第二章 処罰の困難

 運良く、いじめの実態を把握出来たとして、学校や教員は、どのように対処すればいいのであろうか。

 昔だったら、教員が二三発引っ叩いて済んだかもしれない。

 しかし、今校内でそれをやったら、下手すりゃ懲戒免職にだってなりかねない。


(決して体罰を肯定している訳ではありません)


 いじめの事実を認定したとしても、加害者をどのように処罰すればいいのか、そもそも処罰自体が可能なのか、そうしたガイドラインや規則など、恐らく、何一つとして存在していない。


(少なくとも筆者は聞いたことがない)


 そして、教員が生徒を処罰するには、そうしたことが許される権限も必要であろう。

 しかし、今の教員が出来ることと言えば、口頭で注意するくらいのものである。

 この状態で、集団での暴行や恐喝といった事態に対処するのは、自ずと限界がある。


 それに教員は、卒業するまで生徒と向き合わなくてはいけない。

 そこで加害生徒に対して、あまり過激な対応を取ると、その後の指導にも支障をきたす恐れがある。

 よって、処罰に関しても、教員はコミットしない方が、本来は無難なのだ。彼らはあくまで、中立の立場にいることが望ましい。


 処罰の内容も問題だ。

 加害生徒と雖も、人権侵害は厳に慎むべきである。

 会社なら懲戒免職とか、減給といったことも考えられるが、学校でどういった処罰をすればいいのか、何をすれば効果的なのか、考える必要がある。


 いじめ行為を禁止し、発覚した場合には処罰する。そのためにまず、処罰の基準とその内容を、あらかじめ設定しておかなくてはならない。そして、生徒に対する処罰を可能とするためには、法的に裏付けられた権限も必要となるであろう。

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