第44話 開会式

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実際のW杯とは違うのでご了承ください

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東京の国立競技場またはその周辺は人々の熱気に包まれていた。

今日は、日本開催のワールドカップ開会式。

世界各国のスターたちが一箇所に集いFIFA会長による挨拶を待つ。


「さあ、とうとうこの日がやって参りました!ワールドカップ本戦開催の日!

この後、国立競技場には、世界の名だたる面々が勢揃いします!!」


選手はまだ入場していないにもかかわらず、観客の熱気は収まることはない。

会場内だけではなく、競技場の外からも地鳴りのような歓声が鳴り響く。


「まず、先頭を切って入場したのはアメリカ代表です。アメリカは非常にバランスの良いチームで攻守に非常に優れたチームです!」


「アメリカは予選を見る限り、隙が全くないチームですね。どこのチームも必ず好きができるのですが、アメリカはなかなか見つけられませんから、対戦相手は苦労すると思いますよ」


「そのアメリカに続いて、イタリア代表が入場します!

マルコ・アントニオ擁するイタリア代表は、予選では一度しか負けなかった今大会の優勝候補です!」


その後も次々と各国の代表選手団が国立競技場に姿を現す。

そして、ついにアジア枠。


「続いてはアジアから、最後の日本の前に登場するのは、中国代表です!

中国も第一試合目からその強さを魅せ、イタリア同様に一敗という成績で上がってきました」


「あの試合は、中心選手がほとんど出てませんでしたしね。おそらくいろんな形を試したのでしょうが、彼らがいるのといないのとでは全く違いましたね」


「今回の中国は異様な雰囲気ですよね。何か、機械的なところがあるというか・・・・」


「確かに、点を決めても喜んだりせず、作業のような感じですからね」


解説と実況の会話が続いていく中、中国選手の紹介が終わり、ついに開催国・日本代表の番となった。


「さあ、お待たせしました!ついに、我らが日本!!選手の登場です!」


一際大きな歓声とともに選手たちが姿を現す。


「先頭は、キャプテン・MF鴨居が勤めます。そして、最後に出てきたのは・・・・・・日本の、サッカー界の宝!!三条選手です!!」


傑が出てくると、日本のサポーターだけでなく、世界各国から来たサッカーファン、特にスペインの国旗を掲げたサポーターが盛大な歓声をあげる。

彼らは、スペインに突如やってきて最高の名誉を2年連続で掻っ攫っていった日本人を知っている。


傑をスカウトした監督は、「私への神様からの贈り物」だと開口一番に言った。


しかし、ファンは誰もが疑っていた。

アジア人、それも名前も聞いたことのないような選手だからだ。

いきなり、世界トップレベルの環境について来れるかも怪しい。


そんな考えはデビュー戦で粉々に打ち砕かれた。

彼がボールに触れば、チームメイトの動きが変わり、ほとんどの確率で点が入るのだ。しかもそれが、毎試合のように続けば、チームサポーター以外も気付き始める。


彼は、本物の天才だと。真に神様から天性の才能もらったのだと。

たとえそれが、偽物であっても知る由もない彼らの心には突き刺さった。


スペインから現地に来たファンは、スペイン国旗と日本国旗を掲げ、傑の名前を叫ぶ。

止むことのない歓声の中、日本開催のW杯本戦が開催された。

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