第10話 義妹との最悪な再会

「うっ…」

 トイレを済ませて出たら口を塞がれて数人の男に私は大きな袋を被させられて荷物みたいに運ばれて馬車に乗せられたようだ!!


 それから何か薬を嗅がされ眠ってしまったのだ。


 そして…気付いた。

 目を開けると地下牢みたいな場所にいた。

 同じような鉄格子の向こうにぼんやりと黒髪の男が寝ていて私はそれに驚いた!!倒れているのはよく知っている男だ!


「バルトルトさん!バルトルトさん!!」

 と叫ぶが、私の足には枷があり外れない。


 ガシャガシャと鉄格子を揺らした。

 するとようやく…


「…ん…っっつ!!」

 と少しお腹を抑えて痛がった。まさか殴られたの?


「バルトルトさん、大丈夫?怪我したの?」

 と声をかけると気付いて


「…ヨハンナ?…ここどこだ?」


「え?私も誰かに拐われて…」


「まさか…奴隷商か!?」

 と警戒して何とか起き上がるがジャラリとバルトルトは首に鎖、手首にも鎖がついていた。


「何だこりゃ!?…魔力封じの枷か!!?」

 と驚いていた!!

 するとコツコツと上から誰か降りてくる。

 男と女のようで、

 私はその女を見て誰かわかった!!


「ああ、まさか!!ローレ…そんな!貴方なの?」

 義妹が微笑んでいた。


「お義姉さま…まさか生きていて街でこんないい男とデートなんてして…あの時狼に喰われたと思って安心していたのに…どうして幸せそうに生きているの?ねぇ?」


「そんな…わ、私は…」

 するとローレは見たことないくらい怖い顔をした。


「お義姉さま…貴方が生きてちゃ都合が悪いわ。私の事をバラされても困るし!…孤児だった私はあの頃とても惨めな思いをしていたわ。両親に捨てられて愛されなくて…孤児院では虐められてお古の汚い服を着せられて…。


 貴族達が羨ましかった!!そしてお義父さまとお義母さまが私を貰ってくれたの!やっと幸せになれると思ったのに、先に貴方がいたのよ、お義姉さま!!


 邪魔だったわ!最初から幸せを持ってる貴方が!だから何もかも奪ったのよ!お義父さまもお義母さまも…婚約者のバプティスト様もね!」

 と妹は悪魔のような顔で笑う。誰?


「折角殺してあげたのにほんと何で生きて幸せそうにデートなんかしてるの?そんな男みたいな格好で私を誤魔化せると思ったのかしら?」


「こ、これは…」


「黙って?今から今度は確実に殺してあげる!でもその前に…その男の人とても顔がいいわね。お義姉さまの恋人じゃないわよね?モテないもの!私の方が可愛いものね?うふふふ」


「何なの?ローレ…」


「お義姉さまの目の前で私とこの方が仲良くしてるところを見せつけてから死んでもらうのはどうかしら?うふふ」

 と妖艶に笑いバルトルトの鉄格子の鍵を開け、中に侵入するローレ。


「やめてよローレ!お願い!その人は!!」

 女の人がダメなのに!!

 しかしローレを睨みつけるバルトルトがいた。


「てめえ…俺に近寄るな!香水くせーんだよ!!」

 と言う。


「あら、こんなに可愛い私といい事できるのよ?少しは嬉しがったらどうなの?」

 とローレはバルトルトの頰を触ろうとしてバルトルトはベッと唾を吐いた!


「な、な、この私の可愛い顔に唾を!よくも!!」

 バシンとバルトルトは叩かれた。


「やめてローレ!!やめてよ!私を殺していいからその人を自由にしてあげて!お願いだから!!」

 このままじゃバルトルトがますます女の人が嫌いになってしまう!!

 しかしローレはバルトルトを捕まえる。バタバタともがいているが側の別の男がバルトルトを押さえ込んでいる!!

 そして私に見えるようにバルトルトにのしかかり思い切りキスした!!


 酷く目の前が暗くなるし、胸はズキリと痛くなった。酷い!殺されるよりも酷い!


 ローレは唇を離し笑って私を見た。


「うふふふ、どうかしら?お義姉さま、好きな男が私にまた奪われるのは?屈辱?うふふふあはは!!」

 と笑う。


「てめえ…殺すっ!殺す!」

 とバルトルトは睨む。


「うふふふ、後でたっぷりと調教してあげるわ!」

 と妹は服をはだけさせバルトルトの青白い肌に口付けしていき、バルトルトが恐怖で叫んだ。


「やめてくれ!!」

 と言ったがやめない妹はバルトルトの大事な部分に触れていく。


「…お義姉さま?ちゃんと見ていてね」

 やめてよ、お願い!


「見るな!ヨハンナ!」

 見たくないわよ、私だって!誰かお願いだから…助けて!神さま!!

 何故こんなことが!!


 しかしそこで…上から誰かが転がり落ちてきた!


「これは……どういうことかな?ローレ…」

 と声がした。久しぶりに聞いたその声は…


 私の婚約者だった水色髪の顔のいい男…バプティスト・ヤーコプ・ロータル・ショーペンハウアー男爵家令息様だった。


「!!バプティスト様!何故ここに!?」


「それはこっちの台詞だよ…」

 とドヤドヤ騎士と共に入ってきた。


「なんだか君の様子が変でさ…最初は浮気を疑って調査をしたら…変な男と物騒な話をしてるし行方不明になったヨハンナ様は生きて森で暮らしてるし…こんな地下室で男を監禁して何かしようとしてるし…君なんなの?」

 と流石のバプティスト様も呆れたようにローレを睨み


「ローレ嬢を拘束してくれ!!」

 と騎士に行って騎士達はドヤドヤと中に入り私もバルトルトも助け出された。


 私はバルトルトのところに行き飛びついた!!


「ヨハンナ…大丈夫か?」

 酷い事をされたのはバルトルトの方なのに私の事を心配してくれた。涙がこぼれた。

 女が苦手なのによしよしと頭を撫でてくれた。


 ローレは憎々し気に吐き捨てた。


「もう少しだったのに!!お義姉様なんか!不幸になるべきなのよ!!死ねばいいのに!!あんたみたいな、女!!」

 と言い、騎士達に連れられ行ってしまう。


 バプティスト様はこちらを向いて謝罪した。


「身辺調査をしていて遅くなりました。間に合って良かった。私も…どうやらあの女に騙されていたようです。ヨハンナ様……許してくれとは言いませんが……


 それに貴方は隣国の元第七王子だったお方ですよね?」

 とバルトルトを見る。彼は俯いて無言になる。


 えっ!!?

 元王子様!!?いや、高貴な人かな?って思ったけどまさかの王子様だった!!!嘘おおお!?


「ともかく…邸に戻り、ご両親ともお話いたしましょう。ここに来る前に事情は大方話しておきました。二人もローレ嬢にまんまと言いくるめられていたというか軽い洗脳状態にさせられていたようです。もちろん洗脳はこちらで解いております。ヨハンナ様には酷い事をしたと悔いています」


 するとバルトルトは私を突き放し


「良かったな…これで家に戻れる…お別れだ」

 と言った。

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