胡乱の死者

家達あん

プロローグ

終息

 暗く澄んだ空の下、ぽつんと佇む木造建築の中から奇怪な音が響いていた。やがてチャイムが鳴り、奇怪な音はかき消された。


 コツ、コツ、コツ……。


 湿気た空気を引き裂く様に靴音が響く。

 金属の擦れるような耳障りな音を立てて、外開きの扉のノブが回される。

 陽が落ちて、薄闇が辺りの空気を冷やす。

 風は吹いてはいない。

 なのに妙に重い扉。

 力を入れて押したにも関わらず、扉は一向に速度を上げない。

 一定の間隔で、ゆっくりと、ゆっくりと、開かれる扉。

 抵抗感の正体が扉の向こうにつかえていた。

 それを認めた男の、声にもならない間抜けな悲鳴が薄闇に吸い込まれる。

 冬の冷たい風がふわりと吹いた。


 そんな中、ひとりの少年の死体が見つかった。

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