第三部 プロトコル発動

第一章 予備調査

 実際に学校に乗り込む前に、予備調査として、被害者やその家族、教師らと接触して、概要を把握しておく必要がある。校外でのいじめ行為に関しては、調査及び情報収集も行われる。目視による監視、写真および動画、ドローンによる撮影などなど、可能な限り客観的証拠を収集しておくことが望ましい。


(目の前でいじめ行為を黙認することには是非があるだろう)


 証拠のない状態で加害者に聴取を行うのは、極力避けるべきである。自白強要や冤罪を生む原因となる。


(『答えのわからない質問はするな』)


 教師と被害者の協力により、人物相関図を作成する。

 加害者を正式に認定する。範囲は問題となるであろう。

 被害者、加害者およびその他の生徒の個人記録、彼らの家庭環境や納税記録、教師と学校の状況、地域の治安状況などなど、必要な情報は、学校に乗り込む前に全て揃えておく。特に加害者に関する情報は多ければ多い程、その後の調査と聴取がやりやすくなる。


(個人情報の取得もルール化を)


 対処チームは、空き教室の提供を受け、活動拠点を設ける。

 ノートPC、コピー機、コピー用紙、資料、ホワイトボード、文房具、麦茶、お菓子などなどを搬入し、聴取の準備を行う。

 ホワイトボード上に、人物相関図を作成する。その他、メモ、付箋を付け加える。情報を集約して管理する。


 管轄の警察署にも挨拶をしておく。最悪の場合、彼らに対応を任せることになるかもしれない。

 その他関係機関とも連携を確認しておく。


 都道府県知事による辞令交付の後に、学校での調査が正式に開始されることになる。


(宿舎はどうする?)

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