第4話

第3王子と私の婚約は物心ついた頃。

当時、宰相であるうちのパパが、私を1人でおうちにおいておけないと、毎日の様に私を連れて登城と言う名の出勤をしていた。過保護なのよ、うちのパパは。

白薔薇伯爵である、お母様は白薔薇領にいて、ここ王都にはパパと数人の側使えのみ。

邸宅に私と使用人を残すより、少しでも自分の近くに置いておきたかったみたい。

で、母の親友である第1王妃さまのご厚意で、その息子で同い年の第3王子と一緒にいる時間が多くなった。

たまに同じ年(家庭の事情よ)の第4王子も一緒に授業を受けたり遊んだり。

第1王妃様の息子は、第1&第3王子。

第2王妃様の息子は、第2&第4王子。

ちなみに王国の者は、みんなちゃんと一人一人名前がある。けれど貴族社会では親しい人にしか本名を知らせない。古くからの慣例で、なんでも魔術や呪術に使われやすいからとか。

だからみんな身分や役職で呼び合うのだ。

私の名前も両親と、私しか知らない。

兄弟同士でも知らないんじゃないかな。

私は一人っ子なのでよくわからないけど。

で、第3王子と私が、かなり仲良しだったから、それなら結婚させましょう~ってトントン拍子に話が決まったらしい。


第3王子は、小さな頃はかなりぼーっとした子で、どんくさくて、王宮内を駆け回る私の後を『しろばらちゃん、しろばらちゃん』と泣きながらくっついてくるような子だった。

だから誕生日は彼の方が先だったけど、弟のように思ってた。

つい最近までは。

学園に入学する前位から、急に背が伸びて、声が低くなって口数も、減って。

入学したら、距離をおかれるようになった。

私は、ずっと可愛がってた弟が姉離れしたみたいで

ちょっと、…いやかなり淋しかったんだけどさ。

距離をおいてるのは私に対してだけで、他のクラスメートとは仲良くしてて…。

この王立学園は、その年の3/31までに15才になった、国中の貴族の子供達が通う事ができる学園で、社交界も兼ねているのだ。

で、新しい環境で新たな出会いとかあって婚約破棄したいのかなって思ったわけなんだけど…。


それがなんで今!こんな状況になってんの?

私の事を、見事にシカトしてた第3王子が今、私のささやかな胸をつついてる…。

真面目な顔で。

青みがかった黒い、ちょっとくせっ毛な髪に、大きめな金色の瞳。

鼻筋はすっと通っていて、うすい唇…美少年なのよ。

まだまだ成長途中なので、背だってもっと伸びそう。

細くしなやかな器用な長い指。

王子ってこともあり、女の子にきゃーきゃー言われている。一応婚約者いるんですけどね、ふん。

性格は真面目で温厚、誰にでもフレンドリーたで笑顔が素敵な爽やか君…で、スケベなの?!

私の制服のジャケットをするっと脱がせた。

なんでこんなに脱がすの上手なのよ。

器用に右手だけでボタンをはずしていく。人形のボタンなんて小さいよー?

上から順番に…、真面目だ。

あっという間に下まで外して、ブラウスもはぎとった。めくっていたスカートも脱がされて、下着姿。

今日のブラは?ちゃんと下と揃えてたっけ?

自分で確認できない。

どうだった?

侍女の紅がいつもちゃんと揃えてくれてるから大丈夫だとは思う。思うけど、私だからなー。ちょっと心配って思ってたら、目のはしに白いフリルのついたブラが見えた。良かった、ちゃんとお揃いだったわ。

って、ブラもはずされた!

ちょっと!!展開が早いんですけど!?

そしてあの細い指で人形の私の胸を触ってる!

真剣な顔で!

人差し指で下から上に持ち上げるようにしたかと思うと、親指と人差し指で揉むようにつまむ。

『乳首もあるってリアルだな』

いつもは口数少な目なのに、独り言?

って、乳首があるって?かっと顔に熱が集まる。

変な感じ、変な感じ!

乳首かな?指先で擦られてる。第3王子は感触を確かめるように執拗にいじってくる。最初は左の胸だけだったんだけど、今度は両方の胸の乳首をぐりぐりと親指の腹で。変な感じ。

人差し指で身体の側面をなでられて、足の裏がピンとなる。

どーするの?

と、第3王子の顔が近づいてきて

『白薔薇…』

キスされた。

触れるか触れないかの、キス。

そしたら、ぼんって!!

いつもの私に戻れた!

って、なんでこのタイミングーーー?!


私、パンツ一丁のほぼ全裸なんですけど?

第3王子にお姫様抱っこな形で。

長い髪の毛がぼわっと広がって、私のささやかな胸は隠せてるみたいだけど。

第3王子の、顔!!


ぽかんと口開けて、

それから真っ赤になって、

急激に真っ青になっていく。


とりあえず、服着せてよ!

道端でこの格好は…。

私はまた、感電したみたいに身体がしびれてて動かせない。口もきけない。

テレパシーで、通じないかな?

と、じっと第3王子を見つめる。

真っ青な第3王子は目をかって見開いて、

(通じた?)ぎゅってつぶって、

『みっ、見てない!俺は何も見てないからっ!』

て、…通じてねー…。

何年幼馴染みやってんのよー!

いいから、服着せろ、ばか!






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