第5話

「あれ、なんでここに......」

目を開けるとそこは教室だった。

周りを見ても俺意外誰もいなかった。

窓の方に目をやると、オレンジ色の空が広がっているだけだった。

なにかおかしいなと思いつつも家に帰るため、教室のドアに手をかけようとした。


「――あっ、綾乃君だー」

「えっ......?」


扉が開いたと思ったら見知らぬ少女がそこにいた。

この子は、今日の学校で見た子だ。


「えっ、き、君は?」

「あっ、そっか名乗ってなかったんだっけ。えーと、私は佐藤咲茉さとうえま。基本的には夢の中しか出てこないんだー」

「夢?ってことは、この世界は......」

「そう、ここは夢の中だよ。夢の中だったら好きな事出来るしさ」

「ああ......というか、現実世界でも会わなかったか?」

「現実世界?......あー!今日目が合った!」


なんだろ、この子は現実世界に来たことが無いのかもしれない。


「ま、まあ、たまには現実世界の方に行くけどさ......で、でも、基本的には夢でしか会えないから!」

「お、おう......ってか近いんだが」


なぜか咲茉は俺に詰め寄りそう言う。


「あははっ、どうかな?君が良ければ、ちょっとくらいイイコトしてあげてもいいんだけど......それとも、現実世界に帰る?」


イイコトとは......?なにか嫌な感じがするのだが。

少し迷った挙句。


「うーん......そのイイコトっていうのも気になるけど......でも、やっぱ現実世界に帰るわ」

「えー、なんで乗ってくれないのー!まあいいけどさぁ......」


なぜか少し残念そうにいう咲茉。その理由が分からん。


そしてあたりがまぶしくなったかと思えば、気が付けば自分の部屋にいた。


「はぁ、なんだったんだ......」


俺は自分の頭をきながら、一階へと降りる。

正直言えばやることが無くて暇。

今日は、いつもだったら午後まで学校にいるのだが、会議と言う事で昼前には学校を出たのだ。

そして昼食を家で食べ、現在時刻午後の一時ぐらい。

午後は何も予定が無いので、とりあえず一階に来たのだが......。


「あれ、愛梨、氷空は?」


リビングに行くと、一人ソファに座りテレビを見ている愛梨の姿があった。

そして、なぜか氷空の姿が無かった。

だからなんだっていう感じだが......なんだろう。

氷空に会って一日も経っていないのに、なぜか氷空のことを心配になっている俺がいる。


「氷空?あー、なんかどっかに出掛けたよ」


そう言ってソファに寝転がる愛梨。


「そっか、ありがと」

「んー......っていうか、なんで氷空の事を?」

「あ、いやなんでもない」

「......?」


ソファに寝転がりながら疑問の目を俺に向けてくる。

というか俺もよく分からない。















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