけ広大な土地が有り余っているのだ、なにかに有効活用も出来るだろうに。

「その…まぁ…いろいろありましてね」

言葉をにごし、その場を誤魔化ごまかす。言いたくない事でもあるのだろう、二人は何かを察して黙っていた。

「なんだよ、なにか隠してんのか?」

空気を読まないアクスだけは違うが。

「ちょっとアクス、こっちに来なさい」

その場からアクスを連れ出し、離れた所でひそひそと話し始めた。

「あのねぇ…少しは空気を読みなさいよ。ヘルガンにも言いたくないことの一つや二つあるのよ」

「サリア…空気は読むものじゃなくて吸うものだぞ」

本人は至って真面目な様子なのだが、馬鹿げた事を言うアクス。

怒りの余りサリアの身が静かに震える。

右腕を振り上げ、アクスのほおに平手打ちを仕掛ける。しかし、ほおに当たる寸前に腕を掴み取られた。

「甘いなサリア、その攻撃は既に見切って…」

「ぷすり」

油断したアクスの両目に、左の手の指が軽く突き刺さる。

「眼がぁぁぁぁ!!」

眼を押さえながら地面に転がるその姿は、先日の魔王軍と渡り合ったアクスとは思えなかった。

「まだまだ甘いわよ」

二人の状況は、アクスの悲鳴を通して離れていた二人にも容易に想像できた。

「うわぁ…」

「なにやってんだか…」

呆れながら、二人は一足先に家の中を隅々すみずみと調べようとした。

家の中に入ろうと扉を開けようとすると、脆くなった木製の扉は割れてしまい壊れてしまった。

扉の向こうを見ると、割れた窓ガラスや外から入った土砂で地面が覆い尽くされていた。

「こりゃだめね、住むとしても修繕費がかかりすぎるわ」

「よし…そういうことなら私に任せて」

いつの間にか戻ってきたサリア達が二人の背後に立っていた。

サリアが家に触れ、緑の魔法陣をえがき魔法を唱え始めた。

「『パラージュ』」

回復魔法の上位にあたる『パラージュ』を唱えると、ぼろぼろだった家が綺麗な状態へと戻っていく。

壊れた物だけではなく、汚れた物も綺麗さっぱり元通りになった。

本来は生物のみに適応される回復魔法だが、癒しの女神であるサリアの手にかかれば、生物でなくてもその効果を受ける事ができる。

目の前の光景に三人は目を丸くしていた。

気がつくと家は完全に修復され元の綺麗な状態に戻っていた。

「はぁ…はぁ…」

魔力を使い過ぎて疲れたのか、サリアはその場で崩れる様に座りこんだ。

「サリア!大丈夫か?」

慌ててサリアの元へ駆け寄り、飲み水を差し出す。

「うん大丈夫...ちょっと疲れただけだから...」

差し出された水を飲みながらも、苦しそうにあえいでいる。

「...すごいですねこれ...一体何をしたんですか?」

「...回復魔法の応用よ傷を塞ぐように、ぼろぼろになった木材を元の形に戻しただけ...」

「…この技術、どこで学んだの…?」

リーナがまじまじとサリアを見つめる。

「そんなことどうだっていいじゃねぇか、おかげで家も綺麗ななったんだし今は休ませてやってくれ」

「…それもそうね。疲れているのにごめんねサリア」

納得したかのように見えたが、歯切れの悪い様子で家の中に入っていく。

二人が家の中に入っていくのを確認し、耳元で静かに話しかける。

「おいサリア、さすがにまずいんじゃないかこんなすごい魔法使ったら」

「それはそうだけど…こうした方が手っ取り早いし」

「まぁ…サリアがいいならいいんだけどな。俺たちも中に入ってみるか、立てるか?」

手を差し出すも、疲弊ひへいしきったサリアは立ち上がることも出来ず、助けを求めた。

「...ごめん疲れたからおぶって...」

優しく背中に担ぎ上げると、中に入った二人を追い、家の中に入った。

