3-9 4人と苛立ち




はぁ・・・疲れた。


自販機めちゃくちゃ遠くに置きすぎじゃないか?とりあえず目的の飲み物は買えたからプールへ戻ろう。


二人は仲良くしてるかな。まぁ、さっきの様子をみたら大丈夫だろう。


・・・少しだけ絵梨花ちゃんは俺を連れて行くもんだと思ってたから、寂しかったり


・・・って、なに自惚れてんだよ!


そうなったらなったで困惑するのに・・・

んーまずいな、俺が一番この状況に慣れてきているのか?


・・・・・・よし、考えるのはやめよう!

今は滅多に来れないこの場所を存分に楽しむしかないじゃないか!俺はプールのドアをあけ


「おーい、飲み物買ってきたぞ。

 休憩しよ・・・う?」


というと、眼前には先程はいなかった4人の女の子が舞香と絵梨花ちゃんと戯れている。

めずらしいな、あの舞香がテンパってる・・・え?よく見たらあれって


そんなことを考えていると金髪女の子が俺に気づいたようで


「・・・だれだ?」


といい、不審な人を見るかのような目でこちらを睨む。


「!? お、お兄ちゃんおかえり!」


「「「「・・・え!お兄ちゃん!?」」」」


雰囲気を察したのか、

舞香が俺を呼んでくれた。

舞香と戯れていた四人は驚愕の表情を浮かべ、すぐさま俺の元へとかけよる。


「先程はすみません。

 はやとちりしてしまい・・・」


「い、いえ・・・」


四人の美少女もとい『Amour』のメンバーである4人の美少女は、各々様々な表情を浮かべこちらを見ている。


ん?なんか一人からめちゃくちゃ睨まれてるような・・・



「初めましてお兄さん。先程はすみません、私は金城かねしろ 美香みかといいます。」


「いえいえ、大丈夫ですよ・・・」


「で、ですが・・・」


俺を始め睨みつけていた、気の強そうな見た目とは裏腹に礼儀正しい金髪美人であり、『Amour』のリーダー。誰に対しても誠実な態度を崩さない事から老若男女問わず人気がある。今は反省してか少し シュン としている。

ファンからの愛称は「みかりん」




「こんにちは!あかねみつきです!

 舞香ちゃんとはいつも仲良くしてます!

 よろしくお願いします!」


「こちらこそ、よろしくお願いしますね」


「はい!舞香ちゃんとはいつも一緒にお買い物にいくんです!いっつも舞香ちゃんは私に優しくしてくれて本当に嬉しいです!

 それから・・・!」


「みつき。長い。」


「むー!!!」


凄い勢いで挨拶してきた赤髪の美女。

舞香と同じく最年少メンバーで人懐っこい性格からもファン達からとても人気がある。

メンバーに挨拶を止められて少し不満そうにしている。ファンからの愛称は「あかねん」




「こんにちはです、舞香ちゃんのお兄さん。

 私は江藤えとう 紫乃しの。よろしくお願いしますね?」


「はい、お願いします」


「ふふ、可愛い♪」


「・・・え?」


おっとりした印象を感じさせる紫がかった長い髪が特徴の美人。落ち着いた雰囲気からもメンバーやファン達からもお姉さんキャラとして人気がある。ていうか本当に19歳か?

色っぽすぎるんだが・・・

ファンからの愛称は「しのねぇ




「・・・」


「・・・」


「・・・桃宮ももみや 可奈かなだよ。・・・よろしく」


「?  よ、よろしくお願いします。」



「・・・えーと、どうしたの可奈ちゃん?

 なんかいつもの元気がないわね」


「・・・んーや、別に。」


最後に挨拶してきた現在進行形で俺を睨んでいる桃色髪の美人。普段は悪戯っ子のような立ち振る舞いをしているが、やる時は真剣にしっかりやる姿勢から真面目ちゃんとして人気がある。


それにしてもこの子はなんでこんなに俺に怒ってるんだ?確か同年代だったよな。俺はこの子に何かした覚えはないが・・・

ファンからの愛称は「ももかな」



というかなぜここに『Amour』が!?

まぁ、確かに普段から舞香が使っているって言ってたし、おかしいことでもないか・・・


「ちょ、ちょっと!

