第1章:名探偵と美少女と召使い

 


「まずい…どこだ、ここ…」



勢い余って駆け出したのはいいけど…本当どこだ、ここは。


着いた先はどこかの路地だった。

辺りには民家がちらほらと立っている。

どうやら住宅街に紛れ込んでしまったらしい。



「あーもう…この歳で迷子とか…情けねぇ…」



もはや立ち尽くすしかない。

良くあるんだよなあこういうの。

感情に身を任せて、身を滅ぼすというか。

まぁ後先考えないで突っ走るオレが悪いんだけど…。



「でもいくらなんでもアレはないだろ…」



…何が必ずやり遂げる、だよ。

二言はないとかカッコいいこと言っておいて、そもそも警察がダメだからアンタを頼りに来たっていうのに…その意味をあの探偵はまるで分かってない。


とはいえ…一人でぶつくさ文句を言っててもしょうがない。


とりあえず先ずは大通りに出て、元の場所に戻らないと。



「ーうわあ!?」


と、カドを曲がろうとした矢先のことだった。

オレは目の前にいる誰かとぶつかりそうになってしまう。



「す、すみませんッ!」



頭を下げて慌てて謝る。

すると、すぐさま聞き覚えのある声でこう話しかけられた。



「召使いさん…?」


「え…?」



思いがけない台詞だった。

オレをこんな風に呼ぶ人はあの胡散臭い探偵と、あの子しかいないはず…。

…まさかとは思い頭を上げてみると、紛れもなく見知った少女がそこにいた。




「ま…真理亜ちゃん…?」


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