中に入ったアクスは辺りを見回した。

家の中は損傷そんしょうはすっかりと消え去り、残っていたのは土砂どしゃ等だけであった。

「あっ!二人とも来たんですね。すごいですよ!ほとんど新築みたいになっていますよ!」

ヘルガンが、興奮した様子で家の中をじっくりと見回す。

「そうだな、それよりいいのか?俺達もこの家に住んじまって」

「構いませんよ、あなた達は仲間であり命の恩人でもあるんですから」

二人が玄関で話をしていると、二階からリーナが降りてきた。

「二階も他と似たような感じだったわ、こりゃ念入りに掃除しないとだめそうね」

この家を間取りを見たところ、一階には玄関からリビングがあり、台所に風呂にトイレまで完備されている。個室として使えそうな部屋もいくつかある。

二階は一階よりも部屋が少ないが、部屋の広さは変わらないので皆平等に過ごせそうだ。

「それじゃあ早速掃除するとして...サリアは動けるか?」

背中で休んでいるサリアは、先程よりは汗が引き、顔色も良くなっていたが。

「ん~...ごめんむり~」

「無理もないわよ、あれだけの魔力を急に使ったんだから仕方ないわ、あんたは休んでなさい」

アクスは一階の広間に寝袋を敷きサリアを寝かせた。

「さて...さっさと終わらせるわよ。アクスは上、私は下、ヘルガンは…自由にしてていいわよ」

ヘルガンが思わず聞き返す。

「えっ…二人だけで掃除するんですか?」

「当たり前よ、あんたじゃ私達の動きについてこれないでしょ」

掃除をするだけだと言うのに随分とおかしなことを言っている。

「…掃除ですよね…?」

「そりゃそうだろ」

「もっともアクスも私の速さについてこれるかは微妙だけどね」

喧嘩を売るような口調で、小馬鹿にした笑みでアクスをあざ笑う。

「おもしれぇ!この間の勝負の決着をこれで決めるとするか!」

挑発されてもなお、笑顔で勝負を受けるアクス。馬鹿にされていることを気にしてないのか気づいていないのか、だがこれがアクスのいいところである。

二人は掃除道具を手に取り、いつでも動けるように姿勢を構えた。

「よし早速やるか!ヘルガン、合図を頼む」

「...え~...それでは、始め」

気の抜けた掛け声と共に二人が動き始めた。

戦闘時と変わりない速さでかつ丁寧に部屋を片付け始めた。

次々と溜まっていくゴミや土砂がパンパンに詰まった袋。ヘルガンは、ただ目の前で起こる出来事を呆然ぼうぜんと眺める事しか出来なかった。

そして掃除開始からわずか数分がたったところでリーナの掃除が終わった。余裕の笑みを浮かべながら胸を張る。

その後にわすが数秒ほどの差でアクスが掃除を終わらせてきた。

「え~と...勝者リーナさん」

「ふふっ...ハンデとして部屋数の少ない二階をやらせてあげたのに負けるなんてまだまだね」

やれやれと首を振り、相変わらず小馬鹿にした口調で語るリーナ。

「言ってくれるじゃねぇか。じゃあ今度はどっちが今日の晩飯を調達できるな勝負だ!」

「動物でも狩るつもり?馬鹿ね、狩猟免許も持っていないあんたが狩りが出来るとでも?」

そう言ったリーナは、懐から自分の狩猟免許証を出してみせた。

「食べ物ってのは何も動物だけじゃねえさ、森の虫や植物なんかも食べられるんだぜ」

リーナの言葉に得意げに返した。

「面白い!そこまで言うなら勝負してあげるわ!」

熱中する二人を収めようとするも、二人は聞く耳を持たない。

静止するよう腕を伸ばすも、既に二人は遥か遠くへと姿を消した。

「まぁ…いいか…でも虫はやだなぁ…」

二人が居なくなった家でぼそりとつぶやいた。

ヘルガンは家の中を改めて見て回る事にした。

