第24話 ちなみに、練のステータスは愛斗より安定して強いです。(戦いでどちらが勝つかは別)

 町に戻ってから、愛斗と練は冒険者ギルドへと連れていかれて、愛斗はひとまず治療、練は冒険者登録をするためにマリーさんの元へと行き、色々と話した後にどこか、おそらくは愛斗も連れていかれた広場へと連れていかれた。


「……うん、ありがとうございました」


「いいのよ、無事に帰って来れて良かったわね。それにオーガも倒してくれたみたいだし、こちらこそありがたいわ」


「いえ、逃げられなかったので……。ところで、オーガ倒せたって事で昇級したりしますか?」


 治療してもらってから、実はずっと気になっていたことを聞くことにした。

 オーガ討伐にC級冒険者以上、という話を聞いていたことだし、そのオーガを倒したのなら、もしかしたら自分もC級に、と思っていたのだ。


「残念だけど、それは無理ね。確かに倒せた、という実績は出来たものの、倒し方、それにその後のことがあまりに危なすぎるから。このままC級に上げたら、すぐに死んじゃいそうだもの、もっと安全に倒せるようになったら、改めて、ってところかしらね」


「そうですか……。分かりました、頑張ります」


「あ、でもオーガの素材自体は君のモノになるから、後で運搬代、それと治療代を差し引いた分は渡しておくわね」


「あ、ありがとうございます!」


 昇級は出来なかったものの、ちょっとしたお金は手に入るという事で気を持ち直して、お礼を言った。


「さて、それじゃあレンちゃんがそのうち帰ってくるだろうし、宴会の準備をするわよ。さあさあ、皆さん、てきぱき動いて下さいね!」


「「「「おー!」」」」


 そして、練が広場に行っている間に、冒険者ギルド内を飾り付けたり食材を持ってきたりと、愛斗も含めて冒険者、職員ともに忙しなく動き始めるのだった。




 パパパン


「「「「冒険者ギルドへようこそ、若き少女よ! 冒険者たるもの大志を抱け! そして今夜は宴だぁ!!」」」」


「……え?」


 それからしばらくして冒険者ギルドへと戻って来た練は、思っていなかっただろう光景を目にしてポカンとしていた。

 愛斗は、自分もきっとあの時、こんな顔をしていたんだろうなぁ、と思いながら、他の冒険者たちと一緒になって魔法の花火(魔道具で)を打ち鳴らし、声を張り上げて練を歓迎していた。

 練はそれでも何が起こっているのかは分かっていない様子ではあったが、ひとまずは危険は無いと悟ったのかホッとした様子で、周りの冒険者に話しかけられて話しているのを愛斗は少し離れたところで見るのだった。





 広場で練の身体能力のテストが終わった頃に少し時は戻る。

 荒い息を吐きながら、それでも何とか倒れないように手に持った武器を支えにして練は立っていた。


「うん、これでテストは終わりです。こちらがそれぞれの結果についてです」


 何かを紙に書いていると思っていたが、マリーは練のテストの結果を書き留めていたらしい。

 とにかく受け取った紙を見ると、


 力…5

 速さ…3

 持久力…4

 魔力量…8

 魔門…7


 と書いてあった。

 とはいえ、それぞれの数字がどの程度のモノなのか分からない練には、これが凄いのかどうかも分からず微妙な顔をしていると、マリーも練の様子に気が付いたようで解説をしてくれた。



「……それじゃ、魔法使いとしてならそれなりになれる、ってことですか? 冒険者になるとしたら、ですけど」


「そうですね、威力の高い魔法も使えて、魔力量も多いのでそうそう魔力切れを起こさないでしょうし、魔法使いとしてはかなり有望かと」


「なるほど、ありがとうございます。けど、私は鍛冶とかの仕事をしたいんですけど、そう言った人と話をすることって出来ないですかね?」


「話を付けること自体は可能なんですが……この町の鍛冶屋はドワーフの方が一人しかいなくて、その方もかなり偏屈な方と言いますか……弟子にしてもらうのはかなり難しいかと思いますよ。それに、一応冒険者として登録した以上、最低限の護身術だったり魔法だったりは使えるようになって頂きたいので、しばらくはそちらに行くことも出来ないかもしれないですね」


「分かりました、色々とありがとうございます」


「いえいえ、では、一度ギルドの方へと戻りましょうか」


 そうして練とマリー、そして試験に付き合っていたギルド職員の三人は冒険者ギルドへと戻っていき……

 愛斗たちが飾り付けて酒や食材が準備されて先程とは見違えた建物へと入って行くのだった。

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