リヴァイアサン・クラーケンの起源について

 世界中の中層部周辺で確認されたリヴァイアサンとクラーケン。

 リヴァイアサンはクジラ、クラーケンはダイオウイカなどの巨大生物と混同されることが多いが、生物学的にはそれらとリヴァイアサンとクラーケンは、全く別の生物であると考えられている。

 本項目ではリヴァイアサンとクラーケンが、クジラやダイオウイカとどこが違うのかという点を挙げていく。


リヴァイアサンについて

 リヴァイアサンは顎の左右側面に、海水の排出口が存在する。種によるが大抵左右に合計3対の排出口を持っていることが多い。

 この排出口はエラに直結しており、急所となるエラを護るため、甲殻で覆う必要があったが、最低限の排出経路を確保するための排出口だと考えられている。

 リヴァイアサンは板皮類の一種であり、代表的な近縁の生物として、ダンクルオステウスが挙げられる。この板皮類に分類される外見的な特徴として、下記2つの特徴が挙げられる。

 まず1つ目の『甲殻が頭部へ近付くにつれて分厚く硬くなる』という特徴。これは甲殻が頭部から形成され、地層のように積み重なり厚く硬くなっている証拠である。板皮類は頭部から肩部にかけて骨板によって覆われており、これがリヴァイアサンの特徴とも共通している点が根拠となっている。

 そして2つ目に『リヴァイアサンは歯を持たない』という特徴がある。

 歯に似た部位は確かに見られるが、厳密には歯ではなく顎骨が発達して突出した部位である。これは生きているリヴァイアサンの頭部を見ても判りづらいが、頭骨を見ればすぐに判別できる。

 咬合力は50mクラスの大きな個体の場合、優に100tを超えるという計算が出ているが、それほどの咬合力に耐えられる素材で構成された測定機は現状存在しないので、これは推定値の域を出ない。


リヴァイアサンの食性

 異常性を有する命名個体は、食性そのものに異常性を有している場合がある。よって、本項目は通常種に限った食性について言及していることに留意してほしい。

 リヴァイアサンは主に肉食であり、捕食の対象は動植物プランクトンからシャチやクジラのように巨大な生物にまで及ぶ。

 好戦的な種類になると、同種のリヴァイアサンや天敵であるクラーケンにすら捕食対象にする場合もある。

 飢餓状態に入っているリヴァイアサンはとても危険で、普段は見向きもしない小魚すら捕食しようとする場合もあるため、人間が捕食される可能性も0ではない。

 ちなみにごく一部ではあるが、海藻類やサンゴを摂取する種も存在する。ただしこれらの種は、リヴァイアサン種にしては極めて小型で、大型になっても1.5m程度がせいぜいと言ったところ。


クラーケンについて

 元来クラーケンとは『海の怪物』を指した言葉であった。そのため水棲の巨大生物は大体がクラーケンであるとも言えた。

 しかし現在のクラーケンは、タコ・イカと同じ「頭足類」というカテゴリーに分類されている。理由は圧倒的に頭足類と近しい特徴を持つが、タコ・イカとは異なる生物が多い点が理由となっている。その他のクラーケンとして過去に分類されていた生物達は、再分類され別の生物種カテゴリーに入れられた。

 タコやイカと決定的に違う点は2つ。

 1つ目は人間の顔と同じように、目のすぐ下に上下運動が可能な口が存在すること。2つ目は大小不揃いの触手が無数に発生すること。

 クラーケンの口は漏斗と呼ばれる排泄器官が、排泄と捕食用を兼ねた器官に変化したものというのが通説だが、漏斗をそのままに口の位置が変化したと考えられるグループも一定数存在する。

 また、歯もまた大きく分けて2つのタイプに分かれる。歯舌と呼ばれる部位を、口腔内の左右壁(あるいは上下壁)に持つタイプ。そしてもう1つは人間と同じ構造の歯を持ち、下顎が可動するタイプである。

 命名個体を除いて、クラーケン種には肉食種しか確認されていない点も特徴で、生態系への壊滅的な破壊をもたらす場合もある。


クラーケンの食性

 クラーケンの食性はいたってシンプルで「視界内で動くもの」である。相手がどれだけ大きくとも、とりあえず接近して口に入れようとしてみる。口に入らないなら諦める、入りそうなら入れる。この2つだけで、自分が逆に食べられてしまうことなどは考えていない。

 口に入れた物によっては、上手く噛むことも吐き出すこともできず窒息してしまい、死に至ってしまう場合が確認されている。

 雑食性が高い理由は、クラーケンの成長速度にある。

 異常な成長速度を実現しなければならないが、それを実現するにはイカやタコなど普通の頭足類の食事量では、クラーケンの成長速度を達成できない。さらにそれを実現させるには、高い雑食性を獲得する他なかった為、何にでも反応し口に入れるよう生態が変化していったと考えられている。

 実例として腹の中に捕食した生物がいるにもかかわらず、3~4日の間必要なカロリーを満たすことができていなかったのが原因で、消化吸収が間に合わず餓死した例も存在する。

 これを実現しているクラーケン種は、あらゆる海洋生物の中でも群を抜いて強力な消化器官を持つ。

 一般的な人間の場合、食物を摂取してから排泄までにかかる時間が24~72時間ほど。対してクラーケン種は4~7時間という生物でもなかなか実現できない速度で排泄まで行う。

 排泄を行うとは言っても、それはおよそ半年に1度あるかないかの頻度である。消化吸収率に関しては、人の場合は80~90%なのに対して、クラーケン種は総じて93.7~99.9%という凄まじい吸収率を見せる。最長で約4年もの間、排泄行為が確認されなかった個体も存在する。

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