どの部屋も綺麗に片付けられており、あの速さでこれだけ丁寧に掃除するとは大したものだ。

すると部屋の床の一部に違和感を覚えた。一階の個室だった。

床を調べると一部分だけが空洞になっている。

意を決して床を剥がした、するとそこには梯子はしごがかかっており、地下室への入口らしき扉が見えていた。

息を飲み、恐る恐る梯子はしごを降り地下の扉を開けた。

扉の奥には、多種多様の本や薬品等などが置かれていた。破れて読めない本や砕けた宝石など異様なものばかりであった。

ヘルガンは慣れた様子で、地下室を探索した。

「もしかして...ここは」

その時何かが落ちる音がした、ヘルガンはその音にびびり腰を抜かしてしまった。

立ち上がったヘルガンは何かと思い物音のする方へ向かった、ホコリにまみれた赤い本であった。

ヘルガンは本を拾い上げ、ホコリを手で払った。

本の表紙はかすれて読みづらかった。

「え~と…か…くる?」

「きゅ~…」

ヘルガンの声に反応し、何かの声が聞こえた。

「…誰かいるんですか?」

声をかけてみる。

「…きゅっ!…きゅっ!」

反応が返ってきた。声の正体を確かめるため、物音がした辺りを調べるが何もない。

「誰かいるんですか!?」

改めて声を掛け、反応から場所を探る。

「きゅっ!!きゅっ!!」

反応は、ヘルガンの持つ本から聞こえてきた。

「…もしかしてこの本の中に…!?」

気づいたヘルガンは本を開いてみた。すると本の一ページが光り出し、ヘルガンの体をおおった。

余りのまぶしさに目をつぶる。しばらくすると光が収まってきたようで、徐々に光が消えていくのが目をつぶっていてもなんとなくでわかった。

ヘルガンがゆっくりと目を開ける。

「きゅいきゅい!」

そこには謎の生き物が四本脚で床に座っていた。

謎の生き物は銀色の美しい毛並みを持ち、きらびやかな宝石のような赤い瞳を輝かせている。

その生物はヘルガンを見るなり、すがるように足元にすり寄ってきた。

か弱い声で鳴く生物にヘルガンの心は奪われ、その生物を持ち上げた。

頭を撫でると嬉しそうに鳴き、顔を優しくこすりつけてくる。

「どうしよう…なつかれちゃった」

すっかりと懐かれてしまい、困った様子のヘルガン。このまま放置する訳にもいかず、頭を抱え考え込む。

「とりあえず上へ行こうか…名前はえっと…ラックルでどうかな?」

「きゅい!」

嬉しそうに鳴いている、名前が気に入ったようだ。

「ただいま~帰ったわよ」

玄関からリーナの声が聞こえてきた。

慌ててラックルを脇に抱え、地下室から出て、玄関の方へと向かった。

玄関には、大きな鹿を持ち帰ったリーナと大量の植物や虫を持ったアクスが立っていた。

「二人とも早かったですね」

「まぁね、今回も私の勝ちよ」

アクスは顔を地面に向け、分かりやすく落ち込んでいた。

「アクスったら動物を狩っちゃいけないって分かってるくせに、熊を見た途端追いかけちゃってね、あれは可笑おかしくて笑えたわ。」

話の途中で笑いを我慢できず、リーナは吹き出す。

アクスが鋭い目つきでリーナを睨みつけながら、言い返す事も出来ず歯ぎしりをする。

「ぐぐぐっ…」

「ところであんたが抱えているそいつは何?」

視線を変え、ヘルガンの抱えるものに興味を向けた。

「ああ…まあいろいろありまして、後で話しますよ。その前に他の事を終わらせてしまいましょう。」

三人はそれぞれ、家に住めるよう家具などを買いに街へ行ったり、周辺の掃除などを終わらせた。気がつくと日が落ち、空には星が輝いていた。


家の中はまだ最低限の家具しかなく寂しいが、住む分には問題なく暮らせるようになった。