 本当にみんなはなんでここにいるの!」


舞香が俺と四人の間に割り込んで、そういうと


「なんでって、心配だったから縁さんに聞いて舞香がここにいるって言われたから来たんだ。」


「そうそう。舞香ちゃん昨日元気無かったから心配でさー」


「だから、早めに練習を切り上げてきたのよ?」


「・・・そうだよ〜。落ち込んだ舞香がいると思ったら、まさかこんなばっちりとおめかしした我らがセンターが拝めるとは・・・」


桃宮さんはそう言うと俺を睨んでいた時とは表情を変え、手をエロ親父のようにワキワキとさせる。


「か、可奈・・・きもいわよ・・・」


「ふふふ・・・私達は舞香がここでそんな格好している所を一度として見た事がないのだよ・・・だから、何でかはけー!!!」


「え、ちょ、きゃーーー!!!」


舞香が桃宮さんから逃げる為、プールへ入り桃宮さんもそれを追う。男がやったら凄いキモい絵面だろうに美少女がやったら天国をみているようだ・・・


「ったく。本当にすみませんお兄さん。

 なんだか邪魔をしたみたいで・・・」


「い、いえ、お気になさらず・・・」


「・・・ところで一ついいですか?」


「? えぇ、なんですか?」


「私たちはデビュー前からの結構長い付き合いですが、初めて舞香に兄がいると知ったんですが・・・」


「あぁ、それは・・・」


俺は舞香と俺の関係について話す。


「「「!?」」」


「・・・なるほど、そういうことか」


「お兄さん、舞香ちゃんと一緒に住めてんのー!?いいなー!」


「ふふ♪舞香ちゃんったら、お兄ちゃんっ子だったのねぇ・・・」


ん?何でこんな驚くの?

てか、住めてんのってどういう事だろう?


「あぁ、失礼。

 私達は皆デビュー時から、事務所の寮で共に暮らしているんです。


 けど、それが決まった時、舞香が嫌だって猛反対してて、仕方なく舞香だけは今まで通り実家からってなったんです。時間とかもきついだろうになんでだろうと疑問に思っていたんですけど、疑問が解けました」


金城さんは俺にそう説明してくれた。

なるほど、だから 住めてんの? か。

それにしても、やはり俺の義妹の行動は可愛いかよ。


「・・・今日は本当にありがとうございます」


「え?なんでですか?」


3人が突然の感謝の言葉に驚いている。


「みなさんが舞香と仲良くしてくださってるみたいで安心しました。これからもどうか舞香のことをよろしくお願いします。」


「そ、そんなの当たり前ですよ」


「そうだよ!まかせて!」


「えぇ。私達にとっても可愛い妹だからね」


・・・いい人達みたいで本当によかった。

あまり芸能界の事を知らない俺からしたら、本当に心配なんだ。だがこの人たちがいるなら安心できる。そう思っていたら金城さんが口を開く


「それでは、私たちは帰ろうと思います。

 せっかくの家族の時間を邪魔してはなんですし」


「いえ、せっかく心配して来てくださったんです。俺の事は気にせず遊んでやってください。」


「ですが・・・」


「ぜひ!俺はえりk・・・絵里さんと一緒に見守っているんで!なにかあったら呼んでください」


「あれ?お兄さんは絵里さんともお知り合いなの?」


小首を傾げて江藤さんが聞いてくる。


「えぇ、彼女とは幼馴染なんです。」


「「「!?」」」


3人ともめちゃくちゃ驚いている。

それもそうだ、冴えない一般人の俺が人気女優と幼馴染なんて考えるはずもないだろう。


「なるほどですね・・・

 どうりで舞香が親しそうに話していたわけです。・・・それでは私たちはお言葉に甘えて、舞香と遊んできますね」


「ははは・・・

 はい!お願いします!」


そうやって一礼をする金城さん。



「またねー!お兄さん!

 今度家に遊びに行っていい?」


「あぁ、是非来て遊んでやってください」


「ありがとう!」


この子はテレビの通り人懐っこくて妹って感じだな。舞香とはまた違った感じで可愛い



「また会いましょうね〜」


「はい!機会があればまた是非!」


「ふふ♪そんなの、すぐにくるわよ〜」


「?」


3人とも笑顔で手を振ってくれた。

めちゃくちゃ緊張した〜。みんなオーラありすぎだろ・・・

ていうか江藤さんの最後のは何だ?

まぁ、気にしてもしょうがないか。


ふぅ・・・とりあえず、


「はい、絵梨花ちゃん!」


「・・・ありがとう、俊くん」


いつのまにか近くに来ていた幼馴染に買ってきた飲み物を渡す。ん?なんか少し頬が膨らんでいる。


「・・・どうしたの?」


「だって、

 楽しそうに話してるからー・・・

 もう!ちょっとこっちきて!」


「え?」


そういうと絵梨花ちゃんは先程舞香にしたように俺の腕を引き、プールから出た。

ちょ、だからそんなにくっついたら!

胸が!あたってるって!!!



***



「・・・絵里さん?」


「ん?可奈ー?どうしたの?」


「・・・んーん!ほら、舞香!

 お姉ちゃんにいってみろー!」


「ほらー舞香ちゃん?

 お姉さんにもいってみなさい?」


「舞香ちゃーん!」


「ふふ、元気だな。」


「ちょ、だからやめろってばーー!!!」





((・・・さっきのあれはなんだったんだろう。

絵里さん、めちゃくちゃ顔赤かったし。

 てか、なんでと・・・?))


メンバー達と戯れあいながらも桃宮可奈は、先程みた大女優が舞香の義兄と腕を組み外へ出て行く光景について考えるのだった。




————————————————————

次回更新は7/23(金)です。


続きが早く見たい!面白い!と思っていただけたら是非評価、お気に入り、レビュー、ブックマーク等をしていただけると助かります!創作意欲がさらに高まります!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る