誕生、チキンナゲット後輩

「くふ~」


 バイトは休憩時間。

 飲食店の事務室は、バイトや社員の休憩時間を過ごす場所として利用される事もある。 


 提供する商品はともかく。外観、店舗は何の変哲へんてつも無い店。されどその店のアルバイトに奇妙な人物がいた。いや、人なのか?


 頭は紙袋。隙間からは香ばしい油と香辛料のにおい。

 その名は……


「シャカシャカポテト先輩!」


 人類の歴史と確かな旨さに裏打ちされた揚げ芋。塩と胡椒で味付けされた、約束された勝利の料理エクス●リバー……か頭の紙袋に詰まった化け物である。


「どうした?」


 一昨日、バイト上がりに一緒に飲みに行った後輩の声。


「こ、これ……」


 その頭は、驚愕を隠せない。


「お、お前。まさか……」


 紙袋、少しや破けた中に見えるのは、


「チキン、ナゲット??」


 言うまでも無い。

 ジャンクフードの代名詞。


 黄色みがかった衣と、鶏肉の味はいつか世界平和をもたらすと信じてる。


「……今日からお前。チキンナゲット後輩な」


「嘘だぁ!!!!!」


 悲痛な叫び声が、休憩室に響いた。

 

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限界を迎えたシャカシャカポテト先輩 春菊 甘藍 @Yasaino21sann

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