サリアの調子も良くなり、四人はテーブルで今日獲ってきた猪と鹿の肉をメインとした食事を取っていた。

久しぶりの大量の食事に、アクスが大喜びでありつく。

一方でサリアは、体調は良くなった筈なのに妙に機嫌が悪かった。

「どうした?まだ体調が悪いのか?」

「…晩御飯が虫だったら誰でも具合悪くなるわよ…」

机の上に並べられた、焼いただけのおぞましい姿の虫を見て、機嫌を悪くする。

リーナはそれを平然と食べている。

「…!中々いけるわね。でもこれ焼きすぎよ、もっと早めに火からあげなさい」

二人が虫を食べるところを見て、ヘルガンも食事の手が止まる。

「よく食べれますね…」

「昔に山奥でサバイバルしてたからね。それよりもそいつは何?」

ヘルガンが抱えている、ラックルと名付けられた生物を指さしリーナが尋ねた。

「僕もこの子がどういう生き物なのかはわからないんですけど、この家の地下に居たのを拾ったんです」

皆が興味深く見つめながら、サリアが口を開く。

「もしかしてその子…じゃない?」

「カーバンクル?なんですかそれ?」

みなの視線がサリアに集まる。

「カーバンクルは自分のあるじに幸福をもたらす幻の生き物とされていて、宝石のような瞳が特徴なのよ」

「へぇ…幸福かぁ。じゃあ一刻も早く親の形見を取り戻せるように!」

迷信じみたものだが僅かな希望にかけ、ラックルを空に高く掲げ、願いをのせた。

先程から飯を食べていたアクスが、不意にラックルに目を向けた。

「なぁ、俺にもちょっと見せてくれ」

「いいですよ」

優しく抱きかかえ、ゆっくりとアクスの膝上に乗せる。

落ちないように腕で支えながら、ラックルの体を隅々まで触る。

「なぁ、こいつ食ったらうまいんじゃないか?」

サリアとヘルガンは思わず吹き出した。

リーナだけは、黙々もくもくと食事を取っていた。

命の危険を感じたのか、もしくは人間の言葉がわかるのか、ラックルは腕の中で暴れだした。

「食べるなんてとんでもないですよ!何言ってるんですかアクスさん!」

慌ててヘルガンがラックルを取り戻した。

きょとんとした顔で悪びれもせずアクスは言った。 

「獲った動物はみんな食べるのが礼儀だろ?」

山で暮らしてきたアクスにとっては普通の事であり、本人は一切悪気はないのだろう。

「ア・ク・ス?」

ゆったりとした言葉で、サリアが背後から話しかける。

首を掴みアクスを引っ張り上げ、床に落とし、鬼の様な顔でアクスを見下ろす。

「あなたには、倫理観りんりかんというものがないらしいわね。今から一晩中ひとばんじゅうみっちりと教えてあげる」

サリアに怯えながらも、アクスは咄嗟にその場を誤魔化そうとする。

「いや〜…サリアも今日は疲れているだろうし、ゆっくり休んだ方が…」

「昼間休ませてくれたおかげで、元気が有り余っているから大丈夫よ。さぁ、私の部屋に行きましょうか…」

不気味な笑みを浮かべたサリアは悪魔のようであった。

床に座り込んでいるアクスの腕を掴み、二階の自分の部屋へと引きずっていった。

アクスは必死に手足を動かし抵抗するも、あっという間に部屋に連れて行かれた。

リビングに残った二人は気まずい雰囲気の中、ヘルガンが一つ尋ねた。

「あの…リーナさんはよく平気でご飯食べていますね」

「あいつがヤバいやつなのは知ってるからね、でもそのうち良くなるでしょ」

「そうですかね…」

その晩の食事はそこでお開きとなった。

次の日の朝。目の下にクマができたアクスが、床がめり込むほどヘルガンに土下座して謝ったそうな。

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