第13話 同じ目

遥に過去を話した日から3日が過ぎた。


その間に、傑は猛に会いにいったり、遥は、学生時代の友人たちに会いにいった。

猛から、ものすごい怒涛の質問を受けた傑は、黙っていたことを謝りながらも、久しぶりのやりとりを楽しんでいた。


「しかし、あの傑がまさかだよな」


「また、やろうと思ったきっかけがほんと些細な事だったからね」


「奥さんのためか?」


「佐伯弟のせいでもあるんだけどね・・・」


「あ〜、あの人な。今は、もうサッカーやってないらしいよ?

なんか、中国に行ったとかで」


「中国に?」


中国に両親たちがいると聞いてからその国には敏感だ。


「それはそうとなんでフランスでの話題が一切入って来なかったんだよ」


「色々あってな。今度色々話してやるよ」


「よっしゃ、久しぶりに飯でもいくか!」


「ふっ。初めてだよ、猛といくのは」


「そうか?」


相変わらずの猛だったがそれが心地よかった。

二人で飯を食べた後、遥が家に着いたというので傑も帰ることにした。

いつものように歩いて帰っていると、すれ違った一人の男からこんな声をかけられた。


「こんばんは。


「!?」


振り向いたが人混みに紛れ誰かはわからなかった。




「ただいま〜」


「お帰りなさい。楽しかった?」


「え?あ〜、うん」


傑は、先程の言葉が耳に残っていたために一瞬戸惑った。

遥は、何かあったのだろうと感づいたが、自分から聞こうとはしなかった。


「そうだ、これからワールドカップの特番やるらしいよ」


「あ〜、そんなのあったな」


「とりあえずお風呂入ってきなよ」


遥に促され風呂に入り、先程のことを考えていた。

・・・・か。

その名前を知るのは、あの試合の関係者か、もしくは・・・・・


「はぁ、考えても仕方がないか」


のぼせる前に風呂を済ませリビングに戻った。

昔から住んでいた家なので古くなっているが、二人にとってこの家は、どんな豪華な家よりも価値があり、どこよりも落ち着く場所だった。


「お、おかえり〜」


遥は、お菓子をつまみながら特番を見ていた。


「太るぞ」


「なっ。ひ、久しぶりだからいいの!」


そんなことは関係ないと思うが、遥がいいならいいのだろう。

特番では、日本の注目選手として佐伯隼人だけでなく傑や、数人の選手の話をしていた。しばらく特番を見た傑は、その場で寝てしまい起きた時は、遥の膝の上だった。


傑が寝ている間、特番では同じアジア勢として中国の選手の話がされており、その中に一人、感情をなくしたかのような選手が紹介されていた。


その目は、まるであの試合のまだ綾人だった頃の目と同じ目をしていた。




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今回は少し短くなりました。


スペインでの詳しい活躍はどこかで必ず入れますのでお楽しみに













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