第五章 いじめの事実を正式に認定

 生徒に対する聴取は複数回行われる。

 証言は必ずウラを取る。

 いじめのきっかけ、推移を時系列にまとめる。

 被害者、加害者、目撃者の証言を突き合わせて、いじめ行為の事実を報告書にまとめていく。

 左側に被害者の証言、右側に加害者、目撃者の証言といった形式になるであろう。

 然るべき基準に則って、いじめの事実を正式に認定する。

 いじめかどうかを決めるのは、加害者ではない。

 加害者の動機、パーソナリティ、家庭状況、その他の要因を分析してまとめる。


 報告書は二種類必要となる。

 証言者の実名入りと、名前を伏せたものだ。

 後に、加害者及び保護者に見せるのは、名前を伏せたものとなる。


 この時点で、職員室及び教室にてアナウンスを行う。

 協力への感謝の言葉を述べて、いじめの事実を正式に認定した旨を伝える。

 今後の手続きについても説明する。


 加害者に対しても個別に面談し、状況を説明する。彼らが応じれば、反省文を書いてもらう。保護者に通知して、面談の予定を立てる。


 聴取の途中であっても、必要と判断すれば、警察への通報や、その他の措置をためらう理由はない。

 調査チームは状況に応じて、臨機応変に対応することが求められる。


 先にも書いたが、いじめ対応では、まず事実関係の有無がハードルとなる。

 然るべき権限を持った対処チームが、詳細な調査を行ったうえで、いじめの事実を正式に認定することで、その後の対処が可能となるのである。

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