第6話

結局の所、俺は午後の時間を適当に本を読んだりして過ごし、気が付けば夜になっていた。

恐らく夜ご飯の時間だろう。

俺はリビングの方に足を運ぶと、リビングの方には氷空と愛梨が楽しそうに料理をしているのが見えた。

いつもならそこで俺が夜ご飯を作るのだが......今日からもういいらしい。

氷空たちの楽しそうな表情を見ていると、俺は一人でご飯を作っている時、楽しいとは感じたことが無かった。むしろ、コンビニの弁当の方がいいのでは?と思っていた。

......なるほど、料理というのは楽しいものなのか。

その楽しい様子を見ていると、愛梨と目が合ってしまった。


「......?」


愛梨は不思議そうな表情を浮かべたものの、また料理の方へと入っていった。


ご飯が出来るまでもうしばらくかかるという事だったので、俺は何も考えなしに夕焼けに染まる外に出ることにした。

ほんとに何も考えてないので、ラフな服装で何も持たずに外出した。


「そういえば、ここってあんまり来たことないな」


そう言って来たのは、俺の家のすぐ近くにある小さい公園。

俺の家の近くに公園があるっていう事は知っていたが、こうして実際に来たことはあんまりない。もしかしたら、俺が小さい時に来たことがあるのかもしれない。

そんなことを考えつつその公園の中に入ると、小さいながらも遊具とかはしっかりあるようだ。

公園をぐるりと見渡してみると、ベンチに一人の少女が座っているのが見えた。

一見誰かなとはなったが、すぐにその少女の正体が分かった。


「――あれっ、君ってこんなところに来るんだねー」


ちょっとふざけたように言う少女。

半袖にスカート姿、なぜかそのスカートが異様に短いのは気のせいだろうか。スカートが短いせいでパンツまで見えそうになっている。

いや別にそんなのどうだっていいのだが......。


「なになに?こんな夕焼けの時に女の子を家に連れ込もうとしてたりー?」

「誰がするかそんなの。というか俺は、ロリコンじゃない」

「へーそうなんだ!一見、ロリコンだと思っちゃうよー」

「なんでだよ!」


どうして俺は、見た目だけでロリコンだと思われなくちゃいけないのか。


「でー?どうしてこんなところに来たの?」

「ああ。その、夜ご飯が出来るまで暇だから、適当に外に出ようかなと」


俺はその少女の隣に腰を下ろすことにした。


「ふーんそっか」

「それで......なんでお前が現実世界にいるんだよ」


そう、この少女の名前は咲茉。基本、夢でしか会えない少女だ。


「んー、なーんか、夢の世界も別にいいっちゃいいんだけど、やっぱり飽きるよね。だから気分転換に現実世界にいこーかなって」

「夢の世界でも飽きるってあんのかよ」


夢の世界って見たいことが見れるから飽きなくはないと思うのだが......。


「ねぇねぇ、一つ私のお願い聞いてもらってもいいー?」


ねだるようにして、俺の腕に抱き着いてくる咲茉。その笑顔とこの仕草がとてつもなく可愛いい。


「な、なんだよ......?」

「にへぇ、あのね、私を、綾乃君の家に泊めてもらおうかなーって思って」

「なんでだよ!お前には夢と言う家があるだろうが」


夢と言う家があるのに、どうしてわざわざ俺の家に来たがるのだろうか。


「えー、別にいいじゃーん!おねがーい!」

「............」


反応に困る。

こうして女の子にねだられるっていうのは、結構困るものなんだなと感じた。しかも、すんげー可愛いし。


「............はぁ、いいだろ。だけど、今夜だけだぞ?こんな泊まったら、明日には夢に帰れよ?」

「もっちろん!」


......なんか嫌な予感がしてきたよ。














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